ネパール評論 Nepal Review

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京都の米軍基地(103):反対ビラなし

元旦に行ってみて驚いたのは,第五に,米軍基地反対ビラが,後述看板を除けば,一つも見られなかったこと。基地運用開始前後頃までは,今回走った道路沿いに反対ポスターやビラが多数掲示されていた。ところが,注意深く見ていたが,袖志や尾和の集落内を含め,今回は一つもなかった。

これは,反対派の戦術転換の結果であろうが,その背後には,すでに出来上がってしまったものはもはやどうしようもないという,何らかの諦め心情が多かれ少なかれあるのではないかと思われる。「国益」を掲げ,官僚主義的狡知と利権で強引に既成事実を積み重ねていく権力との闘いは,難しい。

そうした中,平海岸駐車場向い道路わきの看板と,島津米軍住宅隣の看板は,残っていた。勇気ある反対闘争だ。

170105c■元日の平海岸

170105a170105b■平海岸駐車場向いの反対看板

170105d■島津米軍住宅隣の反対看板。駐車は「Y」ナンバー車(数字消去)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/01/05 at 09:45

京都の米軍基地(43):正直な米軍と不実な日本官僚

日本辺地のちっぽけな自治体が,世界最強米軍にもの申すなど,どだい無理な話であったことが,早くも露見した。米軍当局が,京丹後市など端から無視し,基地建設工事の業者選定(5月2日),着工許可(14日)を済ませていたというのだ。

闘うジャーナリズム京都新聞(5月24日)によれば,京丹後市や京都府は,防衛省に対し,基地着工日を事前に連絡するよう再三申し入れてきたが,防衛省は米軍から何の情報も得ていないそうだ。近畿中部防衛局・福井報道官「本当に米軍から聞いていません」(同上)。

もしそうなら,そのような「軍事機密」を京都新聞は,どこから手に入れたのか? 米軍司令部(座間市)広報室からの情報らしいが,もしこれが「軍事機密」なら,京都新聞はそれを「不法に」入手したことになる。記者は,不倫か交通違反か他の何かで別件逮捕され,友人・知人を取り調べられ,生活をメチャクチャにされ,一生を棒に振ることになる。逆に,米軍報道官がペラペラしゃべる程度の情報で,「機密」でも何でもないとするなら,防衛省,京都府,京丹後市は,知っていながら「自己規制」し,市民には知らせなかったことになる。たぶん,これが事実に近いだろう。

日本の官僚機関や官僚主義政治家は,元来,そのようなもの(と想定すべき)だ。特に米軍との関係。そもそも世界最強米軍は治外法権,京丹後市など端から眼中にない。日本政府・防衛省にだって,重要機密は知らせない。それなのに,おめでたいことに,京丹後市長は要望を列挙し米軍にお願いすることを日本政府にお願いし,それを条件に,基地受入を決定した。こんな,お願いのお願いなど,屁の突っ張りにもならない。全くの無駄。

そして,むろん住民説明会もまったく無意味。米軍にとって,軍の機密と都合が万事すべてに優先する。基地着工前から,そのことを米軍は住民にはっきりと思い知らせてくれた。正直な米軍!

米軍は,この意味で正直であり,合理的に行動を予見できるが,まったく信用ならないのが,京丹後市など日本の関係機関。住民の要求を聞くふりをしながら,実際には,米軍への要求など実効性のあることは何もしていないはずだ。日本の優秀な官僚主義的官僚とは,そのようなものだ。

これから始まる基地工事も運び込まれる機器も,おそらく「軍機」。いつ,どこで,どのような工事が行われるかも,いつ,どこを,どのような機器が運ばれるかも,重要なことは市民には知らされない。何が危険か市民には分からない。

まだ着工前だが,それでも準備作業のためか,すでに自衛隊車両の通行が増加している。住民には,日本軍が,何のために軍用車両に一般道を走らせているのか,知らされていない。

すでに丹後には「軍事機密」がウヨウヨ。これまでのように無邪気に写真を撮ったり,おしゃべりしたりすると,いつしょっぴかれるかわからない。丹後半島は危険地域になった。もはや安心して楽しむことのできる観光地ではない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/05/25 at 08:12

京都の米軍基地(35):片刃の環境影響調査

Xバンドレーダー設置前の環境影響調査は,よくて両刃の剣だ。たしかに,設置前の電磁界強度,騒音,水質などを調査しておけば,設置後,もし問題が起これば,調査結果を根拠に是正を要求できる。しかし,実際には,そんなことは,まずない。原発などと同様,長期的影響などは無視し,受忍限度を高く設定しているからだ。
 ▼電磁界強度調査・水質調査騒音調査

これに対し,調査の政治目的は,はっきりしている。地元要望を聞き,調査をしましたよ,というアリバイつくりだ。官僚制にとって,「法による支配」ないし「手続遵守」は,鉄則だ。が,これは主権者たる人民=住民が厳しい監視をおこたると,たちまち,所定の手続さえ踏めば,それでよい,という官僚主義に転化する。

環境影響調査は,まさしくその官僚主義的「手続遵守」そのものであり,Xバンドレーダー設置のためのアリバイつくりといわざるをえない。

その証拠に,電磁界強度調査は,三菱電機が実施する。三菱系は,米産軍共同体の下請けにして,日本産軍官共同体のドン。その一角を占める日本有数の軍事企業,三菱電機に,公平な調査を期待するのは,あまりにもおめでたい話しだ。

もしかりに住民側が,独自に,研究者や専門家に調査を依頼しようとしても,政府や京都府や京丹後市は,調査費負担はむろんのこと,調査そのものさえ決して許可しないだろう。特にXバンドレーダー設置後は。いうまでもなく,それは「特別防衛秘密」ないし「防衛秘密」であろうし,おそらく何らかの形で「特定秘密」に指定されるであろうからである。

もしそうであるなら,お上の環境影響調査は,両刃にすらなりえない。むしろ,それは,反対運動を切って捨てるための,片刃の剣でしかないのではないか?

140411c140411d
 ■電磁界強度調査(3月19日)三菱電機

140411b140411e
 ■水質調査(3月19日)ユニチカ/騒音調査(2月25日)防衛省

[参照]防衛省→三菱電機144人天下り
水増し請求の背景に 兵器製造で癒着 中距離地対空誘導ミサイルや情報収集衛星(スパイ衛星)など、航空宇宙・防衛事業をめぐって防衛省などへの経費の水増し請求が問題になっている三菱電機への「天下り」が、防衛省からは「陸上幕僚長」はじめ144人にのぼることが明らかになりました。防衛省以外の国家公務員の天下りは3人。軍事産業2位の三菱電機と防衛省との特殊な関係が浮かび上がりました。」(しんぶん赤旗2012年3月19日)

谷川昌幸(C)

京都の米軍基地(31):MBS「見えない基地」再放送を

毎日放送(MBS)「見えない基地~京丹後・米軍レーダー計画を追う」(2014年1月19日放送)を録画で見た。関係者や地域社会への細心の配慮をしつつも,問題の本質に多角的観点から肉迫していく。本格的ドキュメンタリーの傑作といってよいだろう。

番組の制作意図と概略は,MBSホームページ「取材ディレクターより」に簡潔に述べられているので,ご覧いただきたい。なお,MBSにはラジオ番組「どこへ行く自衛隊」(2013-11-10)もある。

140216 140213d
 ■MBS「見えない基地」/MBS「どこへ行く自衛隊」

1.地域分断
このドキュメンタリは,それ自体,決して難解なものではないが,扱われている主題は,複雑で重苦しく,難しい。

過疎の村,京丹後市宇川に,昨年早春,突然,米軍Xバンドレーダー基地建設が告げられる。そして,地元住民に対しては,説明らしい説明をせぬまま,一方的に,強引に基地建設計画が進められていく。

その過程で,衝撃的であったのは,やはり地域社会の分断である。原発とまったく同じ構造。権力による脅しや,カネによる直接的・間接的懐柔で,たちまち地域社会は分断され,隣近所はおろか家族ですらいがみ合い争う。過疎とはいえ,美しく平和であった地域社会が,猜疑と憎悪の底なし沼に引きずり込まれつつある。

もはや丹後は元へは戻れまい。表立っては怒るに怒れない忍従,救われようもない重苦しさと悲哀。

2.「国益」優先の市長
ところが,驚くべきことに,地元・京丹後市の中山市長は,当初から一貫して,地元住民ではなく,はるか海の向こうのアメリカや山の彼方の東京(政府・防衛省)に,目を向けてきた。いかにも総務庁-内閣府出身,上意下達の官僚主義的役人根性が抜けないらしい。

MBSは,むろん,この中山市長の卑屈な役人根性を見逃しはしない。番組では,中山市長が「住民益」「市民益」ではなく,「国益」を引き合いに出す場面を,いやらしいまでにリアルに描写している。

「国益」とは,要するに「お国のために」「滅私奉公」ということ。憲法第92条「地方自治の本旨」を無視し,地元の住民・市民ではなく国家権力の側に立つ中山市長! MBSは,そんな無様な,卑屈な場面を撮りたくはなかったにちがいない。しかし,そこはドキュメンタリーのMBS,心を鬼にし,涙を呑んで,カメラを回した。MBSの覚悟,プロ根性が偲ばれる迫真の画面からは,保身のため住民を売り渡した中山市長の虚勢とオドオドした内心が透けて見て取れる。

140216b ■MBS取材にこたえる中山市長

3.車力基地の実情
番組では,Xバンドレーダー基地ができたらどうなるかを見るため,つがる市の車力基地を取材している。この部分を見ると,防衛省や,その下請け・中山市長の説明がいかに無責任かが,よくわかる。

車力米軍基地は軍事機密,ピリピリした厳戒態勢下にある。こんなものに不用意に近づいたり写真でも撮ろうものなら,しょっ引かれたり,下手をするとテロリストかスパイとみなされ,射殺されるかもしれない。相手は「治外法権」の米軍。何をされるか分からない。

また,米軍関係者の犯罪や交通事故も少なくない。さらに,補助金漬けについては,余計なコメントはつけず,淡々と事実だけを描いているが,それだけにかえって,考えさせられ胸にこたえる。

4.「見えない基地」の再放送を
この番組「見えない基地」は,同局の「映像’14」シリーズの一つだ。「映像’14」は関西地域放送番組だが,レベルの高いドキュメンタリーで知られている。「見えない基地」も秀作。

しかし,残念なことに,この番組は日曜日の深夜(24:50~25:50)に放送された。見逃した人も少なくなかろう。実に,惜しい。何とかならないか。

手っ取り早いのは,録画番組をネットで公開するという手。たとえばーー
 ▼LunaticEclipseYokosu「見えない基地」YouTube
しかし,これは海賊版ではないか? もしそうだとすると,権利を守るための闘いが権利侵害を犯すことになってしまう。

やはり,一番望ましいのは,制作した毎日放送自身が,もう少し見やすい時間に再放送したり,ネットで公開することだ。有料でもよい。これほど優れたドキュメンタリーなら,料金を払ってもみたいと思う人も少なくないはず。ぜひ検討していただきたい。

5.特定秘密保護法の恐怖
蛇足ながら最後に一言,特定秘密保護法との関係について。周知のように,特定秘密保護法はすでに成立し,年内には施行される。

この特定秘密保護法が施行されると,おそらくMBS「見えない基地」のような番組は制作できないであろう。あるいは,それどころか,地元民や観光客がうっかり写真を撮っても,「おい,こら!」と,しょっ引かれる恐れがある。そんなことはない,と政府やその出先機関の市長は反論するかもしれないが,危ないと思わせるだけでも,威嚇効果は十分なのだ。

MBS「見えない基地」の描く車力米軍Xハンドレーダー基地。厳戒態勢にあり,触れば祟り必定の「タブー」そのものだ。そんな恐ろしいものが,車力とは異なり丹後では一般道路・住宅地・観光名所のすぐ側にできる。名所・穴文殊からだと,子供が石を投げても当たる距離だろう。

Xバンドレーダーについては,電磁波や騒音が主に問題にされてきたが,政府にとってはこれは想定内。議論がここに集中するのをみて,政府はほくそ笑んでいたにちがいない。

Xバンドレーダー基地の最大の危険性は,軍事機密,特定秘密にある。見せないで見るXバンドレーダー。ブラックホールのように,近づくものを片っ端から吸い取り破滅させる。そんなものが住宅地の目の前,観光名所のど真ん中にできる。

番組「見えない基地」の最初と最後は,経ヶ岬展望台からの分屯基地遠望であった。この展望台は,以前,私が分屯基地監視の名所として推薦したところだ。しかし,Xバンドレーダーが設置されたら,このような撮影はできなくなるだろう。たとえ,撮影禁止の立て札が立てられなくても,撮影には公安や警察やその他諸々の監視をつねに意識せざるをえない。何となく不気味だから自主規制,となるにちがいない。

あるいは,それどころか国道沿いの民家の庭先や二階からカメラを向けても,危ない。「軍事機密」「特定秘密」が写る可能性があるからだ。

こうして,京丹後は「Xバンドレーダー体制」に組み替えられていく。

140216a shariki tango ■米軍基地の位置関係:車力/経ヶ岬(京都民報

谷川昌幸(C)

京都の米軍基地(21):「苦渋の判断」の甘さ

京丹後市の中山市長は,9月11日の議会定例会(第2日)や9月19日付文書「TPY-2レーダー配備への協力及びこれを巡る経過,考え方について」において,米軍Xバンドレーダー受け入れを表明した。市長は,「苦渋の判断」と繰り返しているが,事柄の重大性に比べ,あまりにも甘く,軽い。米日「政産軍共同体」は,何ら苦く渋い思いをすることなく,タナボタで,京の都の西北,経ヶ岬を手に入れることになる。

市長の説明によれば,防衛省からの申し入れが2013年2月26日,それ以降,半年以上にわたり,「防衛省等による15回をこえる説明会」や市議会での議論等を通して様々な検討と確認を行ってきた。そして,9月10日,京都府知事とともに小野寺防衛大臣を訪問し「大臣から政府として真摯で責任ある対応の確認を得た」ので,京丹後市として「必要な協力を行うことと総合的に判断」したというのである。

しかし,この判断のどこに「苦渋」があるのだろう? あらかじめ決められたシナリオ通り,事は淡々と進められ,予定通りの決着を見たということではないのか?

そもそも,これは自治体=地方政府の自立的「判断」に値するものではない。お上(かみ)が申されることなので,お国の大義のため,滅私奉公,忠義を尽くします,ということに他ならない。まさかと思われる方は,この上意下達の関係を念頭に置き,次のような市長の文章(TPY-2レーダー配備への協力及びこれを巡る経過,考え方について)を読んでみていただきたいーー

「今回のご要請は,わが国の責任ある政府当局から国の防衛,国の安全,安心という大きな国益が真剣に問われています。・・・・同じこの国の地域の一員として,このために必要な負担を分かち合い,いささかなりともできる貢献はやっていくという姿勢が大切であるということは,自ずと道理であります。」(日本語になっていないが原文のまま引用)

完全な上から目線。上意下達の官僚主義の作文。ここには,地域住民一人一人の権利保障から出発するという民主主義の精神は認められない。

だから,市議会での説明も官僚答弁,まるで面白くない。そもそも,米軍基地受け入れという重大案件を,なぜこれまで本会議でなく主に議員全員協議会で議論してきたのか? 

市議会会議規則が手元にないので正確には分からないが,一般に協議会は協議するところであって,正式の議会審議の場ではない。にもかかわらず,米軍基地問題は,これまでほとんど議員全員協議会で議論されてきた。真剣な議論や言質を取られることを恐れているとしか思えない。そのくせ,おそらく協議会で議論は十分やったとされ,正式議会での審議は採決のための単なる儀式で済まされてしまうのだろう。上意下達,下請け地方議会らしい姿だ。

そのせいであろう,小野寺防衛大臣訪問直後であるにもかかわらず,議会9月定例会でこの問題について質問をしたのは,京丹後市HPを見る限り,共産党の3議員だけ。いったいどうなっているのだ。頑張れ,共産党!

議会定例会(9月11日) (ユーチューブ音声再生→下記クリック)
田中邦生(日本共産党)
米軍基地配備問題について
 (1)安全安心は本当に担保されたのか
 (2)「無いに越したほうがいい」が全市民の声
 (3)危険な米軍基地配備計画は撤回すべき
橋本まり子(日本共産党)
米軍基地配備と住民の安心について
 (1)市が提示した受け入れに際する条件で、事件事故に関して、市民は本当に安心といえるのか
森 勝(日本共産党)
米軍基地問題について
 (1)現状と基本的問題点について

[参照]
京丹後市・中山泰市長の経歴 
   130928
学歴
昭和50年3月 峰山中学校卒業
昭和53年3月 天理高校卒業
昭和60年3月 京都大学経済学部卒業
職歴
昭和60年4月 総理府・総務庁入庁
平成元年4月 科学技術庁科学技術振興局研究交流課専門職
平成3年4月 総務庁行政管理局行政情報システム企画課係長
平成4年7月 総務庁行政管理局行政手続法制定準備室室長補佐
平成6年7月 総務庁行政管理局副管理官
平成8年8月 沖縄開発庁沖縄総合事務局総務部人事課長
平成10年7月 沖縄開発庁長官秘書官(井上吉夫、野中広務、青木幹雄 各長官)
平成13年1月 経済産業省大臣官房企画官 兼 製造産業局人間生活システム 企画チーム長・デザイン政策チーム長
平成14年8月 内閣府総合規制改革会議事務室次長
平成16年5月17日 京丹後市長
(京丹後市 http://www.city.kyotango.kyoto.jp/shisei/shicho/profile/index.html)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/09/28 at 21:40

交通安全協会の安全性?

交通安全協会については、30数年前の免許証取得以来、その不合理性に耐えかね、機会あるたびに廃止を要求してきた。

たとえば、住所変更。こんな事務手続きなど、警察署窓口で変更届を書き、提出すればすむはずだ。ところが、そうはさせてくれない。必ず、交通安全協会(別の場所にあることが多い)に出向き、書類を作成してから、警察署の免許証係への提出を要求される。まったくもって不合理。お役所仕事。「交通安全協会」を存続させるためだけに余分の仕事を作り、仕事を割り振っているとしか思えない。

免許証の交付・更新・変更などの手続きに人手がいるのなら、堂々と人員要求をし、正規職員として窓口に配置すればよい。合理的な要求であれば、納税者は決して文句を言わないだろう。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/04/17 at 07:54

ネパール流お化粧直し,ekantipur

ネパールの代表的メディア,ekantipurがホームページの化粧直しをしている。バックが白,文字は黒,リンク付きは青と,すっきりしている。日本からのアクセスには,ちゃんと日本企業の宣伝もでる。

そして,いかにもネパール式と感心するのが,まだ未完成で正常に表示できない部分が多々あるのに,平気で新デザインに切り替えてしまうところ。もし日本でこんなことをやったら,新聞社や大手サイトはむろんのこと,大学や高校でも,非難囂々,担当者は減給か左遷だろう。

ネパールでは,あれこれやっている舞台裏を平気で見せ,少しずつ手直しをしていく。みる方も慣れているから,あぁやっているな,そのうち直るだろう,と寛容だ。

 ekantipur, 2012-02-20

完璧主義――よい子ちゃん――の日本式と,このネパール式を比較すると,どちらがよいか? それぞれ一長一短があるが,グローバル化で変化が速く大規模な現在では,断然,ネパール式の方が強い。柔軟であり,費用も安上がり。

日本式完璧主義は,ダメ。特に教育において。たとえば,入試。センター試験など,常軌を逸している。公平を金科玉条に,徹底的に人間性を否定し,軍隊的官僚主義に徹している。受験生も,試験実施担当の教職員も,まるで自動機械,指定された手順を少しでも外れようものなら,マスコミなどがよってたかって,まるで極悪非道の犯罪人のように糾弾する。異常だ。奇問珍問なぜ悪い。試験時間が1分短かろうが長かろうが,それがどうした。そんなことにも対応できないようなマニュアル人間を,大金をかけて,大量生産してどうなる? そもそも,費用対効果からして,まったく割に合わない。

同じようなことが,政治についてもいえる。日本からみると,ネパール政治は出鱈目のように見えるが,少し長い目で見ると,なかなかうまくやっているともいえる。人民戦争は確かに悲惨だったが,近代ブルジョア革命や現代社会主義革命,あるいは他の途上国の紛争に比べ,ネパールは,比較的少ない犠牲で,前近代的半封建的社会から現代社会へと,一気に転換しつつある。

日本は,ITと同様,政治についても,ネパールから学ぶべきことが少なくない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/02/20 at 10:56

カテゴリー: 情報 IT, 政治, 文化

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