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ネパールの故岩村医師邸,強奪破壊(2)

この事件については,「クリスチャン・トゥデイ」記事では事情が全く分からなかったが,関係者のネット記事を読み合わせると,事件発生の原因がある程度推察できるようになった。
 参照: 中橋祐貴「『岩村記念病院・健康大学』でクリスチャン後継者が迫害を受け命の危機に」Christian Today(日本語版),2016年4月29日。

むろん,いまのところ強奪破壊されたと訴えている故岩村医師養子Sさん側の言い分からの想像にすぎないが,重大事件には違いないので,以下に関係ネット記事の要点を紹介しておく。

養子Sさん側のネット記事
ネパール緊急通信!
 ・4月30日《第10信》シャロームさん迫害ニュースが「CHRISTIAN TODAY」で公開!
 ・4月28日《第9信》シャロームさん、ネパール弁護士協会会長と面接。事件解明へ一歩前進!
 ・4月23日《第8信》政治家ぐるみの陰謀(?)で、ドクター岩村の家が強奪・転売!
 ・4月21日《第7信》家財道具が蹂躙されそうです!
 ・4月16日《第6信》シャロームさんからの献金の感謝と経済的状況
 ・4月13日《第5信》シャロームさんの追加情報と祈りのリクエスト
 ・4月09日《第4信》シャロームさんからのお礼のご挨拶
 ・4月07日《第3信》シャロームさんの岩村ホームと岩村先生との交友の記録
 ・4月05日《続報》 迫害
 ・4月04日《緊急》 ネパールのシャロームさんのためにお祈りを!―クリスチャン迫害の暴徒に襲われました

小川政弘さんFB「ネパール緊急情報!」
 ・4月29日 ・4月28日 ・4月23日 ・4月21日 ・4月16日 ・4月13日 ・4月10日 ・4月7日 ・4月6日 ・4月4日

1.養子Sさん
Sさんは岩村医師の養子でクリスチャン。現在,岩村記念病院に勤務(医師?)。岩村邸に家族とともに居住してきた。
Sさんの実施事業:孤児院(23人),慈善学校(150人),ほか5つの社会事業

2.土地と家屋
50年前,岩村医師が土地を40万ルピーで購入し,そこに家を建て,養子12人とともに居住していた。この土地の現在の評価額は,約1億6千万ルピー。
不動産登記: 当初,岩村医師のネパール人友人名義で登記(外国人不動産所有禁止のため)。養子Sさんとその弟が成人になったとき,2人の名義に書き換え。

3.抵当権設定と引き渡し要求
5,6年前から事業家数人が,Sさんに土地を売ってほしいと要望。

2010年,Sさんは,医療機器購入のため銀行から2500万ルピーを借り入れ,自宅(岩村邸)を借金の抵当とした。借金は利子とともに返済してきた(詳細不明)。

2015年,銀行が抵当の土地を競売にかけると通告。銀行は,土地を6670万ルピーで売却する契約を事業家2人と締結。土地名義は彼ら2人に書き換えられた(詳細不明)。これに対し,S氏は土地売却取引停止命令を裁判所に請求し,裁判所はこれを認めた(判決詳細不明)。

4.土地建物強制収用,取り壊し,銀行口座凍結
2016年,土地購入者側から3日以内の立ち退きを要求されていたが,応じなかったところ,3月1日,購入者側が警官(25~30人),役人(15人),「暴徒」(25~30人)とともにS氏宅に押し掛け,実力で家財を外に出し,土地建物を収用し始めた。S氏は,家族から急報を受け自宅に帰り,強制収用に抵抗し負傷(上記資料に写真あり)。

S氏の銀行口座はすべて凍結。家族は家を追われ,アパートで生活。

5.取引停止請求訴訟
2016年4月25日,S氏は自宅土地取引の停止(取り消し?)を求める訴えを裁判所に提出し受理される(訴えの内容詳細不明)。5月10日から,裁判開始の予定。

――以上が,S氏側の主張の要旨。状況が錯綜しているので,要約が不正確かもしれない。疑問に思われる部分は,上記原資料でご確認ください。

160503■岩村記念病院(Google)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/05/03 at 13:30

カテゴリー: 社会, 経済, 国際協力

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ネパールの故岩村医師邸,強奪破壊(1)

故岩村昇医師のネパールの邸宅(クリスチャンの養子ご家族居住)が,襲撃され,強奪,破壊されたという。中橋祐貴「『岩村記念病院・健康大学』でクリスチャン後継者が迫害を受け命の危機にChristian Today(日本語版),2016年4月29日。
 ●岩村邸 破壊前⇒⇒破壊後(上記記事写真リンク) 

岩村昇医師は1962年,「日本キリスト教海外医療協力会」からネパールへ派遣され,1980年まで医療奉仕活動を続けられた。1993年,マグサイサイ賞受賞。2005年没。

Christian Todayの記事によれば,2016年3月1日午後4時半ころ,故岩村邸に,何の通告もなく,警官25~30人と自治体職員15人,そして暴徒約30人が突然やってきて,居住中の養子ご家族を追い出し,家財道具を外に運び出し,家・土地を取り上げた。その後,それらは売却され,更地にされてしまったという。

なぜ,こんな乱暴なことが? 記事によれば,「政府機関には毛沢東思想に感化された官僚が多くはびこり,暴力と金,人権を無視した不当や不正が『腐敗した慣習として日常化』していることも事実だ。今回も政府や行政,さらには警察が賄賂で秘密裏に暴徒を雇い,さらには地区のトップまでもがこの暴力事件に加担している」。「クリスチャンであることを憎む暴徒たちにより,今回の事件が起こった。・・・・この事件の背景は思想に感化された官僚たちとキリスト教弾圧主義者による不正から始まったことと思われる。」

しかし,それにしても不可解だ。人民戦争中なら,こうした事件は珍しくなかった。しかし,人民戦争はすでに十年ほど前に終わり,いまは平時,新憲法もできた。マオイストは与党だ。この状況で,このような大っぴらな無法行為が許されるのだろうか?

一つ考えられるのは,最近の逆コース。ヒンドゥー教国家復帰が叫ばれ,クリスマスは国民公休日指定を外された。しかも,体制派幹部は,コングレスも共産党諸党も高位カースト寡占。故岩村医師邸襲撃がキリスト教が理由なら,そうしたことが背景にあるのではないだろうか?

しかし,そう考えても,やはり不可解だ。かなりの大事件のはずなのに,他のメディアは,このようなことに敏感な欧米のキリスト教系をも含め,見た限りでは報道していない。また,もし警察や自治体職員が動員されたのなら,いくらなんでも,まったく何の通告もせず,一方的に現住土地建物を一方的に没収し売却するとは考えにくい。

記事通りなら,大事件。続報をまちたい。

160501b 160501a■岩村記念病院HPより

[参照](5月2日追加)
GORO KIMURA‏@AIUEOUM  14:11 – 2016年5月2日
大変に驚くと同時にいぶかしく思ったニュースでした。早速以下のサイトから直接問い合わせました。そのような事実は一切無いということです。 ・・・・

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/05/01 at 20:52