ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

Posts Tagged ‘市場経済

ゴビンダ医師のハンスト闘争(2)

1.民主的専制とサティヤグラハ:ネパールから学ぶ(2)
それにしても,なぜいまハンストなのか? ネパールは民主化し,最高水準の民主的な2015年憲法も制定され施行されているのではないか?

ゴビンダ医師のハンストは,直接的にはネパールの保健医療分野の不正を告発し抜本的な改革を要求するものだが,それは同時に,その不正を容認し助長しているネパール民主主義の現状に対する真っ向からの異議申し立てともなっている。

ネパールの民主化は,マオイスト人民戦争(1996-2006年)後,急激に進み,2008年には王制が廃止され連邦共和制となり,そして2015年にはその成果を法的に確定する2015年憲法が制定された。この現行2015年憲法は,国民の権利と民主主義を詳細に規定しており,これによりネパールは少なくとも制度的には世界最高水準の民主国の一つとなった。

しかし,制度はできても,その運用には相当の経験と努力が必要である。ネパールの場合,前近代的・半封建的王制から21世紀的包摂民主主義体制に一気に飛躍したため,人権と民主主義の経験が乏しく,そのため様々な前近代的因習や慣行が根深く残る一方,他方では現代的な市場経済や自由競争社会の論理が有力者によりご都合主義的に利用され始めている。国民各人に保障されるはずの自由や権利は,実際には旧来の,あるいは新興の富者や強者のものとして利用され,そしてそれが民主主義の名により正当化され保護される。憲法規定の民主主義は,富者や強者が,彼ら独占のメディアや彼らの意を体する議会等の統治諸機関を通して国民を教化し,操作し,動員し,かくして彼らの特殊利益に奉仕させるための格好の手段となりつつある。現代型の「民主的専制」といってもよいであろう。


■ネパール憲法2072(2015)/代議院(下院)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/09/30 at 15:02

丹後の春と過疎化

丹後でも,今年の冬は厳しく,その分,野の花々も彩り鮮やかだ。路傍の野草には自然の凛とした気品が,野生化した外来種や古民家前の桜には自然と化した人為の温かさが,感じられる。いずれ劣らず好ましい。

130405
 ■古民家と桜

130405g 130405e 130405b 130405c 130405a 130405d 
 ■自宅付近の路傍の野草と菜の花

しかし,その丹後でも,容赦なく過疎化は進み,それを押しとどめるはずの開発は乱雑な自然破壊・文化破壊となっている。山間の田畑や山林のため大金をかけ立派な舗装道路を張り巡らせても,農林業は廃れ,耕作放棄地・放置山林となり,野生動物の天国。舗装道路の最大の受益者は,タヌキやイタチ,トンビにカラスらだ。

130405f
 ■舗装農道沿いの耕作放棄田

こうした地方の過疎化は,日本だけでなく,何とわれらがネパールでも進行している。グローバル化は,情報化でもあり,ネパールの農山村の人々も都市や外国の生活を見聞きできるようになった。そして、それを見た若者たちが,次々と故郷を捨て,都市や外国に出て行く。農山村には,老人と女性だけが取り残され始めたという。

グローバル情報化・資本主義化は,政治経済の中央集中化である。アベノミックスが引き金になって,博打グローバル市場経済が破綻することにでもならなければ,この不健康な現象を押しとどめることはできそうにない。残念ながら,

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/04/05 at 12:11