ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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太陽光発電援助,地味な報道

日本援助の太陽光発電プラントが完成し,1月11日,ネパール側に引き渡された。各紙報道によると,概要は次の通り。
  ・設置場所:ドビガード。ラリトプルのバグマティ河畔
  ・発電能力:680Kw
  ・電力用途:カトマンズ盆地上水道公社(KUKL),および一般電力網への送電
  ・事業費:5.38億ルピー

太陽光発電は機器の価格も急速に下がってきており,ネパールにとっても,近い将来,有望なエネルギー源となるであろう。その意味で,この援助は先駆的と評価されよう。

その一方,今回も,報道は極めて地味だった。各紙の記事はごく小さく,これでは気づかなかった人も少なくあるまい。

昨年11月26日午後,現地付近を歩いてみた。バグマティ河畔は荒涼としていて,散乱するゴミに枯れ木のカラス,まるで賽の河原。午後の日差しポカポカなのに,あまりの不気味さで寒気がした。

そのバグマティ川西側のダクシンカリ道路に面して「カトマンズ盆地上水道公社」があり,その一角に今回の太陽光発電援助事業の説明板が掲示してある。しかし,これも地味。注意していないと,見落としてしまう。

援助広報がどうあるべきかは,たしかに難しい課題であろう。やらないと,日本の援助努力が一般の人々に知られないままとなるし,今回のような先駆的的案件だと,ネパールの人々が将来のエネルギーを考えるための問題提起,選択肢提示の役割を十分に果たせないことにもなる。

日本人の奥ゆかしさは美徳ではあるが,多様な異文化のせめぎ合う世界社会にあっては,効果的な援助広報にもう少し努力することも必要ではないだろうか。

130117g ■KUKL付近(Google)

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■バグマティ河畔の仏像とカラス(2012-11-26)

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■KUKL(Google) / バグマティ東河畔設置の発電パネル(?)。(Google)

130117a ■KUKL構内の援助事業説明パネル(11-26)

130117b ■上掲写真左上部分(11-26)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/01/17 at 11:51

カテゴリー: 経済, 外交

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信号機、ほぼ全滅(2):タパタリ交差点ほか

1.タパタリ
11月18日、信号機「定点観測地」の一つ、タパタリ交差点に行ってみた。無惨、悲惨! 唖然とした。

華々しく点灯したときから、こんな複雑な信号システムは機能しないのではないかと危惧したが、現状は想像以上だ。歩行者用信号はへし曲げられ、車両用信号は看板でランプを隠され、信号ケーブルは至る所で垂れ下がり、すべてが醜悪な残骸と化している。

信号機を維持し使用する意思は寸毫も認められない。早く切り倒して鉄屑にした方がよい。論より証拠、現状は写真で見ていただきたい。

 
 ■消灯信号と寺院修理/曲がった信号と修理済み寺院

 
 ■警官の交通整理/広告優先

2.トリプレスワル
世界貿易センター前の信号機は、文字通り切り倒されたのか、一つを除いて信号ランプそのものが全く見あたらない。この交差点は、幸い昔からのロータリーがそのまま残されているので、このロータリーと交通警官の手信号とで交通整理がされている。

 
 ■一つだけ残った信号/警官の交通整理

3.マイティガルほか
中央統計局、農業開発銀行、最高裁などの近くのマイティガル交差点も、一つだけ黄点滅だったが、他は消灯。黄の点滅など、ほとんど無意味なので、ここも全滅といってよい。また、シンハダーバー前、ディリーバザール出口など、他の大きな交差点もみな全滅だった。

 ■曲がった消灯信号(マイティガル)

4.ATMとの対比
悲惨、無惨の信号機援助の現状を見ると、援助の文化適合性と必要性を改めて考えざるをえない。

ネパールの人々は好奇心が強く、必要でさえあれば、新しいものを日本人以上に大胆、積極的に取り入れ、使いこなす。その好例がATM。

ATMは、導入当初は、銃を持った警備員が警戒し、機械もよく故障した。ところが、いまやATMはいたるところにある。警備員はほとんどいないし、故障もない。残骸信号機のタパタリ付近にもたくさんある。日本以上に便利だ。

つまりATMは、ネパールの人々が必要としており、かつネパール文化に適合していたから、援助などしなくても自然に広がり、見事に保守管理されているのだ。

携帯電話もそうだ。ネパールの人々が必要とし、文化に適合しているので、こちらも自然に普及し、使用されている。カトマンズを見る限り、日本より安価で便利といってもよいであろう。

5.援助の必要性と文化適合性
ATMや携帯電話と対照的なのが、信号機。おそらく日本をはじめ先進諸国が信号機は近代化に不可欠と考え、大金を援助し設置させたのだろう。

しかし、ネパールは、少なくとも現在まではロータリー文化であり、信号機文化ではない。信号機は文化適合性が無く、人々も必要性を感じてはいない。だから、いくら大金を援助し高機能信号機を設置しても、しばらくすると使用されなくなり、数年もするとガラクタとなり、結局は切り倒され、鉄屑とされてしまうだけなのだ。

むろん、繰り返し留保するように、ネパールでもいずれ信号機が必要とされる時期が来るであろう。しかし、見る限り、まだその状況ではない。信号機ほど、援助における「文化適合性と必要性」の問題を目に見える形で具体的に示してくれるものはない。

ネパール観光やネパール・スタディツアーには、援助信号機見学コースをぜひ追加していただきたい。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/11/21 at 00:41

信号機、ほぼ全滅(1):アメリカンクラブ前

幾度か議論してきたが、ネパールに来るたびに、ロータリー文化と信号機文化の原理的対立に注目せざるをえない。
 ▼信号機文化

カトマンズの交通信号機は、見た限りでは、ほぼ全滅。スタジアム前やカリマティのような大きな交差点でも、信号は消えていた。

「定点観測地」の旧文部省・アメリカンクラブ前の日本援助信号機も点灯の気配はない。ここは、観光客にとっては、ネパールでもっとも危険なところといってもよい。車ではなく、なにやら怪しい「アメリカンクラブ」だ。カメラを向けようものなら、警備兵に射殺されるか、逮捕されてしまう。くれぐれもご用心!

この旧文部省・アメリカンクラブ前の交差点に日本援助のハイテク信号機が設置され、赤黄青と機械的・規則的に点灯していたときは、大渋滞が日常化していた。しばらくして、赤点滅となったが、こんな中途半端な信号など誰も守りはしない。

そこで交差点の中央に小型ロータリーが設置された。点滅信号とロータリーの2原理併存でさらにややこしくなり、ますます信号はじゃまになった。そこで、完全に消灯してしまったというわけだろう。

昔からあった品格のある立派なロータリーを撤去し、日本援助で華々しくハイテク信号機を設置したのに、完全に元戻り。新設小型ロータリーは貧相だし、消灯信号機は木偶の坊、見苦しく無様なだけだ。切り倒して完全撤去した方がよい。

もう一つの「定点観測地」タパタリ交差点についても、いずれ見学し、報告したい。


■旧文部省前消灯信号機

■新設ロータリーと消灯信号機


■アメリカンクラブ(撮影厳禁) [Google]

(注)ネパールでも、いずれロータリーでは対応しきれない事態になるだろうが、見る限りでは、市内信号機はまだ時期尚早ということのようだ。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/11/07 at 14:32

カオス後見人としての援助機関

途上国援助は,功罪両面があり,難しい。以下に紹介するのは,厳しく批判しているA.シュリバスタバ氏の記事。

▼ Arun Shrivastava,Towards a “Colored Revolution” in Nepal?: Foreign Interference Triggers Political Chaos,Global Research,October 11, 2012

[以下引用]
INGO,NGO,USAID,フォード基金,DFID(英国国際開発省),ジョージ・ソロス系人権諸組織,そして国連諸機関は,「カオス後見人」である。彼らの活動地ではどこでも,標的とされた国家は統治不能とされる。これは秘密でも何でもない。ネパールがまさにその実例だ。

ネパールの人々は,ネパールで活動する国際NGOや国際援助団体・国際人権組織はすべて次の6つのことを目標としている,ということを忘れてはならない。

(1)最有力な宗教の信用を失墜させ,最終的には破壊すること。

(2)キリスト教原理主義信仰を強化すること。ヒンドゥー寺院攻撃,NEFIN幹部たちの非礼なヒンドゥー教侮蔑発言,キリスト教原理主義者の資金援助でJoshua Projectが作成したデータベースと地図,これらはすべて次の決定的な第3の目標の達成を目指している。
 [(注) NEFIN: Nepal Federation of Indigenous Nationalities, ネパール少数民族連合,1991年設立,48民族協会が参加。Joshua Project: ヨシュア・プロジェクト,1995年発足,米国キリスト教世界ミッション部局,少数民族の調査支援組織。]

(3)民族(エスニシティ)/カーストの対立を煽動し,国民アイデンティティや国民の威信を破壊すること。

(4)策謀により危機を次々とつくり出した上で,自らを「危機管理者」として売り込むことによって,あるいは危機状況を放任することによってさえ,人民とその指導者たちによる自分自身の事柄の決定を妨害すること。10年間の内戦と,4年間に及ぶ新憲法制定過程の混乱とその結果としての失敗は,その明白な実例である。

(5)ヒマラヤは傷つきやすいものであるにもかかわらず,そこで略奪的・環境破壊的な資本主義を促進すること。これは,共同の資源管理と平等の利益分有を目的とする「伝統的な文化社会制度」を掘り崩し,弱体化させるものである。

(6)ネパールの政府と治安組織の中に深く浸透し転覆させること。
「以上引用」

シュリバスタバ氏の記事はかなりの極論であり,先に参照したもの(米軍「部隊」ムスタン派遣と「蓮の葉」作戦)と同様,裏付けが十分とはいえない。

しかしながら,ここで批判されていることは,実感としてはよくわかる。おそらくこれが,援助を受ける側のネパールの,もう一つの本音であろう。途上国,特に多民族社会との付き合いは難しい。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/10/16 at 11:49

存在感ます中国と韓国

1.中国の積極外交
テレグラフ(1月20日)によると,ヤン中国大使は18日の記者会見で,ネパールは外国の国家モデルを追うのではなく,ネパールに適したネパール自身の国家を構築すべきだ,と忠告した。

テレグラフの指摘をまつまでもなく,これは歴代国王の国家理念である。中国はえらい。お手本は毛沢東ではなくネパール国王なのだ。たしかに歴代ネパール国王は中国の友であった。

いずれにせよ,テレグラフの分析によると,中国の対ネ外交の基調が変わった。これまでネパールにおいて中国は目立つことを慎重に避け「静かなる外交」をしてきたが,最近,その伝統的スタイルを放棄し,積極的に発言し行動するようになった。まるでインドと入れ替わったようだという。

2.韓国の積極投資
韓国も負けてはいない。1月20日,キム大使はルンビニ開発のための2百万ドル援助協定に調印した。

韓国国際協力局(KOICA)が中心となり,「韓国の経験と知識によりルンビニを世界平和都市にする」のだそうだ(nepalnews.com, Jan20)。中国は115m大仏を建立し国威を発揚する。さて,韓国はどうする? 700m展望塔を建て,スカイツリーを見下すか?

日本は,ルンビニでも,もはやお呼びじゃない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/01/22 at 19:12

カテゴリー: 経済, 外交

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「ネパール=中国友好年」と「ルンビニ観光年」

1.無礼な中国首相訪問
温家宝首相の訪ネ(1月14日)はあまりにも異例,ネパールはまるで中国の一部か属国のようであった。ネパール・メディアが,鬱鬱たる怒りを押し殺しつつ,皮肉たっぷりに伝えているところによると,経緯の大要は次の通り。

中国がネパールに首相訪問を公式に伝えたのは24時間前であり,ネパール外務省の公式発表は特別機着陸(11時50分)の48分前であった。

■1月13日(金)
 ・大統領,制憲議会議長への連絡=13日午前。
 ・外務省幹部=メディア報道で,16時頃知る。
 ・首相官邸がソルティーホテルに昼食会準備依頼=16:30
 ・官邸の赤カーペット取り替え=13日夕方
 ・中国大使館員らとの打ち合わせ=13日夕方
■1月14日(土)
 11:50 温首相,TIA到着
 12:15 バブラム首相と会談
 12:45 首相官邸で両国公式協議
 13:30 8協定調印
 13:50 昼食会。各党首ら出席
 14:50 大統領官邸出発
 16:00 ドーハへ向け出国

ネパールにとっては,予告無しの来訪に近い。特に,大統領,議会議長,各党首らは,ほとんど情報のないまま,突然,14日カトマンズ待機を求められたらしい。たった4時間の訪問のために。無礼千万といわざるをえない。

2.ネパール=中国友好年2012
温首相の訪ネはわずか4時間であったが,地政学的に重要な地域での大規模ダム建設,ポカラ国際空港建設,経済協力拡大など,協定が8つも締結され,中国にとっては成果十分であった。

それらの中で,今のところあまり注目されていないが,中長期的に重要となると思われるのが,「ネパール=中国友好年2012」の採択である。

協定によれば,2012年は「ネパール=中国友好年」とされ,文化交流・青年交流が拡大され,「中国フェスティバル」が展開される。中長期的に,中国文化を浸透させていく計画らしい。

これは「友好」が目的だから,反友好的な行為は抑制される。具体的には,自由チベット運動。協定は,こう宣言している。

「ネパール側は繰り返し確認した――世界において中国は唯一であること,中華人民共和国政府は中国全体を代表する唯一の合法政府であること,そして台湾とチベットは中国の不可分の領域であること。またネパールは,中国の国家主権・国民統一・領域統合への努力を強く支持し,いかなる勢力にもネパール領域を反中国の活動や分離活動のために利用させることはない。このネパールの立場を,中国側は高く評価した。」

これは中国のいうがままであり,この協定により,ネパールはこれまで以上に強力にチベット自由運動や他の反中国活動を取り締まらなければならないことになった。

さて,どうするか? ちょっとうがった見方だが,この点との絡みで注目すべきは,今回約束された次の援助である。

中国は,警察力強化に1億2千5百万ルピー,武装警察学校設立に5千万ルピーの援助を約束した。これらのうち武装警察は準軍隊であり,その幹部養成を任務とするのが武装警察学校であろう。そこに中国が援助する。さすが,中国,目の付け所がよい。

中国との友好は,当然,自由チベット弾圧を意味する。

3.ルンビニ観光年2012
この「ネパール=中国友好年2012」とリンクしているのが,「ルンビニ観光年2012」である。ヤダブ大統領は,「ネパール=中国友好年2012」協定調印の翌日(15日),カトマンズからルンビニに行き,そこで「ルンビニ観光年2012」を宣言した。偶然の一致ではなく,両者は連動していると見るべきだろう。

14日のカトマンズでの協議において,バブラム首相がラサ-カトマンズ-ルンビニ鉄道建設を要望したのに対し,温首相は,それは十分に可能であり,中国政府は前向きに検討する,と約束した。中国側は,やる気満々なのだ。

もしラサ-カトマンズ-ルンビニ鉄道が建設されたら,ネパールの地政学的位置は大きく変化する。あるいはまた,中国は,ルンビニの先の巨大なインド市場をも見込んでいるのかもしれない。

いずれにせよ,「ネパール=中国友好年2012」と「ルンビニ観光年2012」は連動していると見るべきだろう。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/01/18 at 13:44

カテゴリー: 経済, 外交, 文化, 中国

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韓国のルンビニ開発援助,政府受諾決定

ネパール政府は1月12日,韓国からのルンビニ開発援助2百万ドルの受け入れを決めた。さすが韓国,仕事が早い。そして,宣伝上手。

もしこれが日本なら,モタモタし,たとえ同じ2百万ドル援助しても,せいぜい1,2行のベタ記事か,下手をすると無視されてしまう。報道されなければ,何もしないのと同然。それが世界なのだ。

韓国は,そして中国も,行動様式は米欧に近く,どう報道されるか――どう評価されるか――を考え,最大限効果的な外交をやっている。見習うか,援助をやめるか,どちらかにすべきだろう。

* ekantipur, Jan13

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/01/13 at 11:16

カテゴリー: 外交, 中国

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人治の国の立ち枯れ援助信号機

毎日、朝から晩まで勤勉に仕事をし、合間に街を移動。車は引き続き急増し(韓国車多し)、各地で渋滞が続発している。

この車増加を見越し(あるいは車輸出のため)、日本を始め先進資本主義国は、市内各所に最新式信号機を援助してきたが、見た限りではほぼ全滅、まともに動いているのは最近(今年?)設置したばかりの日本援助カトマンズ=バクタプル高規格道路のものだけだった。これも、この調子では、半年もすれば消されてしまうだろう。

電気は、雨期であり、足りている。スイッチを入れれば稼働するはずなのに、切ってしまう。これはハードではなく、ソフト、つまり文化の問題である。

以前にも指摘したように、信号機は法治(ルール遵守)のモデル。機械(信号機)の合理的命令に人間が服従する。法治が内面化されている日本では、たとえタヌキしかいない深夜の農道でも赤信号で車はちゃんと停止する。日本では、法(ルール)をつくる支配階級は法を守らないが、大半の人民大衆はいつ、どこでも法を遵守する。

これに対し、ネパールは本質的に人治の国。周りの人々の動きを見て自分の行動を決める。文化全体がそうなっているので、道路においても、いくら高価・高級な信号機を設置しようが、それは援助国の自己満足に過ぎず、ネパール人民にとっては何の意味もない。半年もすれば、スイッチを切り、人治に戻してしまう。

たとえば、日本援助の文部省前信号機も、ロータリー式に戻され、警官が手信号で交通整理している。ここには、怪しい「アメリカン・クラブ」があり、前回、日本援助信号機をタメル方面から激写したら、アメリカンクラブ警備兵(武装警官)がすっ飛んできて、すんでの所で射殺されるところであった。ここでは毎年、何も知らず王室博物館やタメル方面をパチリとやった日本人観光客が何人か拘束されている。いまや文部省前交差点は、ネパール文化・社会・政治のパワースポットの一つである。ぜひ見学していただきたい。ただし、写真は撮らないこと。

信号機のないロータリー式交差点は、人治のモデル。つねに相手の格や動きを見て、自分の行動を決める。そして、人治の国ネパールでは、ロータリー式や警官手信号の方が、はるかによく機能している。実に見事だ。

ネパールの人治文化は、社会に深く根付いており、近代的な法治主義や立憲政治を移植するのは、至難の業である。それは、立ち枯れの哀れをさそう日本援助信号機を見れば、誰しも納得せざるをえないだろう。
トヨタと消灯信号と交通安全啓蒙(バグバザール)

谷川昌幸(C)

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2011/09/21 at 14:31

カテゴリー: 社会, 文化

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ネパール政府の対日経済・食料援助

ネパール政府は,震災・津波被害者に,毛布5000枚を1両日中に届ける。また,経済援助と食料援助も検討されている。

毛布5000枚といえば,かなりの量だ。経済援助や食料援助も,ネパール人民にとっては大きな負担になるにちがいない。

それでも,ネパール政府はいち早く遠方の日本人民に援助の手をさしのべようとしている。多謝。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/03/25 at 14:28

カテゴリー: 社会, 経済

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ネパールのトラ

ネパールにはトラが109匹いるらしい。Dev Raj Dahal, Election and Conflict in Nepal(FES, Aug.2010)の生息調査結果だ。

ダハール氏によると、ネパールの政治社会構造は、いま大きく変化しつつある。バフン=チェットリ=ネワール権力寡占としての伝統的支配は弱体化し、かといって左翼的階級支配に移行することもできず、統治そのものが崩壊に向かいつつある。

その統治動揺をついて激化してきたのが、民族アイデンティティ政治。新憲法には44民族集団が民族権益を書き込ませようとしのぎを削り、法の外では109武装集団がそれぞれの縄張りをめぐり私闘を繰り広げている。トラは野に放たれたのだ。

「ネパールのトラ」と名乗る集団――タライに多い――もあれば、そうでない集団もある。が、いずれにせよ様々な集団が縄張りをつくり、勝手に税を取ったり、法(ルール)を決めたり、自治州(自治区)首長を任命したりと、あちこちでジャングル化を進めていることは間違いない。

トラを放ち、自然なジャングル秩序自生を待つか、それともオリをつくり、トラを囲い込むか? 問われているのは、むしろ教師面をしてネパールにお説教してきた西洋知識人・開発専門家らである。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2010/12/24 at 18:09

カテゴリー: 民族

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