ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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キリスト教攻撃激化と規制強化(3)

2.教会施設の破壊攻撃
この4月以降,教会の建物への爆弾投入や放火が,前掲の表記載のように,頻発している。これらの教会攻撃で,いまのところ人的被害はないが,建物や備品には相当の損害が出ている。警察は,そのいくつかについて,ビプラブ(NB・チャンド)派共産党の犯行と疑っているが,当局は捜査に消極的であり,解明は進んでいない。(*2)

一方,教会側は,攻撃が連続的で全国に及んでいることから,ヒンズー右派によるものとみている。ヒンズー右派はいま「キリスト教改宗を警戒せよ」キャンペーンを展開しており,これが支持を拡大している。「ネパールの教会に対するこれらの攻撃は散発的なものではなく,キリスト教社会に対する計画的・組織的な攻撃に他ならないのに,政府は何も対応しようとはしない。」(BP・カナル牧師)(*3)

そうした中,著名な教会指導者が白昼,襲撃される事件が起きた。7月31日付「モーニングスター・ニューズ」記事によれば,7月19日午後2時頃,カトマンズの目抜き通りの喫茶店で,「ネパール全国クリスチャン連盟(FNCN)」書記長のサガル・バイズ牧師(ブダニルカンタ「グレースビクトリ教会」主任牧師)が男数人に突然襲撃され,滅多打ちにされた。彼らは,「お前の教会も他の教会もすべて爆破し,お前ら教会指導者をみな殺してやる」と言い残し,逃走した。

この襲撃は,記事によれば,この数か月のキリスト教への敵意の高まりの中で発生した。バイズ牧師は,「ネパールでは,毎日のように,こうした事件が起きている」にもかかわらず,政府がキリスト教徒の権利を守るに必要な対策をとらないため,ヒンズー右派諸組織がそのスキを突きキリスト教攻撃を激化させている,と見ている。(*8)

■カトマンズの主要教会(Google, 2018/08/07)


■FNCN FB(2018/08/08)/バイズ牧師襲撃(*8)

*2 “Four more churches attacked in Nepal,” Sight(World Watch Monitor), 17 May 2018
*3 “6 Christians Arrested, 4 Churches Attacked, Bombed in Nepal,” Christian Today, 7 June 2018
*8 “Assault on Christian Leader in Nepal Reflects Growing Threat,” Morning Star News, 31 July 2018

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/08/08 at 17:02

カテゴリー: 宗教, 人権

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キリスト教攻撃激化と規制強化(1)

ネパールでは,ネパール共産党(NCP)政権成立以後,特に3月以降,キリスト教に対する攻撃が激化し,規制も強化されてきた。教会施設の破壊,信者の逮捕や国外退去処分などが,あいついでいる。

ネパールの宗教別人口は,国勢調査(2011年)によればヒンズー(ヒンドゥー)教81.3%,仏教9%,イスラム教4.4%,キリスト教1.4%,その他3.9%であり,キリスト教はごくわずかの少数派だが,これは意図的過小評価であり,実際には3~7%もいるとさえいわれている。いずれが正しいか,にわかには判断できないが,いずれにせよキリスト教徒がネパールにおいて急増し,教会関係者の間ではネパールが「世界でキリスト教徒増加率の最も高い国」の一つとして注目されていることは事実である。

この春以降のキリスト教規制強化や攻撃激化が,諸状況を考え合わせるなら,キリスト教徒のこの急増と関係していると見て,まず間違いないであろう。そこで,以下,報道記事に基づき,この数か月のキリスト教規制強化・攻撃激化につき概略を紹介する。なお,キリスト教系メディアが多かれ少なかれ教会側から報道していることは,言うまでもない。また,参考のため,ヒンズー社会の側からのキリスト教布教活動批判記事の要旨も付記しておく。

 ▼キリスト教取締りと教会攻撃
03.22 女性キリスト教徒,宗教感情毀損容疑で逮捕。
04.28 カトリック教会(バンケ郡)放火。
04.30 改宗強要容疑でキリスト教徒2名逮捕(チトワン郡)。
05.04 キリスト教徒を自宅で逮捕。容疑不明。
05.08 女性キリスト教徒3名,買収による改宗勧誘容疑で逮捕。
05.09 聖歌を路上で歌ったキリスト教徒逮捕。
05.10 ヘブロン教会(パンチタル郡)放火。
05.10 エマニュエル教会(ドティ郡)放火。
05.11 エマニュエル教会(カンチャンプル郡)放火。
05.13 マヒマ教会(カイラリ郡),爆破。
05.19 キリスト教系孤児院閉鎖,事務長逮捕。
05.19 キリスト教徒2名,宗教感情毀損容疑で逮捕(モラン郡)。
06.15 女性キリスト教徒,布教中に逮捕。
07.06 外国人キリスト教徒夫妻,教会活動を理由に国外退去処分。
07.19 「ネパール全国クリスチャン連盟」書記長,襲撃(カトマンズ)。
 (注)一部,日付異同や重複があるかもしれない。


■Converge(12/28/2015)/Open Doors Australia(08/05/2018)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/08/05 at 18:05

カテゴリー: 宗教

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キリスト教とネパール政治(5)

3.キリスト教会と2017年連邦・州ダブル選挙
(1)キリスト教の急拡大[前掲]
(2)布教の法的規制[前掲]
(3)布教規制撤廃の働きかけ
キリスト教会側は,この憲法や刑法による布教(改宗)規制に対し,2017年連邦議会・州議会ダブル選挙を好機ととらえ,その撤廃を政官界に働きかけた。

国民覚醒党のロクマニ・ダカル議員は8月10日,改正刑法案の改宗(布教)処罰規定を削除するよう要求した。「私には,この国が宗教の自由と人権を守る国際規約に署名していることを忘れ刑法改正を進めている,と思われてならない。・・・・どうか,ネパールは国際法に署名しながら国内法の制定・施行においては別のことをする国だ,などと世界から言われないようにしていただきたい。」(*5)

改正刑法案への大統領署名(10月16日)直前には,「宗教信仰の自由のための国際議員パネル(International Panel of Parliamentarians for Freedom of Religion or Belief [IPPFoRB])」ネパール支部が,10月9~12日の日程で,国際使節団をネパールに招いた。

IPPFoRBネパール支部長はロクマニ・ダカル議員。訪ネ使節団に参加したのは,IPPFoRB運営委員長でカナダ国会議員のデイビド・アンダーソンをはじめ,米欧,ラテンアメリカ,アジアの諸国の国会議員ら。彼らは,ネパールの大臣や議員,市民団体代表者らと会い,宗教の自由の保障を強く要請した(*6)。

また,IPPFoRBのネパール支部長ロクマニ・ダカル議員と運営委員長デイビド・アンダーソン議員は連名でコメント「ネパールにおける宗教の自由―転落の瀬戸際」を発表,次のように現状を厳しく批判し,内外協力して抜本的改革を実現するよう訴えた(*7)。

以下,コメント要旨
訪ネ使節団は,宗教の自由を制限する憲法26(3)条や改正刑法案を見て,大きなショックを受けた。ネパールでは,「この最も基本的な人権が危機に瀕していることに疑いの余地はまずない」。

「改宗を規制する改正刑法案の第9部160条は,正当な宗教信仰の表明を幅広く規制できるものであり,これにより宗教団体の慈善活動も自分の信仰表明でさえもできなくなる恐れがある。・・・・

昨年6月,8人のクリスチャンが,子供たちにイエスを描いたコミックを見せたにすぎないのに,子供たちを改宗させようとしたとして罪に問われた。幸い,彼らは2016年12月,無罪判決を受けたが,もしこの法案が成立し法律となり,憲法が改正されないままであれば,同じような事件がこれからも起きるに違いない。

これは,市民的政治的諸権利国際規約18条の規定に違反している。同条は宗教の自由を各人の基本的権利として明確に保障しており,ネパールは自らの1991年条約法によりその施行を義務づけられている。

新憲法制定を急ぐあまり,政府は,宗教を持つこと,宗教を変えること,そしていかなる宗教をも持たないことですら,個人の権利として保障している国際規約に署名したことを忘れてしまったようだ。ネパールは,国際規約に署名しながら,国内法の制定施行においては全く逆のことをする国だ,などといった評判を立てられないよう注意すべきだ。

こうした状況は変えねばならない。ネパールの市民社会諸団体や議員らは,政府に国際的義務を果たさせるため,さらにもっともっと努力すべきである。むろん,これは極めて重要な闘いであり,国内の人々の努力だけに期待するわけにはいかないが。

70以上の国の加盟者を擁する「宗教信仰の自由のための国際議員パネル(IPPFoRB)」は,全世界の政府に対し,ネパール大統領に圧力をかけ刑法典署名を断念させ,また時機を見てネパール憲法26(3)条を改正させるための努力を,なお一層強化するよう要請する。

これらは,もしわれわれが,この美しく荘厳な山の国において宗教信仰の自由への権利が守られることを確実にしようとするなら,避けることのできない行動である。」(*7)
以上,コメント要旨

こうしたキリスト教会側からの働きかけに対し,政府や政治家らも,報道は少ないものの,ある程度の対応はしているようだ。キリスト教会代表が提出した布教(改宗)規制規定削除要請に対して,デウバ首相は世俗主義を制度化し少数者の権利を守ると語ったし,ディネシュ・バタライ首相顧問も「直ちに対処し選挙前に解決する」と述べたという(*4)。

また,教会関係行事への政官界有力者の参加も少なくない。7月のビリーバーズ教会ネパール教区主教就任式(2017年7月9日)には「新しい力党」幹部ヒシラ・ヤミ(バブラム・バタライ元首相夫人)が出席し,主賓あいさつの中で,こうのべた。「ネパールは世俗国家だが,キリスト教徒は当然享受すべき宗教の自由をまだ享受していない。・・・・すべての人々は,どの宗教,どの社会共同体に属するにせよ,平等に取り扱われるべきだ。」(8)

この主教就任式には,UMLのMK・ネパール議員(元首相),コングレス党のガガン・タパ議員(元保健大臣),国民覚醒党のロクマニ・ダカル議員など,多数の有力政治家が出席している(*8)。

年末のクリスマス集会にも政官界有力者が多数参加した。たとえば,「ネパール・クリスチャン協会(NCS)」・「ネパール教会連盟(NCFN)」共催のクリスマス集会(カトマンズ,12月3日)には,プラチャンダMC党首が出席し,世俗主義の意義について講演した(*9)。

*4 “Nepal PN ‘commits to adress’ Christian concerns ahead of election,” World Watch Monitor Nepal, 8 Nov 2017
*5 “Bill Criminalises Religious Conversion,” Christian Solidarity Worldwatch, 22 Aug 2017
*6 “Not Secular,” Kathmandu Post, 29 Oct 2017
*7 Lokmani Dhakal & David Anderson, “Religious Freedom in Nepal – Teetering on the Edge of a Precipice,” Ratopati, 2074-06-31
*8 “Two New Bishops Installed in Nepal Dioceses of Believers Church,” Believers Eastern Church, 10 Jul 2017
*9 “Christmas Greeting Exchange Program in Conjunction of NCS and NCFN,” Nepal Church com, 2017-12-19

■IPPFoRBホームページ(2017年10月25日)

(4)キリスト教系政党の政界進出
このようにみてくると,ネパールではキリスト教が信者を着実に増やし,地方レベルでは政界へも進出し始めたことがわかる。

中央でも,キリスト教会と政界との関係は日常化し深まりつつあるが,連邦議会に限定すると,キリスト教系政党の進出はまだ見られない。

制憲議会(定数601)では人民覚醒党が1議席(ロクマニ・ダカル)を得ていたが,今回の連邦議会選挙では,定数半減もあってか,下院(定数275),上院(定数59)ともキリスト教会系政党は議席を獲得できなかった。


 ■「キリスト教世界最速成長国ネパール」(The Gundruk Post, 4 Apr 2018) / ビリーバーズ・イースタン教会HP(4 Apr 2018)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/04/05 at 10:32

カテゴリー: ネパール, 議会, 宗教, 憲法, 政治

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キリスト教とネパール政治(1)

ネパールでは2017-18年,地方(町村),州,連邦の3レベルの選挙が実施された。これにより,2015年憲法の定める地方政府,州政府,連邦政府が成立,人民戦争後新体制が名実ともに正式発足した。

選挙では,新生「ネパール共産党(統一共産党・マオイストセンター連合)」が大勝し政権を担うことになり注目されているが,ここでもう一つ,見落としてはならないのがキリスト教と新体制との関係である。

宗教と政治の関係は,ネパールでは”微妙な”テーマであり,特にキリスト教については取扱注意,報道は多くはないが,いくつか散見される資料を手掛かりに,ネパールにおけるキリスト教と政治の関係の現状の一端を見ておくことにする。

1.「キリスト教徒急増」問題の複雑さと危険性
世界各国のキリスト教系メディアでは,ネパールは「キリスト教徒急増の国」として注目され,繰り返し紹介されている。それは,いわば現代ネパールの枕詞。

ネパールのキリスト教徒は,全人口に対し1991年0.2%,2001年0.5%,2011年1.4%と増加してきたとされているが,実際にはそれ以上で,現在3~7%,あるいは2~3百万人ともいわれている(正確な教徒数は不明)。日本は1%(2012年)だから,少なめに見積もってもネパールではすでに日本以上にキリスト教徒比率が高くなっていることは確かだ。

ネパールでキリスト教に改宗しているのは,ダリットなど,いわゆる「低カースト」の人々や,タマン,タルーなど差別されてきたとされる諸民族の人々が中心と見られている。そのため,キリスト教改宗問題は,カースト間闘争,貧富階級間闘争,民族闘争の様相をも多かれ少なかれ帯びざるを得ない。

さらに,ネパールのキリスト教会は,西洋やアジアの富裕な先進諸国の教会に物心両面で支援されていると見られているので,ネパールにおける改宗は外交問題でもある。たとえば,憲法の「布教禁止」規定の撤廃をあからさまに要求したスパークス駐ネ英国大使の2014年の発言は,キリスト教国の露骨な内政干渉の典型として,ネパールではいまもって繰り返し非難攻撃されている(改宗勧奨: 英国大使のクリスマス・プレゼント)。キリスト教は,ネパール・ナショナリスト,とりわけヒンドゥー・ナショナリストにとっては,不倶戴天の敵なのだ。

キリスト教布教は,このようにネパールでは,複雑で,微妙で,難しく,危険きわまりない問題である。今後,布教がさらに進めば,問題は一層深刻化するであろう。

【参照】キリスト教会ネットサイトも急増している。下掲はそれらのうちのいくつか。
  
 ■Turahi News / Churches Network Nepal

   
 ■Good News Media / Mission in Church / Assumption Church

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/03/25 at 16:43

カテゴリー: 宗教, 憲法

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イタリアの旅(7):カトリック教会の遍在

イタリアはカトリック教会の地元だけに,教会がいたるところにあり,だれでも入って祈ったり見学したりできる。有名教会でなくても,優れた彫刻や絵画があちこちにある。ときにはパイプオルガンが演奏されていることもあり,これはまさしく天上からの音楽,しばし時のすぎるのを忘れるほどだ。

むろん異教徒にとって,カトリック教会関係の事物には戸惑うことも少なくない。たとえば,ミラノ大聖堂(ドゥオーモ)の「聖バルトロマイ」。皮剥ぎ刑に処せられた身体の,あまりのリアルさにゾォーとする。

またトリノの教会(名称失念)の「悲しみの聖母」。胸に矢が7本も刺さっている。直視に堪えない。

アルプス地方に行くと,山の中腹や山頂に十字架が立てられている。たとえばアオスタのPunta Vallettaz中腹(2300m)には,十字架のイエス像があるが,これまたあまりにもリアル。一帯は広大なスキー場で,冬はスキー,夏にはハイキング,マウンテンバイク(専用コース多数),トレイルランニングなどが盛んにおこなわれている。それらと十字架のイエス,異教徒には違和感を禁じ得ない。

アルプス地方にはまた,小屋根付きの十字架のイエス像があちこちにある。これも,出会うたびにドキッとし緊張する。

一方,村の出入口や山道の脇にある聖母の祠は,日本のお地蔵さんのような感じ。ほほえましく,異教徒にも違和感はあまり感じられない。

そして,墓地。永遠の平和(pax)の地であり,立派な墓が多く,どこも花いっぱい,美しく維持管理されていた。生活はなお信仰に根付いているようだ。


 ▲聖バルトロマイ/ミラノ大聖堂


 ▲悲しみの聖母(トリノ)


 ▲十字架のイエス(アオスタ)


 ▲小屋根付き十字架[左右は別の十字架」(クールマイユール)


 ▲聖母の祠[左端](コーニュ)


 ▲墓地(クールマイユール)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/24 at 17:56

カテゴリー: 宗教, 文化, 旅行

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音楽に食傷気味:オーストリア

オーストリアは,いうまでもなく音楽の国。モーツアルト,ベートーベン,シューベルト,ハイドン,ヨハン・シュトラウス父子,マーラー・・・・。これら綺羅星のごとき大作曲家たちの生家や住居など,ゆかりの地があちこちにあり,いたるところで彼らの曲の演奏会が開かれている。

彼らは商品宣伝用にも引っ張りだこだ。特にモーツアルトは大活躍。様々なモーツアルト・グッズが,お土産屋ばかりか庶民向けスーパーにさえ,たくさん並べられ,売られている。

楽器の中では,やはりピアノ。いたるところに置いてある。とりわけびっくり仰天したのは,トイレ。公衆トイレにすら,ピアノが置いてある! トイレ・コンサートでも開催するのだろうか?

コンサートは,本格的なものから観光客向けのものまで様々あるが,お勧めは教会のパイプオルガン。あちこちに大きな教会があり,ほぼ例外なく立派なパイプオルガンが設置されている。礼拝などに参加すれば(信者でなくても大丈夫),天国から降り注ぐかのような荘厳な音楽に浸ることが出来る。私は,ザンクト・ペルテンのドーム教会の日曜礼拝に入れていただき,オルガン演奏を聴かせていただいた。

あるいは,アマチュア楽団のコンサート。ゼーフェルトには,アメリカから高校生バンドが友好訪問していて,野外コンサートを開催していた。アルプスの高山と高地の花々を愛でながら,高校生たちの真剣な演奏を聴いていると,すがすがしい気分に包まれ,心底からリフレッシュされる。

音楽の国オーストリアでは,このように音楽があふれており,さまざまな音楽を十二分に楽しむことが出来る。が,それはそうであるにしても,興業化・商品化された音楽がこれほどまでに多いと,そうした音楽には食傷気味となるのも偽らざる事実だ。

オーストリアで,プロによる本格的な演奏会ではなく,高校生バンドや教会パイプオルガン演奏にむしろ魅かれ癒されたのは,おそらくそのためであろう。

160720g
■モーツアルト像(ザルツブルク)

160720d 160720h
■ベートーベン住居/ヨハン・シュトラウス住居(いずれもウィーン)

160720j 160720i
■ハイドン・ハウスの中庭と室内(ウィーン)

160720c
■ザルツブルク「ドーム・コンサート」,モーツアルト:ピアノソナタ,Orpheus Concerts and Artists(45分,22ユーロ)

160720a 160720b
■王宮中庭演奏会(入場無料,インスブルック)/米高校生バンド演奏会(入場無料,ゼーフェルト)

160720f 160720e
■ザンクト・ペルテンのドーム教会/デュルンシュタイン修道院教会パイプオルガン

谷川昌幸(C)

 

Written by Tanigawa

2016/07/20 at 01:47

恵比寿様とマリア様:神ノ島

長崎・女神大橋を渡って「神ノ島教会」に行ってきた。教会は,長崎湾の入口の岬の中腹,入出港の船を迎え・見送る絶好の位置にある。

教会には,カトリック信仰復興に尽力した西忠吉・政吉の石棺が安置され,そこからは対岸に軍需産業の雄,三菱の巨大な香焼工場が望まれる。

教会の下方の海岸には,見方によれば,すさまじいものがある。そこには立岩が一つ,長崎港を守る門柱のように立っている。その小さな立岩の上に,何と恵比寿様とマリア様が鎮座されているのだ。

質素な祠から村を見守っている小さな恵比寿様と,それに尻を向け入出港の船を祝福している巨大な純白の女神様。

この立岩の上には,おそらく恵比寿様が鎮座されており,そこに後からマリア様が進出(侵出?)され,2神同居(雑居?)となったのだろう。平和共存されてきたのか,それとも反目されてきたのか,私には分からない。

何の予備知識もなく,この光景を見ると,正直,ギョッとする。港の入口の絶好の神域をめぐって恵比寿様とマリア様が場所取り合戦をしているようにしか見えないからだ。

長崎には,よそ者にとっては,興味尽きない不思議なものが無数にある。


 ■質素な祠の恵比寿様(左上),純白の巨大女神像(右上),三菱香焼工場(右端)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/04/05 at 08:14

カテゴリー: 宗教, 文化

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