ネパール評論 Nepal Review

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京都の米軍基地(43):正直な米軍と不実な日本官僚

日本辺地のちっぽけな自治体が,世界最強米軍にもの申すなど,どだい無理な話であったことが,早くも露見した。米軍当局が,京丹後市など端から無視し,基地建設工事の業者選定(5月2日),着工許可(14日)を済ませていたというのだ。

闘うジャーナリズム京都新聞(5月24日)によれば,京丹後市や京都府は,防衛省に対し,基地着工日を事前に連絡するよう再三申し入れてきたが,防衛省は米軍から何の情報も得ていないそうだ。近畿中部防衛局・福井報道官「本当に米軍から聞いていません」(同上)。

もしそうなら,そのような「軍事機密」を京都新聞は,どこから手に入れたのか? 米軍司令部(座間市)広報室からの情報らしいが,もしこれが「軍事機密」なら,京都新聞はそれを「不法に」入手したことになる。記者は,不倫か交通違反か他の何かで別件逮捕され,友人・知人を取り調べられ,生活をメチャクチャにされ,一生を棒に振ることになる。逆に,米軍報道官がペラペラしゃべる程度の情報で,「機密」でも何でもないとするなら,防衛省,京都府,京丹後市は,知っていながら「自己規制」し,市民には知らせなかったことになる。たぶん,これが事実に近いだろう。

日本の官僚機関や官僚主義政治家は,元来,そのようなもの(と想定すべき)だ。特に米軍との関係。そもそも世界最強米軍は治外法権,京丹後市など端から眼中にない。日本政府・防衛省にだって,重要機密は知らせない。それなのに,おめでたいことに,京丹後市長は要望を列挙し米軍にお願いすることを日本政府にお願いし,それを条件に,基地受入を決定した。こんな,お願いのお願いなど,屁の突っ張りにもならない。全くの無駄。

そして,むろん住民説明会もまったく無意味。米軍にとって,軍の機密と都合が万事すべてに優先する。基地着工前から,そのことを米軍は住民にはっきりと思い知らせてくれた。正直な米軍!

米軍は,この意味で正直であり,合理的に行動を予見できるが,まったく信用ならないのが,京丹後市など日本の関係機関。住民の要求を聞くふりをしながら,実際には,米軍への要求など実効性のあることは何もしていないはずだ。日本の優秀な官僚主義的官僚とは,そのようなものだ。

これから始まる基地工事も運び込まれる機器も,おそらく「軍機」。いつ,どこで,どのような工事が行われるかも,いつ,どこを,どのような機器が運ばれるかも,重要なことは市民には知らされない。何が危険か市民には分からない。

まだ着工前だが,それでも準備作業のためか,すでに自衛隊車両の通行が増加している。住民には,日本軍が,何のために軍用車両に一般道を走らせているのか,知らされていない。

すでに丹後には「軍事機密」がウヨウヨ。これまでのように無邪気に写真を撮ったり,おしゃべりしたりすると,いつしょっぴかれるかわからない。丹後半島は危険地域になった。もはや安心して楽しむことのできる観光地ではない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/05/25 at 08:12

自衛隊員の「つぶやき」:万人監視社会への警鐘

朝日新聞(1月6日)が連載「ビリオメディア」で、ツイッターやフェイスブックの危険性を指摘している。私のようなネット素人にとっても、この程度のことなら常識だが、その常識ですら度外視して無防備無警戒、丸裸でツイッターやフェイスブックを利用している人が少なくないらしい。

1.海自隊員の「つぶやき」
朝日記事によれば、記者はツイッターとフェイスブックに海上自衛隊員が投稿しているのを見かけた。そこには、実名で、制服姿の自分の写真ケイタイ電話番号が記載されている。第13護衛隊「あさゆき」乗り組み隊員らしい。

その彼が、外洋航海日程をフェイスブックに記載し、またツイッターでは、2012年12月10日13時5分に、北朝鮮「ミサイル」発射警戒作戦に関する自艦の情報をつぶやいた。

われわれ善良なる国民にとっては、24万自衛隊員が、フェイスブックやツイッターで自衛隊の作戦や日々の行動をつぶさに報告してくれれば、これほど有り難いことはない。暴力装置たる自衛隊が丸裸になり、文民統制も可能となるからだ。(もっとも、私自身は、文民統制はあまり信用していない。プロの自衛隊よりも、むしろド素人の文民(国民)の方が好戦的となりやすく、危険な場合が少なくないからである。)

しかし、それはそれとして、海自隊員の幼児なみの情報管理能力には、正直、たまげた。こうしたことは、情報重視の米軍が見過ごすはずはなく、自衛隊はますます信用を失い、米軍から重要情報は得られなくなる。情報ジャジャ漏れ自衛隊は、われら善良なる国民にとっては好ましいが、自衛隊自身にとっては深刻な由々しき事態であろう。

海自隊員のツイッターとフェイスブックへの記載は、朝日記者が防衛省取材を始めるとすぐ、消去されたという。おそらく上官から厳しく叱責され、あわてて削除したのだろう。

2.消去しても消去されないネット情報
しかし、ツイッターやフェイスブックの危険性は、本人は消去したつもりでも、実際には消去されていないことだ。事実、朝日記者は、本人の承諾なく、下図のような「つぶやき」を新聞紙面に転載している。おそらく、ツイッターとフェイスブックの記事をコピーし保存しているのだろう。この程度のことは、ネット素人の私にでも、簡単にできる。

130105 ■自衛官「つぶやき」転載記事(朝日新聞2013-1-6)

そして、これは素人にはよくわからないことだが、おそらくツイッターにせよフェイスブックにせよ、たとえ本人が削除しても、記載情報は何らかの形で運営者側に残されており、利用しようと思えば利用できるのではないか、ということ。もしそうであれば、第三者によるコピー配布に加え、こうした形でも、記載情報は利用される。ネット情報は、投稿の瞬間、自分の手を離れ、コントロール不能となる。そう覚悟すべきであろう。

3.権力と企業による利用
そして、もう一つの危険は、ツイッターやフェイスブックは、内外の権力機関や企業により監視され、分析されているということ。朝日記事は、北九州市の「つぶやき」監視や、経産省資源エネルギー庁の「つぶやき」収集を紹介しているが、これも常識といってよいだろう。

むろん、多くの人は、そんなことは自分には無関係と思っているに違いない。たしかに、もし特殊な情報機関や秘密機関などだけであれば、監視のターゲットとなるのは、テロリストや過激派など「特殊な」少数の人々だけであろうが、もし省庁や市役所、あるいは警察、学校、町内会などが日常的に「ネット監視サービス」を利用し始めると、もはや誰一人として無関係といってはおれなくなる。それは、万人が万人を監視する清潔安全なユートピアの到来である。

4.ネット情報 + 盗撮カメラ + IC免許証
フェイスブックの写真やツイッターの「つぶやき」は、街中にあふれる盗撮(防犯)カメラ映像と組み合わされると、さらに具体的、正確となる。あるいは、それらにIC免許証を組み合わせると、ほぼ完璧といってよいだろう。誰が何を考え、どこで、何をしているかが、丸見えだ。

フェイスブックやツイッターは、いったん投稿したら、もはや取り返しがつかない。写真や記事を誰がどう使おうが、投稿者には、どうすることもできない。朝日記事を見ても、それは明白である。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/01/06 at 18:32

ガバナンス崩壊: ネパールと日本

ネパールのガバナンス(統治)はアナーキー状態。ここまで来ると喜劇的であり,諸外国もそれを想定して交際しているから,害も少ない。国連にUNMIN派遣を要請したくせに,役立たずだから帰れ,と要求する。あるいは,プラチャンダ議長は,「PLAはせいぜい数千人。UNMINには3万人と吹っ掛け,21,602人を認めさせた。どうだ,スゴイだろう」と暴露し,あっけらかんとしている。とんでもないことなのに,みな,そんなもんだよ,と認めている。ネパール人は,天性のネアカなのだ。

これに対し,日本のガバナンス崩壊はジメジメ惨め。10月29日,警察のマル秘テロ情報が大量にネットに流出したと思ったら,今度は4日,尖閣沖の中国船衝突事件の動画がネットに流出した。ガバナンスぼろぼろ。しかも,その対応が実に陰気。ネパール式,プラチャンダ流に,あっれ,出ちゃった,ゴメンネとやれば,楽しめるが,日本の関係者は沈痛そのもの,陰気くさくてたまらん。これでは,事態はますます悪化するばかりだ。

日本の没落については,すでに何回も指摘した。このガバナンス崩壊もその一つだが,ここでもう一つ注目すべきは,日本のHDI(人間開発指数)の下落――

▼HDI(2005年):日本=11位

ついに日本はここまで落ちぶれた。5年後の現在はもっと下落しているだろう。しかし,どうせ落ちるなら,楽しくやろう。情報じゃじゃ漏れ,日本に機密なし。大いに結構。HDI世界11位。それがどうした。清貧こそ日本の伝統だ。それがイヤなら,「長屋の花見」でも楽しもうではないか。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2010/11/05 at 20:28

カテゴリー: 情報 IT, 政治

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