ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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援助と建前逆手どり,対ネ中国外交の冴え

1.ネパール併呑イラスト
中国の王毅外相が12月25~27日,ネパールを公式訪問し,ヤダブ大統領,コイララ首相,パンデ外相らと会談した。ネパール側は大きく報道したが,驚いたのはネパールの代表的新聞,カトマンズポスト/Ekantipurの下図イラスト(f)。右図は数日前のネパール訪中団関係記事イラスト(Republica,2014-12-20)。

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今回記事のイラストが,どうしてこのようなものになったのか? 記事内には何の説明もなく,唐突の感は否めない。正直,ギョッとした。ネパールは中国に飲み込まれるのか!

2.対ネパール援助5倍増
王毅外相を団長とする訪ネ団は,派手にして効果的な援助外交を展開した。

(1)経済援助5倍増
現行1億5千万元から8億元(130億ルピー)に増額。5.3倍の大増額! ちなみに日本の経済協力は6千3百万ドル(2011年)。

(2)「公務員病院」援助
公務員病院は,中国援助(6億5千万ルピー)で建設され,132ベッドで2010年開院。公務員は半額で受診できる。今回は,MRI,CTスキャン,レントゲンなど2億ルピー相当額の医療機器を援助した。

(3)「武装警察アカデミー」新棟に記念定礎
中国援助30億ルピーで建設される「武装警察アカデミー」新棟に王毅外相が記念定礎。

(4)9分野支援強化
王毅外相は,貿易,投資,農業,インフラ,科学技術,交通,観光,文化交流,治安の主要9分野での支援・協力を約束した。特に重視するのが,水資源開発。「中国は水力発電事業を最も重視している。」(b)

(5)後発途上国脱出支援
「中国は,ネパールが2022年までに後発途上国(LDC)から脱出するための努力への支援を惜しまない。」(b)

中国はさすが大国,大ぶろしきを広げ,出すところにはドーンと出し,しかも公務員,武装警察,水力発電,交通インフラなど,狙いどころも大変よろしい。

3.「中印の架け橋」としてのネパール
中ネ関係についても,王毅外相は老練中国外交の冴えを見せてくれた。12月26日の中ネ共同記者会見において,王毅外相は,南アジアにおけるネパールの果たすべきユニークな役割を高く評価し,全面的な支援を約束した。

「ネパールは,大国を両隣にもつユニークな位置にある。中国は,ネパールが両国との良好な関係を発展させることを期待する。」(b) 「中印は,相互関係を強化しつつある。ネパールとインドも,相互利益のため関係を強化しており,それを中国は支持している。」(b) 「ネパールは中国とインドを結ぶ架け橋となりうる。」(d)

「ネパールは,急成長する二つの経済圏,すなわちインドと中国の架け橋となりうる。中国は,ネパールが中国と南アジアの架け橋となることを期待している。」(e)

中国はインドを敵視していない。中国は「インド・ネパール・中国の三国協力関係の発展を願っている。」(d)  「三国は,協力により,良い成果をえられる。」(e)

4.「一つの中国」と「自由チベット」対策
この中国外交の妙は,相手国の掲げる建前の逆手どり,あるいはあえて言うなら「誉め殺し」にある。外交の鉄則といってもよい。今回の訪ネにおけるその成果の一つは,いうまでもなく「一つの中国」の確認と,それに基づく「自由チベット」の封じ込め。

王毅外相は,中国の「核心的利益」へのネパールの支持に感謝し,チベット・ネパール国境取り締まり強化の必要性を強調した。たとえば,少々割り引かねばならないが,中華網(12月27日)はこう報道している。「ヤーダブ大統領とコイララ首相は『ネパールは一つの中国の政策を堅持し、ネパールの領土を利用して反中活動を行うことを決して許さない。・・・・』と述べました。」(h)

中国援助の「武装警察アカデミー」も,王毅外相によれば,治安に関する中ネ協力の好例である。王毅外相は,こう述べている。「主権・独立・領土を維持し発展することを目指すネパールの断固たる努力を,中国は高く評価する。中国とネパールは,よい隣人であり偉大な友人である。」(b)

まさしく建前の逆手どり,ないし誉め殺し。そして,とるべきものはとる。日本も学ぶべきだ。

5.「シルクロード経済圏」の南進
「建前の逆手どり」のもう一つの成果は,「シルクロード経済圏」のネパール経由南進である。

王毅外相は,中印協力促進や印ネ協力促進を繰り返し強調した。これに対し,パンデ外相は,こう応えた。「われわれは,地域の交通,交易,観光およびその他の経済諸活動を発展させるため,シルクロード経済圏の枠組みのもとに,どのような協力が可能か検討した。」(b)

またネパール側は,中国提唱の「アジア・インフラ投資銀行」への期待をも表明した。(e)

このように,中国の「シルクロード経済圏」構想は,北京での参加表明に加え,カトマンズにおいても,ネパール政財界により歓迎され広く受け入れられたのである。

6.「中印の架け橋」の政治的含意
王毅外相は,「中印の架け橋」としてのネパールの役割を繰り返し強調した。この考え方自体は新しいものではなく,古くから,ネパールは「二つの巨岩に挟まれたヤムイモ」と言われてきた。それはネパールの地政学上の宿命であると同時に,国際社会におけるネパール固有の存在意義,ネパールのユニークなアイデンティティとされてきた。

たしかに,独立国家としてのネパールの存在を認める以上,建前はそうなる。そうならざるをえない。が,しかし現実には,ネパールは明らかに文化的にも政治的にもインド勢力圏内にあり,インド支配からの自由を求める動きは,限度を超えると,ことごとくインドの介入により圧殺されてきた。ネパールはインドの勢力圏内――これはインドはむろんのこと,ネパール自身も,いや中国でさえも,事実上,実際には認めてきたことである。

その自明の歴史的事実を考えると,いま中国が,ネ印友好支持を表明しつつも,「中印の架け橋」としてのネパールの役割を繰り返し強調することには,重大な政治的意図が隠されていると見ざるをえない。

中国は,怒涛の経済進出をバックに,「中印の架け橋」としてのネパールを,建前としてだけではなく,現実にもそうした役割を果たす存在へと変えようとしているのではないか。もしそうだとするなら,それは,ネパールをインド勢力圏から中国の方へ向けて大きく引き寄せることを意味する。

ネパールは非同盟中立・平和共存を外交原則としており,「中印の架け橋」はもともとネパール自身の外交の基本方針であった。それには,インドも面と向かっては反対できない。

中国は,そのネパールとインドの外交の建前を逆手にとって,ネパールをインド勢力圏への従属から引き出し,現実にも中印の中間に位置させ,そして,そうすることによって,その媒介国としてのネパールを介して,巨大な南アジア市場へと進出しようとしているのであろう。

まさしく「建前逆手どり外交」ないし「誉め殺し外交」だ。ネパールもインドも,自分たちの建前を逆手に取られてしまっては,この中国の外交攻勢への面と向かっての抵抗は難しいと覚悟せざるをえない。

冒頭で紹介したカンチプルのイラストは,中国進出に翻弄される小国ネパールの姿を,いささか自虐的に描いているのではないだろうか。

[参照資料]
(a)”Chinese Foreign Minister Wraps Up Nepal Visit,” Republica,2014-12-27
(b)Nepal can bridge China, SAsia’Ekantipur, 2014-12-27
(c)Chinese Foreign Minister Wang in Dhulikhel,Ekantipur,2014-12-27
(d)LEKHANATH PANDEY,”Nepal? China to work in nine core areas,” Himalayan,2014-12-26
(e)”China Increases Grant Assistance To Nepal,” Republica,2014-12-27
(f)”Chinese FM visit: Nepal-China ties ‘exemplary’,” Ekantipur,2014-12-27
(g)”Nepal can be a reliable South-Asian link: China,” Nepalnews.com,2014-12-26
(h)「ネパール大統領と首相、王毅外相と会談」中華網,2014-12-27
(i)「チベットに「布石」? 中国がネパール支援を5倍超に、外相が表明」,サンケイ=共同,2014-12-26
(j)ANIL GIRI,”In Nepal, Wang to press China’s peripheral policy,” Ekantipur,2014-12-26

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/12/31 at 12:52

汚職蔓延と権力乱用調査委員会:ネパール

1.腐敗蔓延
ネパールにおける汚職・腐敗の蔓延が,またまた国際的に実証された。先日発表された「腐敗認知指数2014」(Transparency International)によれば,ネパール社会の清潔度は,調査175カ国中の第126位,南アジアでもブータン,インドよりかなり下だ。(2013年度は177カ国中の第116位。)
腐敗認知指数(最小→最大)
[1]デンマーク [2]ニュージーランド [3]フィンランド [4]スウェーデン [5]ノルウェイ,スイス [14]英国 [15]日本 [17]米国 [30]ブータン [85]インド [85]スリランカ [100]中国 [126]ネパール,パキスタン [145]バングラデッシュ [174]北朝鮮,ソマリア(最下位)

この問題については,すでに昨年,かなり詳しく論評したので,以下では,それを前提に議論を進めることにする。
 権力乱用調査委員会(1):電力公社捜査
 権力乱用調査委員会(2):国外労働省,出入国管理省,ネパール石油会社など
 権力乱用調査委員会(3):強権行使の二面性
 権力乱用調査委員会(4):暫定憲法の規定
 権力乱用調査委員会(5):CIAA法1991(i)
 権力乱用調査委員会(6):CIAA法1991(ⅱ)
 権力乱用調査委員会(7):文化と「腐敗」
 権力乱用調査委員会(8):腐敗防止条約との関係

 141215a ■Transparency International Nepal

2.CIAAの腐敗調査
ネパールでは,憲法により「権力(職権)乱用調査員会」((CIAA:Commission for the Investigation of Abuse of Authority, अख्तियार दुरुपयोग अनुसन्धान आयोग)が設置され,権力(職権)乱用,汚職・不正・腐敗の調査取締りのための広範かつ強力な権限が付与されている(前掲拙論参照)。

CIAAは,検察/警察とは別の,憲法設置の腐敗調査取締機関であり,独立性が高く,したがって統治が正常に機能しない場合,統治のあらゆる領域に介入し「汚職」「不正」「腐敗」を調査し取り締まる機会が増える。CIAAは,独立機関だけに,迅速かつ有効に調査取締ができるが,その反面,つねに二重統治(第二の政府),独断的強権行使に陥る危険性をもまたはらんでいる。

その両刃の剣のCIAAが,昨年春の政党内閣崩壊危機前後に続き,いままた各方面への調査取締介入を強化している。2015年1月22日の憲法制定期限切迫が背景にあることは言うまでもないが,今回は昨年以上にCIAA介入への風当たりが強くなっている。最近の主な調査取締は,以下の通り。

(1)水力発電事業の認可取り消し
CIAAは,9月5日,水力発電事業の認可10件の取り消しをエネルギー省に勧告した。電力事業法第49条5では,事業調査は認可5年以内に調査開始を,発電事業ついては認可後直ちに事業着手を,定めている。ところが,これらの認可事業は,この法規定に違反し事業を進めていない,というのが理由だ(a,b)。
[取消勧告の10事業]
 調査認可取消:Bhotekoshi-5 (60 MW), Buku Khola (6 MW),Karuwa Khola (36 MW)
 発電事業認可取消:Lower Arun (400 MW), Chaharekhola (17.5 MW), Upper Mailung Khola (14.3 MW), Upper Solu Khola Sano (18 MW), Midim Khola (3.4 MW), Upper Khoranga Khola (6.8 MW),Lower Indrawati (4.5 MW)

(2)教育不正
CIAAは,教育分野の不正・腐敗にも,大規模な調査取締介入を始めた。

[1]幽霊学校の摘発
ネパールには,学校登録をし国庫補助金を受け取りながら,実際には授業をしない学校,いわゆる「幽霊学校」が多数あるという。CIAAは,これまでにそうした幽霊学校737校を摘発し,最近も54件の情報提供があり捜査される見込みだ(c,d)。

[2]教員免許状偽造の摘発
CIAAは,現在,偽造教員免許状の告発を約1000件受けており,これを捜査するため,全国の郡教育事務所に対し,教員免許状を回収し,CIAAに提出するよう命令した。教員定員は16万2千人。調査は大規模となり,影響も大きい。ちなみに,2013年度の教員免許状偽造の摘発は80件(c)。

[3]入試問題漏洩の摘発
CIAAは,12月6日,医学部(MBBS=医学士)入学試験問題漏洩事件の捜査に着手した。NAME Institute for Medical Education, Golden Gate International College, Orbit Medical Entrance Preparation などの関係学校やMBBS入試準備センターを捜査し,コンピュータや書類など多数の証拠品を押収,数名を逮捕した。

ネパールでも医学部(MBBS)は人気が高く,受験生は約6千人。逮捕された容疑者らは,入試問題のうち「生物A・B」を密かにコピーし,1部100万ルピーで受験生に売っていた。容疑者の一人の自宅からは,小切手450万ルピー,現金10万ルピーが見つかり,押収された。(e,f,g)

[4]公務員汚職の捜査
CIAAは,現在,公務員約1000人について,汚職容疑で捜査している。詳細は不明。(h)

 141215b ■CIAA

3.CIAA批判の高まり
CIAAの介入がこのように拡大するにつれて,CIAAへの批判も高まってきた。

(1)CIAAの強権化
一つは,腐敗の調査取締をするCIAAの強権化と,CIAA自身の不正・腐敗をどうするかという問題。「番犬の番を誰がするのか?」(S.B.タマン議員)

番犬が強力になればなるほど,その利用価値も大きくなる。すでに,事業実施や職場において不満を持つ側が,妨害目的でライバルをCIAAに訴える事例が激増しているという。「CIAAに訴えてやる」という脅し。

CIAAが,このようにして「第二の政府」のようなものになり,「第一の政府」の統治に介入すればするほど,国家統治は混乱し,皮肉なことに,腐敗は逆に増えていくことになる。そして,強権化したCIAA自身もまた,「第二の政府」として腐敗に蝕まれていくことは免れない。「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する。」(アクトン卿)(i)

(2)カルキ委員長の適格性への疑問
CIAA批判のもう一つの理由は,カルキ(Lok Man Singh Karki)氏は委員長にはふさわしくないというもの。

カルキ氏がCIAA委員長に任命されたのは,2013年5月8日。その頃,ネパール政治は,第一次制憲議会解散後の混乱で制憲議会選挙も出来ず,政党政治は行き詰まっていた。主要諸政党は,窮余の策として,最高裁判所のレグミ長官を議長(首相)とする非政党の選挙管理内閣をつくり,暫定的に統治を一任した。

この混乱の中でレグミ議長(首相)が,高次政治委員会(マオイスト,NC,UML,UDMF)の推薦に基づき,CIAA委員長に任命したのがカルキ氏であった。任期は,2013年5月8日から6年間。

このカルキ氏のCIAA委員長任命には,当初から反対が強かった。理由は主に二つ。一つは,カルキ氏がギャネンドラ国王の側近として「人民運動II」の弾圧に加担したというもの。ラヤマジ委員会が調査し,有罪と判定されたとされるが,詳細は不明。もう一つは,カルキ氏には贈収賄スキャンダルが多いというもの。横領容疑でCIAAに捜査されたこともあると報道されているが,その詳細は不明。(j,k,l)

 141215c ■カルキ委員長ツイッター

4.CIAA・議会対立の不毛性
CIAAの活動強化は,カルキ委員長の豪腕によるところが大きい。カルキ委員長就任後,CIAAは予算も人員も数倍に急拡大している。カルキ議長の最近の説明によれば,CIAAは2万3千件の申し立てを受け,800件を調査し,そのうち168件を腐敗問題を扱う特別裁判所に回したという。事実とすれば,CIAAの活動がいかに拡大したかをよく物語る数字である。

このようにCIAAの活動が拡大すると,当然,「第一の政府」との利害対立も激化してくる。たとえば,この11月4日,議会の3委員会(会計委員会,財務委員会,農業・水資源委員会)が,CIAA活動の権限逸脱問題を審議するため,カルキ委員長をそれぞれの委員会に召喚した。

この召喚に対し,カルキ委員長は,召喚に応じる義務はない,と真っ向から反論した。それでも,11月5日の財務委員会には出席し,CIAAは権限を守り活動しているが,それよりもなにより「議会運営規則(2070年)第110,115条により,CIAA活動については統治監視委員会でのみ説明する」のが筋であり,それを伝えるために出席したと述べ,委員からの質問には答えず,退席してしまった。とりつく島もない。

このようなカルキ委員長の態度に対しては,議会議員からは様々な批判が出されている。
 プラカシ・ジャワラ財務委員会委員長:CIAAは公務員に「テロル(恐怖)」を与えている。
 スレンドラ・パンディ議員(UML):カルキ委員長は,「番犬」の権限を越え,噛みつく「凶暴な犬」になった。
 チャンドラ・バンダリ議員(NC):CIAAは「法の支配」を守る義務がある。権限を越えるべきではない。
 農業・水資源委員会:委員会出席を拒否したカルキ委員長の責任追及をネバン制憲議会議長に要求。

こうした様々な批判に対し,カルキ委員長は,こう反論している。
 ・「CIAAは,ロック・マン(カルキ)の相続財産ではない。」
 ・「私は,独立の立場から,任務を果たしている。」
 ・水力発電事業については,エネルギー省筋からの調査依頼に基づき,法令に則り調査し,14件(11月現在)の事業認可の取消勧告を出したまで。
 ・CIAAは権限を守っており,「法の支配」をまもる「番犬」の役割を果たしているにすぎない。

このCIAAをめぐる論争において,いずれの側の言い分が正当かは,にわかには判定できないが,こうした争いがネパール政治の混乱と,それに伴う腐敗拡大の深刻さをよく現していることに疑いの余地はない。まったくもって不毛きわまりない争いといわざるをえない。(m,n,o,p,q,r)

[参照資料]
(a)BHADRA SHARMA,”CIAA asks ministry to scrap licences of 10 hydropower cos,” Kathmandu Post, 2014-09-06
(b)”CIAA Instructs Govt To Scrap 4 Hydro Licenses,” Republica,2014-10-29
(c)”CIAA to launch nation-wide probe into teachers’certificates,” nepalnews.com,2014-12-09
(d)”Lokman Singh Karki,” http://en.wikipedia.org/wiki/Lokman_Singh_Karki. ただしWikiのこの項目および「CIAA」の項目は,記述が不自然であり,注意を要する。
(e)”CIAA to launch nation-wide probe into teachers’certificates,” nepalnews.com,2014-12-09
(f)”MBBS Questions Leak : Seven More Under CIAA Scanner,” Republica,2014-12-09
(g)”NAME Director Sharma Arrested,” Republica,2014-12-12
(h)”Over 1,000 Nepal’s politicians under scrutiny: anti-graft chief,” Xinhua, 2014-12-09
(i)”Watching the watchdog,” Editorial, Nepali Times,#731,7-13 Nov.2014.
(j)”Lok Man the New Superman of NEPAL,” CNN iReport, 2013-05-08
(k)”Maoist nominee sworn-in as chief of Nepal’s anti-graft body,” Business Standard, 2013-05-08
(l)Gyanu Adhikari,”Royalist touches a raw nerve in Nepal,” The Hindu, 2013-05-08
(m)Rajendra Pokhrel,”Finance Committee members criticise CIAA chief Karki,” Nepalnews.com,2014-11-05
(n)”PAC summons CIAA Chief Karki,” Ekantipur,2014-11-04
(o)”CIAA chief Karki refuses to attend House committee, Thapa-led committee draws speaker’s attention,” Ekantipur, 2014-11-16
(p)”‘CIAA is not Lokman’s inherited property’,” Ekantipur,2014-12-05
(q)”House panel summons CIAA chief 2nd time,” Kathmandu Post, 2014-12-01
(r)”Another parliamentary committee summons CIAA,” HIMALAYAN,2014-11-04

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/12/15 at 20:38

小水力発電の可能性

ネパールでは,再生可能エコ発電の一つ,小水力発電が急増しているという。Sunir Pandy, “Taking power into their own hands,” Nepali Times, #725, 19-25 Sep.2014.
 ▼小規模水力発電所(出力5~100kw):2500事業所,総出力48MW,供給20万所帯
 ▼政府補助:25万5千ルピー/kw

141004a ■小水力発電(Nepali Times, #725)

ネパールでは,まだ「ネパール電力」(NEA)の送電線がない地域が少なくない。そうした地域では,住民自身が組合を作り,小水力発電所を建設,近隣の同様の小水力発電所とも送電線を結合し,自主的に地域の電化を進めてきた。

当初は照明用だけだったが,徐々に製粉,灌漑,パソコンなどのための電力としても利用し始めた。NEA送電線未整備のための窮余の策とはいえ,地域住民自身による再生可能エコ発電であり,最先端の地域電化事業といってよいであろう。

一方,NEAは大規模水力発電やインドからの買電により電力を確保し都市部を中心に供給しているが,それでも停電は常態化,乾期には1日18時間停電といった事態さえ起こっている。

しかし,それにもかかわらず,地方住民にはNEA電力利用への期待が強く,送電線が出来れば,NEA電力を使用するという。記事には理由が説明されていないが,やはり停電はあっても大電力の利用が可能となるからであろう。

日本では,太陽光などのエコ発電の新規受付を電力各社が停止した。ネパールでも,NEAが地域エコ発電との回路接合を,コストや技術的困難を理由に,拒否している。このままでは,せっかく急拡大してきたネパールの自給自足小水力発電システムも,頓挫しかねない。今後の成り行きが注目される。

141004b ■NEA Annual Report 2014

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/10/04 at 15:23

カテゴリー: 経済, 自然

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コイララ首相訪中:中印台頭とネパール

スシル・コイララ首相が6月5日,特別機で中国・昆明を公式訪問した。今回とくに際立つのは,経済第一の実利的姿勢。

140608c■ネパール~昆明(Google)

1.コイララ訪中団
 訪中団: 首相,通商供給大臣,駐中ネパール大使,制憲議会議員,官庁幹部職員,政党代表,経済界代表など33人。中国政府の公式招待。
 日程: 6月5-6日
 目的:「第2回 中国-南亜博覧会」に今回博覧会の「特待国」首相として出席。
 博覧会: 6月5-10日,雲南省昆明。雲南省/中国商務省共催。中国と南アジアとの協力関係の促進が目的。46の国と地域が参加。ネパールは,今回博覧会の「特待国」。
 首相動向: 開会式あいさつ,汪副首相と会談,雲南省電力局訪問,Hydrolancang会長と会談。
(新華社6月6日;Republica,5-6 Jun; Ekantipur, 6 Jun)

140608b 140608a
 ■中国-南亜博覧会HP/ネ首相訪中大成功(博覧会HP)

2.対ネ投資要請
コイララ首相は,博覧会開会式挨拶や記者会見において,積極的対ネ投資を要請した。「訪中は有意義であった。経済を中心にネ中関係を強化できた。」(Nepalnews.com, 7 Jun)

その中でも,特に重視されたのが,鉄道,道路,空路の拡充である。「開会式でも,中国や他の国々の指導者との会談でも,一つのことが繰り返し強調された。それは,われわれの未来は,この地域の交通網の改善にかかっているということである。」(Ekantipur,7 Jun)

具体的な成果として第一にあげられるのは,中ネ間のフライト数を現在の週14便から56便に増便するという合意。もしこれが実現すれば,両国間の往来は激増し,日本からもほとんどが中国経由で訪ネするということになろう。

なお,懸案のポカラ国際空港建設は,この5月22日正式契約が締結された。中国援助で,受注したのは中国の「中工国際工程股份有限公司」。滑走路2500mの本格的国際空港で,建設費は2億5千万ドル。4年後完成の予定。

次に注目すべきは,やはり鉄道や道路のネパールへの延伸。そしてまた,ダム・水力発電への中国投資。首相によれば,中国側は,これらについても積極的であったという。

もしそうだとすると,「ラサ=カトマンズ=ルンビニ鉄道」も,プラチャンダの単なるホラ話だったのではなく,近い将来実現可能な現実的なプロジェクトだということになる。

140608d■ポカラ国際空港契約締結式(中工国際HP)

3.中印共存共栄とネパール
以上は中ネの関係だが,今回の「中国-南亜博覧会」のHPを見ると,それにかぎらず,この地域全体が大きく変わりつつあるという印象を禁じえない。

中国とインドは,たしかに未確定国境が何カ所かあり小競り合いは絶えないが,だからといって本格的な軍事衝突になる可能性は低い。両国はいずれも政治大国であり,紛争はあっても大人の対応で管理し,地域開発による実利を目指しているように思われる。

では,ネパールは,どうなるか? うまくいけば,平和的な対ネ投資競争など,中印共存共栄から大きな利益を得られるだろう。が,もしそうはならず,両超大国の草刈り場となってしまうのなら,これは悲惨だ。いやそれどころか,代理戦争の場となり,やがて国家分裂,併合といったことにさえなりかねない。

中印の台頭で激動に翻弄され,下手をすると国家存立の危機にさえ陥りかねないネパール。そうした状況を乗り切るためにも,新憲法制定による正統的国家権力の早期確立・安定が切に望まれるところである。

谷川昌幸(C)

中国のネパール進出とアメリカ国益

谷川昌幸(C)
定評ある外交誌「フォーリンアフェアーズ」にネパール記事が掲載されている。

Greg Bruno, "Letter From Kathmandu: Nepal’s Two Boulders," Foreign Affairs, 26 May 2010.

この雑誌を出しているのはCFR(The Council on Foreign Affairs)であり、その基本方針は次の通り。

"The Council on Foreign Affairs has promoted understanding of foreign policy and America’s role in the world since its founding in 1921. –Richard Haass(President)"

記事の著者グレッグ・ブルーノ氏はこのCFRのメンバーであり、ダウジョーンズ系新聞の軍事問題担当記者、ニューヨークタイムズ記者をへて2007年CFRスタッフとなった。著名なジャーナリストで、多くの賞を受賞している。

記事によれば、いまドラカ郡都チャリコットからラマバガル村に向け道路建設が進んでいる。この村の北の峡谷には456メガワットの発電能力を持つUTHPダム(上部タマコシ水力発電事業、2014年完成予定)が建設中で、道路はこのダム建設のためのものだが、いずれさらに北に延伸されチベットと結ばれることになる。
 Lamabagar (KOL, 10 May)

これは 著者によれば、ネパールの戦略的位置を大きく変える。中国からの物資輸送が容易になり、とくに石油供給が可能になれば、インドは最後の手段としての経済封鎖が使えなくなり、ネパールへの決定的な影響力を失うことになる。

著者が言うように、このラマバガルは小さな村だが、地政学的にみて重要な位置にあることはまちがいない。ここには古いチベット僧院があり、国境を越えチベットまで徒歩で2日ほど。この1,2月にも、チベットから逃れてきた数十人の人々がこの村でネパール警察に拘束され、そこに中国が大使館駐在武官を派遣し、一気に緊張が高まった。中国はネパール政府に圧力をかけ、武装警察隊(APF)を国境付近に配備させ、チベット人の動向を監視させている。

一方、いまのネパールには中国人があふれている。タメルでは中国人たちが中国人経営のレストラン、書店、病院などに押しかけている。(中国系病院まであるとは知らなかった。)中国文化センターもタライを中心に国中に展開しつつある。中国の戦略は中央というよりはむしろ地方への経済援助であり、学校建設も戦略的に重要な地域で進められている。

これに対し、インドはもちろん警戒心を強めている。とくにマオイストのインド敵視・中国接近は、International Crisis Groupによれば、「インドの警戒線を超えてしまった」という。

この状況にアメリカも強い関心を持ち、ネパールの平和的な民主主義への移行を支援している。マオイストについても、アメリカ国務省は、テロリスト・リストに載せつつも、彼らを権力に参加させようとしている。しかし、アメリカの影響力は限られており、中印両国への働きかけが欠かせない。

「アメリカはネパールを対立するアジアの二大国の間の安定した民主的緩衝国としたいと考えているが、その成否はネパールの隣国の手に握られているといってよいだろう。」

以上のようなブルーノ氏の分析は、アメリカ政府の対ネ政策の代弁といってもよい。アメリカのネパール民主化支援は、インドの暴走を牽制しつつ、中国の進出を押さえ込むことを目的としている。それがこの地域におけるアメリカ国益なのである。
 

 Lamabagar (Google)
 
(参考)無電化村照らす中国製品 ネパール、太陽電池など急速に普及(IZA,2010/06/01)
「世界最高峰のエベレストを有するヒマラヤ山域の無電化村落で、中国製の太陽電池パネルやLED(発光ダイオード)電球などが急速に普及している。中国チベット自治区の商人がヒマラヤの国境を越えて運んでくるもので、インド、ネパール製品より低価格と好評なためだ。中国とインドに挟まれたネパール北端では“エコ”な製品を中心に、中国の経済的影響が増し始めている。」(http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/worldecon/398000/
 

Written by Tanigawa

2010/06/04 at 07:52

カテゴリー: 外交, 中国

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