ネパール評論 Nepal Review

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ガディマイ祭:動物供儀をめぐる論争(3)

2.動物供儀禁止への動き
ガディマイ祭での動物供儀は,情報化の進展もあって,2009年度の大量供儀が生々しい写真や動画付きで大々的に報道されると,西洋の動物愛護諸団体や印ネの非暴力・非殺生(アヒンサー)主義者たちの激しい反発を招き,その結果,ネパール政府とガディマイ寺院は動物供儀に何らかの規制をかけざるをえなくなった。(以下,末尾参考文献参照)

ネパール最高裁は2014年と2016年,ガディマイ祭での動物供儀をやめさせるための措置をとるよう政府に対し命令を下した。さらに2019年9月にも最高裁が同様の措置命令を出し,これに基づき11月には文化・旅行・航空省,内務省,通信・情報技術省が動物供儀中止を訴えるアピールを出した。また,ガディマイ祭実行委員会自身も2015年,動物供儀をやめると決めた,と報道された。その結果,供儀動物は,2009年に比べると,2014年と2019年には大幅に減少した。

しかしながら,最高裁の動物供儀禁止措置命令や関係各省の中止アピールは単なる努力義務と解され,事実上ほとんど無視されたし,またガディマイ祭実行委員会の動物供儀中止発表も,実際には,寺院境内での水牛供儀を禁止しただけだとか,「平和の象徴としての鳩」は供儀しないということだなどとされてしまった。

さらに,インド最高裁は2014年から,ガディマイ祭への動物のインドからの持ち出しを禁止しているのだが,この禁止命令も十分な実効性は持ってはいない。参拝者も供儀動物も,依然として,その多くがインド側からなのだ。

ガディマイ祭は,激しい反対運動により供儀動物の数は減ったものの,今もって世界最大の動物供儀祭であることに何ら変わりはないのである。

動物供儀動画(「残虐」とされる画面あり,閲覧注意)
■Bloodless Gadhimai FB, 3 Dec.

(注)12月31日,一部追加修正。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/12/30 at 16:20