ネパール評論 Nepal Review

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マオイスト王制復古?

王制復古といえば,われらがヒシラ・ヤミ同志。マオイスト女性を率いる猛者であり,そして,いわずと知れたバブラム・バタライ首相の奥様である。

そのヤミ同志によれば,政党政治のていたらくがこのまま継続すれば,元国王の復位となる可能性が高い。

けしからんのは,もちろんUMLとNC。彼らが利権争いに明け暮れているため,偉大な夫バブラム首相がいくら頑張っても,全党合意はならず,王制復古がちらちらしだしたのだ。

バブラム首相には,権力欲などこれっぽっちもない。5月27日に合意ができていたら,直ちに辞職するつもりだったし,いまでも合意がなれば,いつでも辞職の用意はある。偉大な夫,バブラム首相は,人民のために誠心誠意はたらいているのだ。

と,まあ,このようなヤミ同志の悲憤慷慨は分からないではないが,しかしマオイストはもともと王家とは必ずしも悪い関係ばかりではなかった。どこかでつながっている。

まさかとは思うが,切羽詰まって「マオイスト王制」なんてことにはならないでしょうね。

【参照】
パルバティ同志,ヒシラ・ヤミ(1)
パルバティ同志,ヒシラ・ヤミ(2a)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/07/11 at 20:44

カテゴリー: マオイスト, 国王

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王制復古と人民の自由

ギャネンドラ元国王は,最近のインタビューで,立憲君主あるいは儀礼君主として復位する用意があると語った(BBC-Nepal, 6 Jul)。

私は,王制が本質的にイケナイものだとは思わない。われらが哲人カントは,民主制は本質的に専制的であるのに対し,君主制は「法の支配」と自由・平等が実現される共和的な体制だと喝破した。事実,カントの伝統に棹さす西欧には君主国が多い。イギリス,ノルウェー,スウェーデン,デンマーク,ベルギーなど,みな君主国だ。それなのに,それらの国々の開発機関やNGO,あるいは王立アカデミーなどの学者先生方は,競ってネパールに共和制を押しつける。そんな暇があったら,自国の王制打倒にまず立ち上がるべきだろう。
  ■カントにおける共和制と民主制 2008/03/24

というわけで,ネパールが王制復古してイケナイわけはないが,復位されるのがギャネンドラ元国王であったりパラス元皇太子であっては,少々マズイであろう。お二人は,革命前,権力政治にあまりにも深く関与されすぎた。王制復古となるのであれば,元国王のお孫さんなどの方が国王にはより適任であろう。

巷でも,王制復古論が元気になってきた。カマル・タパRPP議長は,制憲議会消滅により自ずと制憲議会選挙前の王制に戻ったと主張している(Telegraph,8 Jul)。2008年4月10日以前の体制だ。理屈としては,そうもいえなくもない。

ただ,ここで注意すべきは,王制復古を目指すとしても,それは旧体制の半封建的既得権益の復活となってはならないということ。王党派の中にはこれを狙っている人々も少なくないであろうが,これは絶対に阻止しなければならない。王制復古は,もしそれを目指すなら,少なくともすでに獲得された自由・人権体制の上に,それを安定させるための飾りとして国王を置く,という形にすべきだろう。

御輿には,やはり神様(らしきもの)が載っていないと,様にならない。

【参考】
THE RATIONALE FOR THE KINGSHIP IN NEPAL (1996)

  MASAYUKI TANIGAWA

1. Nepalese King and Japanese Emperor
The Nepalese monarchical system is an.exceptional theme being discussed by Japanese constitutional lawyers who had.paid.little attention.to the Nepalese constitution.and.politics so far. Since the promulgation.of the Japanese constitution.in 1946, the Emperor has been.one of the biggest constitutional puzzles among Japanese intellectuals. They have studied.the Emperor by using comparative as well as historical and.theoretical methods. The Emperor has been.compared with.the Kings (Queens) of Britain,Belgium, Norway and.so on. The Nepalese King has been.among them. Takeshi Ebara allotted.one chapter to the Nepalese monarchy in.his voluminous book, AComparative Constitutional Study on.Monarchy (1969). Many other studies on.the Emperor also refer to the Nepalese King. For Japanese scholars, the monarchy is the most interesting part of the Nepalese constitution.

For Nepalese scholars too, the Nepalese monarchy is undoubtedly regarded.as one of the most important political institutions enshrined.in.the constitution. Nepalese politics is much.influenced.by interpretations of the King’s function. If He has the right to nominate the prime minister, the Houses (the House of Representatives and.the National Assembly) will be weaker. If not, theywill be stronger and.He is likely to become a mere symbol. The King is still a big factor in.Nepalese politics.

Here, I would.like to verify the Nepalese King’s functions according to the constitution.of 1990, compare them with.the Japanese Emperor’s and finally point out the reason.for the King in.Nepal. Although.both.the King and.the Emperor must be studied.from a wider cultural point of view, I
cannot help.limiting the study to a comparative study of their functions sanctioned.by the respective written.constitutions.

2. The King as a Symbol

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/07/08 at 17:50

カテゴリー: 国王, 憲法, 民主主義

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