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ネパール中西部大学の意欲的コロナ対策(2)
1.中西部大学のコロナ対策
MWUのホームページを開くと,臨時のCOVID-19情報ページに自動的に移動する。ここには,学生や地域住民にとって必要なコロナ関係情報が要領よく表示され,その下方に,大学が実施してきた緊急対策が文章,画像,動画で分かりやすく紹介されている。
・学長メッセージ
・コロナ関係広報/連絡先
・コロナ対策啓蒙ポスター/動画
・大学製造消毒液の無料配布
・教職員・学生のコロナ対策ボランティア募集
・自宅Eラーニングの解説(文章/動画)
■コロナ情報トップ
2.消毒液製造・配布と産学協同への展望
ここで注目すべきは,第一に,大学が自ら学生・教職員ボランティアを募集し,協力して消毒液を製造配布していること。製造は科学技術学部実験室で行われ,とりあえずボトル1千本余が地域の貧困住民や防疫関係者らに配布された。配布にあたっては,NB・シン学長が率先して現地に出向き,学内ボランティアと協力して消毒液を配り使用方法を説明した。
この消毒液の製造・配布が,直接的にはコロナ感染防止のための緊急措置であることはいうまでもないが,学長によれば,これは単にそれだけにとどまるものではない。
NB・シン学長は,こう説明している。これからの大学は,卒業証書授与に安住するのではなく,真に有能な自立的人材の育成を目標としなければならない。その第一歩として,消毒液などコロナ感染予防用品の製造配布を行っている。大学製消毒液はISO基準を満たしており,市場出荷も可能だ。この事業をきっかけとして,大学は産学協力を推進し,学生には産業と具体的に関係づけ大学での学習をしてもらう。大学は,中央省庁とも連携を強め,地域経済発展のための基盤となることを目指している。
■大学製消毒液の配布(Nepalgatha, Apr 13)
谷川昌幸(C)
ネパール中西部大学の意欲的コロナ対策(1)
ネパールの中西部大学(Mid-Western University [MWUまたはMU])が,意欲的な新型コロナ(コビド19)対策に取り組んでいる。
MWUは2010年再編新設の国立大学で,本部はカルナリ州スルケットにあり,学生は約3千人。教育学系,理工学家,人文社会系,商学系,法学系のコースはあるが,医学部はない。
MWUのあるカルナリ州は,ネパールでも最も低開発の中西部地方に位置し,教育も普及していない。中西部のHDI(人間開発指数)は0.548(2017年),識字率は43.71%(2001年)。
MWUは,その中西部カルナリ州の中規模新設大学だが,3月初旬着任のナンダ・B・シン学長(VC)の強力なイニシアチブの下,いち早く緊急のコロナ対策に着手する一方,それを一時的事業にとどめず,大学と地域社会の総合的開発の重要な契機ととらえ,その観点から事業を継承発展させようとしており,たいへん注目される。
【参照】「中西部大学」学長にTU教授指名 コロナ禍のネパール
谷川昌幸(C)
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