ネパール評論 Nepal Review

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監視カメラの警察使用,朝日が肯定的に報道(2)

朝日新聞は,大阪版夕刊に前述の記事を掲載した3日後の2月19日,今度は総合ページに大野博人編集委員のコラム「日曜に想う」を掲載した。タイトルは「『安全のため』奪われる自由」。これは,夕刊記事とは全く対照的な内容であり,その意味では,朝日新聞はバランスがとれている。

大野委員はこのコラムにおいて,オリバー・ストーン監督映画「スノーデン」や思想家ツベタン・トドロフ著『屈服しない者たち』を引照しつつ,「安全のため」という口実を認めることが,特に現代において,いかに危険かを鋭く指摘している。

≪[映画「スノーデン」において]「たいていの米国人は自由より安全を望んでいる」と米情報機関の幹部が話す。・・・・自分も監視されている,どこで何を見られているか分からない,丸裸にされている――。・・・・テロ対策という当初の目的からはみ出して,政治権力の監視活動はどこまでも暴走する。「安全のため」という口実を人々が受け入れ続ける限り。≫

≪トドロフ氏によると,政治権力が市民監視にのめり込むのは「すべてを知ることは,すべての権力を握ることにつながる」と考えるから。また,だれかが自分を監視しているとつねに意識する社会では,人と人との間の信頼が消滅するとも指摘する。人々が連帯しない社会。それこそ権力が思いどおりにしやすい社会である。」≫

≪政治家が声高に「安全のため」を語るとき,本当は自らの権力強化のためではないのか。「安全のため」なら仕方がないと思ったとたん,からめ取られているのかもしれない。なぜなら,あなたも私も普通の市民の大半は監視する側ではなく,監視される側になるのだから。≫

ここで大野委員は,権力による監視への警戒を訴えている。たしかに,それはそのとおりであり,その重要性はいくら強調しても強調のし過ぎではない。しかし,現代における行動監視の恐ろしさは,権力による監視が万人による監視とあい手を携えて進行し始めたところにあるのではないか? 

いまでは,情報技術の革命的進歩により,行動監視は一般市民でも容易に実行できるようになった。小学生程度の知識と技術があれば,お小遣い程度の費用で,いつでも,どこでも他人の行動を簡単に監視できる。万人による万人の監視社会――その夢が今まさに実現しつつあるのだ。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/03/08 at 15:40

カテゴリー: 社会, 情報 IT, 人権

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監視カメラの警察使用,朝日が肯定的に報道(1)

朝日新聞(大阪版夕刊2月16日)が,監視カメラ記録映像の警察捜査利用に好意的な記事を1面に大きく掲載している。見出しは次の通り。
 防犯カメラ 捜査の目に
 大阪府警,自治体と異例の協定
 映像入手 事前連絡は不要
 夜間の初動に効果的

これらの見出しだけで,記事の趣旨は明確だ。記事によれば,大阪府内の自治体設置または設置補助の監視カメラは1万9944台(2016年3月末)。その記録映像を,大阪府警は,必要な時には事前連絡なしに自由に引き出し,見ることが出来るのだそうだ。

この記事には,専門家2氏のコメントも付されているが,いずれもごく短く,検証の仕組みや法整備を求めてはいても,警察による自治体設置・補助監視カメラの使用そのものを否定するものではない。朝日お得意の,公平のみせかけためのエクスキューズのようにみえる。

大阪圏の街頭監視カメラは,これまで幾度か指摘してきたように,急速に増大している。その記録映像を警察が,事実上,自由に使えるとなれば,市民は可能的には常に警察に監視されていることになる。しかも,顔(身体)自動識別技術の革命的進歩により,映像の個々人を瞬時に特定し,その行動を記録し追跡できるのだ。

むろん大部分の人は「善良な市民」であり,警察が彼らすべてを常時監視することはない。しかし,問題はむしろ,この「可能的監視」そのものにある。警察が事前連絡すらなく監視カメラ映像を利用できるとなれば,市民すべてが,警察により,いつ,どこで見られ,記録され,追跡されているか分からない,という状況に置かれる。

ここには,もはやプライバシーはなく,プライバシーを前提とする個人の自由も権利もない。われわれは,自分たちの自由や権利を守るため国家をつくり,個々人の安全保障のための権力行使を国家諸機関に信託した。ところが,いまや国家諸機関が「国民の安全」のために個々人のプライバシーを奪い,自由や権利を否定しようとしているのだ。

ブラックユーモアのようだが,いまや大朝日ですら,大真面目に,万人監視カメラの効用を一面トップで大々的に報道するに至った。もはや「隠れて生きる自由」は取り戻せないのではないか?

 170304■朝日大阪版夕刊2月16日

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/03/04 at 12:07

免許証暗証番号,百害あって一利なし

運転免許証の暗証番号は,百害あって一利なし,いや正確には今では「百害」もないほど無用。「無用」こそが最大の害。巨額の導入費用無駄遣いには目をつむるから,直ちに廃止すべきだ。

この件については,5年前の免許証更新時に詳述した。(参照: 危険なIC免許証,暗証番号の無効化を) その時は,たしか暗証番号を「0110 0110」と登録し,免許証交付後ただちに「1100 1100」と3回入力し,無効化した。

その後5年間,暗証番号無効化免許証を使用してきたが,同乗高齢者のシートベルト着用義務違反のときも,先日の免許証更新のときも,何の問題もなかった。というわけで,今回の更新免許証も,交付後ただちに誤番号を3回入力し無効化した。

【補足】 暗証番号の設定は不要:大阪府警
警察は,つい先日まで暗証番号本人認証をあれほど熱心に積極的に推進してきたのに,いまや様変わり,“暗証番号は設定しなくてもよい”と説明し,さらに設定のメリットは事実上“ほとんどない”と開き直っている。以下,何事も本音で知られる大阪府警の公式説明。

▼大阪府警 ICカード運転免許証に関すること
Q4 運転免許証をICカード化するメリットは何ですか。
A4 主なメリットとしては、2つあります。
1つは、運転免許証の偽造・変造の防止です。・・・・ もう1つは、運転免許証の券面に本籍を記載しないことで、国民のプライバシー保護に配慮します。本籍は、ICチップに記録され、申請時に設定した暗証番号をICチップを読み取る機器に入力しなければ読み取ることはできません。[引用者注:「本籍」自体には何の意味もない。移転自由。]
Q7 暗証番号は必ず設定しなければならないのですか。また、暗証番号を設定しない場合は、どうなるのですか。
A7 暗証番号は、必ず設定しなければならないというものではありません。しかし、設定しない場合は、ICチップの中の個人情報を他人に読み取られるおそれがありますので、できるだけ設定するようにしてください。[引用者注:担当者以外は読み取れないよう設定すれば済むこと。]
Q8 暗証番号を忘れた場合に、何か不都合はありますか。
A8 運転免許の更新、再交付等の手続きに支障はありません。・・・・

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/11/09 at 11:20

カテゴリー: 社会, 人権

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英語帝国主義による英米文化の刷り込み

いやはや,在ネ英米大使館による英米語攻勢はすさまじい。連日連夜,英米語を宣伝しまくっている。

言語は,文化的・政治的に無色透明ではない。英米語宣伝には,英米が世界普及を目指す文化的・政治的価値観が仕組まれていることは,当然だ。言葉を支配する者こそが,結局は世界を支配する。

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これは,「英国の価値観と利益を推進すること」(BカウンシルHP)を目的とするブリティシュカウンシル・ネパールの2月24日付フェイスブック&ツイッター記事。「クジラ愛護」が内陸国ネパールの子供たちにすら刷り込まれてしまうわけだ。日本漁民に勝ち目なし。

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これは,在ネ米大使館の2月22日付ツイッター。とくにイラストが意味深。レーダーないし監視カメラの普及・日常化は当然,というアメリカ的価値観をそれとなく刷り込もうとしている。

牽強付会? そうかもしれないが,すでにネパールの首都カトマンズは世界有数のカメラ監視社会だ。とくに米国関係施設付近は異常に厳重。そうした情況では,このイラスト付き米語宣伝には特有のリアリティがある。それは米国好みの途上国カメラ監視体制を暗に追認し助長するのでは,と危惧しても,あながち全くの杞憂ではあるまい。(参照:前近代的共同体監視社会から超近代的カメラ監視社会へ監視カメラ設置,先進国ネパールから学ぶな

英米お得意の超長期的戦略的観点からの言語宣伝には,それくらいの警戒はあってしかるべきであろう。

【参照】英語による授業への賛否(3月4日追加)
高野敦志@lebleudeciel38 ツイッター3月3日
今後は大学授業の多くが英語でされるようになるでしょう。会社の中も楽天のように英語が公用語に。放送の多くも英語になります。英語がうまく使えない国民は、単純労働しか出来なくなります。日本語は将来、フィリピンのタガログ語、中国のチベット語のように、家庭で使うだけの言語になるでしょう。

<高野敦志を大野英士がリツイート,それを内田樹がリツイート>
大野英士 ‏@floressas1405 ツイッター3月3日
だいたい大学レベルの授業で「母国語」で授業が行える利点を捨てることにどれだけの意味があるのか? 慶応SFC、早稲田国際教養、教師の英語力が不足して日本語の授業なら伝えられる内容すら教えられずいずれも失敗しているというのに。

<内田樹ツイート>ツイッター3月18日
英国の大学の研究者のインタビュー。日本の翻訳事情について。日本の翻訳文化は大学教育からは消えつつあります。「英文和訳に時間を割いたのが英語教育の失敗の原因」と言う人がたくさんいます。外国語を質の高い日本語に訳すという仕事はほんとうに知的にスリリングな経験なんですけどね。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/02/24 at 11:39

京都の米軍基地(86): 沖縄の今日は京丹後の明日

沖縄を2日ほど見てきた。初の沖縄であり,数カ所を外から眺めたにすぎないが,それでもやはり大変な情況だった。

移動はレンタカー。一般道を走ると,Yナンバー(米軍関係者車両)と頻繁に出会い,高速道では前後をタンクらしき装甲車に挟まれてしまった。上空には飛び交うヘリ。初めての経験で,ビビってしまった。

「道の駅かでな」に立ち寄ると,眼前に空軍基地。輸送機や戦闘機が頻繁に発着し,上空では戦闘機が轟音を響かせ曲芸飛行訓練をしている。恐ろしい。

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■「道の駅かでな」からみる嘉手納基地

逃れるように「海洋博公園」に行くと,至る所に監視カメラがあり,一挙手一投足を監視されている。そして場内のあちこち,園内バスや復元古民家や飲料自販機にすら,「テロ警戒中」「不審者通報を」の警告が掲示されている。背筋がゾォーとした。

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■海洋博公園の監視カメラ

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■海洋博公園のテロ警戒掲示:美ら海水族館前・園内バス・自販機・古民家

この沖縄に比べ,京丹後では米軍基地はいまのところはるかに小さいし,駐留しているのもXバンドレーダー要員が中心だ。しかし,基地周辺は土地が狭いし,地域住民も少ない。そのため丹後町やその周辺における米軍の存在は,相対的には沖縄と大差ないほど大きいとみざるをえない。京丹後はいずれ沖縄のようになる。今日の沖縄は京丹後の明日なのだ。

そうしたなか,特に気になるのが,住民監視体制。すでに幾度か指摘したように,基地交付金で住民監視カメラが市内要所に設置され,米軍参加の「テロ対策ネットワーク」も発足している。(参照:基地補助金で住民監視カメラ

ここで注意すべきは,こうした住民監視体制は,住民自身の要望という形をとり,推進されているということ。たとえば,「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」フェイスブック(1月10日)では,こう指摘されている。「島津のシェネガ宿舎は変化なしですが,入り口そばの三叉路の一角に全方位型の防犯カメラが設置されました。これは地域の要求を受けてということでしょう。」

もし本当に「地域の要求を受けて」監視カメラが設置されたとするなら,これは恐ろしい。「防犯カメラ」は詐称であり,実名は「監視カメラ」。監視されるのは,米軍人・軍属というよりは,むしろ地域住民自身だ。「テロリスト」や反基地派から米軍(軍人・軍属とその家族および軍施設)を守るための24時間常時監視カメラ。

このことは,京丹後市が基地交付金により「防犯カメラ」を設置した事実をみれば明白。「広報きょうたんご」(2015年5月号)は,こう説明している。「日本で第一級の安全で安心なまちづくりに取り組む本市では、犯罪抑止力を高めるとともに、犯罪発生時に迅速かつ的確に対応するため、防衛省の交付金を活用し、駅の駐輪場や幹線道路、漁港など17カ所に22基の防犯カメラを設置しました。」

京丹後の住民監視社会化の危険性は,基地建設当初から,すでに指摘されていた。たとえば,島田けい子府議会議員(共産党)は2014年10月,こう質問している。

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【島田】現実には、テロリストも含めまして既に自衛隊と警察との間で、この地域では訓練等もされているのです。テロリストが市民を装って攻撃してくることも考えて警備を要請しているということになりますと、市民がいつも監視されることになるわけです。現に、海水浴で訪れた家族に対して「身分証明書を見せろ」とか、そういうように質問をしてくる。基地が出来上がったら、基地周辺には投光器で照らされて、監視カメラがつけられ、常時、市民が監視されるような事になりはしないかと、住民は大変危惧を抱いておられます。府は当初、レーダー配備に伴いテロの攻撃の標的になるのではないかとの懸念を表明されました。防衛省の回答でその当時の懸念が解決されたのかどうか、具体的な根拠も含めてお答えください。
【総務部副部長】テロの話とか、全然そういうことは聞いておりませんので、防犯カメラも当然、基地の周辺はカメラを付けますけれども、市民を監視するようなカメラを米軍の方が設置するというようには聞いておりません。[島田委員:米軍レーダー基地についての質問と答弁(大要),2013年度決算特別委員会総務部書面審査(2014 年 10 月 07 日)]
————–

文脈が少し不明瞭な部分もあるが,もし「この地域」が京丹後を指すのなら,すでに観光客・海水浴客ですら監視されていることになる。そして,その監視体制が,住民自身の要求で増設される「防犯カメラ」により,今後さらに強化され,蟻一匹見逃さない完璧な万人監視体制となっていくことは避けられないであろう。

ここで忘れてはならないのは,監視にはすぐ慣れるということ。私が沖縄「海洋博公園」にいたのは2時間ほどだった。入場当初は,監視カメラにドキッとして身構え,恐怖を煽る「テロ警戒中」や「不審者通報を」に不快を禁じえなかったが,しばらくすると監視カメラにも「テロ警戒中」看板にも慣れてしまい,あまり意識しなくなった。

真に恐ろしいのは,まさにこれ。監視の極意は,監視に慣れさせ,「見られている」ことを意識させないこと。私自身がそうだったように,人は監視にすぐ慣れる。日本政府(防衛省)=京丹後市当局の狙いもここにある,とみてよいだろう。

日本一の安全安心を目指す基地の町=京丹後は,間違いなくモデル監視社会になる。京丹後観光には,写真付きマイナンバーカード必携!!

【参考】子供利用への慣れ: 海兵隊と保育園(名護市)
160115i■海兵隊FB(1月16日,子供の顔引用者削除)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/01/15 at 20:51

京都の米軍基地(71):基地補助金で住民監視カメラ

1.監視カメラ予算と設置場所
京丹後市は,基地補助金(米軍基地配置に伴う再編交付金)による監視カメラの設置を進めている。

▼平成26年度経ヶ岬関連補助金等執行状況・再編交付金(平成27年2月27日現在)
 住民の生活の安全の向上に関する事業:
   駅舎駐輪場防犯カメラ設置事業   防犯カメラ設置工 8基
   宇川地区防犯カメラ設置事業    防犯カメラ設置工 7基
   幹線道路等防犯カメラ設置     防犯カメラ設置工 7基
▼平成26年追加補正予算・再編交付金活用事業
   漁港防犯カメラ設置事業      3カ所(詳細不明)
   防犯カメラ設置事業        駅駐輪場(詳細不明)

▼設置場所
 駅駐輪場:京丹後大宮駅(1),峰山駅(2),網野駅(1),夕日ヶ浦木津温泉駅(1),小天橋駅(1),かぶと山駅(1),久美浜駅(1)
 道路:消防本部入口(1),大宮織物ホール(1),木津防災資機材備蓄倉庫付近(1),丹後市民局(1),宇川小学校正門(1),黒部駐在所付近(1),消防久美浜分署入口(1)
 漁港:袖志漁港(3),尾和港(1),中浜漁港(3)

150616■防犯カメラ・派出所増設(広報・きょうたんご,2015年5月号)

2.住民監視
これらの監視カメラは,すでに設置済みの他の多くのカメラとも連携し,京丹後全域を常時監視するために使用される。

監視対象は,こそ泥や痴漢なども含まれはするが,最も重要なのは,いうまでもなく反基地活動家であり,そしていわゆる「テロリスト」や「過激派」である。

「ぼくは,こそ泥や痴漢ではなく,ましてやテロリストでも過激派でも絶対にないから,監視カメラがあっても平気だ」と,多くの人は思うかもしれないが,実際には決してそうではない。

監視カメラは,過激派やテロリストを識別するため,住民全員をことごとく記録しデータベース化する。今すぐではなくとも,イザとなれば,必ずそうする。そうしなければ,過激派やテロリストは識別できないからだ。

3.テロリスト監視に無力
ところが,プロのテロリストや過激派は,監視カメラの存在を当然の前提として行動する。監視カメラで捕まるようなマヌケなテロリストや過激派は,アマチュアだ。

このことは,監視カメラ設置者の側にもよく分かっている。それなのに,なぜ大量に設置するのか?

4.良識的多数派住民の監視
監視カメラ設置の本当のねらいは,基地に不安を感じている良識的多数派住民だ。

民主主義総本家のアメリカが最も恐れているのが,基地周辺の住民。住民多数が反対したら,民主主義防衛を錦の御旗にする米軍は,基地設置の倫理的・政治的正統性を失い,基地の維持運営が困難になってしまう。米軍は,良識的多数派住民の「左傾化」を恐れている。

そこで米軍は,忠犬ハチ公の日本政府に良識的多数派住民を監視させ,彼らの「左傾化」を防止させるわけだ。自分の手は汚さない,高潔な民主主義国アメリカ!

プロのテロリストや過激派には,監視カメラなど屁の突っ張りにもならない。他方,「国益」第一の市長やその同調者らにも,監視は苦にならない。なぜなら,彼らは「見る権力の側」であり,その意味では「見られて困る」ところがどこにもないからだ。

監視カメラによる監視の対象は,したがって米軍基地に不安を感じている良識的多数派住民,あるいは基地反対署名に応じたり反対集会に参加したりする基地に批判的な一般市民ということにならざるをえない。

監視カメラは,こうした人々に見せるためにある。見ていることを見せるための監視カメラ。そして,ときには,ちょっと目立つ活動家の「事情聴取」や「逮捕」のためのネタ提供。

たぶん,「監視カメラは規則に則り厳正に運用し,目的外の使用は絶対に行わない」,「映像保存は2週間,期限後は完全消去する」などと言っているであろうが,こんな口約束は全く信用できない。すでに世間では監視カメラ映像の流用は日常茶飯事だし,そもそも最高法規の憲法ですら守らない人物が首相をやっているお国柄だ。信用せよというほうが,どだい無理な注文なのだ。

5.米軍の「安心・安全」のための監視カメラ
京丹後における警察や監視カメラの大増強は,米軍とその下働きたる日本政府の「安心・安全」のため。

そもそも米軍基地さえなければ,このような警察や監視カメラの大増強は全く必要なかった。監視カメラが基地補助金で設置されていることが,何よりの証拠だ。

【参考】
大江山(国道176号線)の監視カメラ。これらは福知山市域にあり,基地補助金事業ではない。気象ないし交通監視が表向きの目的だろうが,人や車もむろん写る。
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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/06/16 at 18:17

監視カメラ設置,先進国ネパールから学ぶな

伊丹市が,監視カメラ1000台の設置を決めた。24時間稼働で,映像は記録し,警察に提供される(運用基準は同市「ガイドライン」等参照)。1平方キロあたり40台の集中設置とのこと(朝日2月14日)。

これは,恐るべき密度で,住民は市内どこにいても,いや場合によっては,自宅敷地内や窓際にいても,その挙動をカメラ監視される恐れがある。伊丹市民は,こんな監視を苦痛とは感じないのだろうか? もし感じないとすれば,世も末,もはや何も申し上げることはない。

監視カメラについては,ネパールが猛烈な勢いで設置を進めていることを,最近,何回か紹介した。前近代的共同体監視社会から超近代的カメラ監視社会への一足飛びの飛躍である。そのネパールを,伊丹市は,そして政府音頭取りで他の多くの自治体も,いま後追いしようとしているのだ。(参照「前近代的共同体監視社会から超近代的カメラ監視社会へ」)

たしかに,現在のネパールは,最新の理論や制度や機器の実験国であり,そこから学ぶべきものは少なくない。先に紹介したジェンダー平等などがそうだ。

しかし,いくらなんでも,プライバシー無視のカメラ監視社会化まで,学ぶ必要はない。日本は,曲がりなりにも天賦人権の不可侵を原則とする近代市民社会を成熟させてきたのではなかったのか?

▼カトマンズの監視カメラ

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 ■ネパール国旗・監視カメラ・太陽光発電/Study in Nepal?

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 ■信号機死すともカメラ死せず(マイティガル)

150215c150215d
 ■カトマンズ郡裁判所前/官庁街南入口前

150215g ■シンハダルバール(中央官庁)正面入口前

150215h150215i
 ■ラトナ公園東側/バドラプル(ジャパ郡)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/02/17 at 15:57