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田園に降り立つ神
2012年11月9日午後,キルティプール西方,バルクー川をさかのぼり,サラスワティ寺/マハデブ寺付近の茶店の外で茶をすすり,何となく田園風景を眺めていた。風もなくポカポカ,快適な小春日和。
ちょうど稲の取り入れ。あちこちで稲刈り,脱穀,稲藁たばねが行われている。稲作以外の田畑や空き地には,菜の花,マリゴールド,ブーゲンビリア,ラルパテなど,花々が咲き乱れている。その向こうには,「秋霞」にぼんやりと,煉瓦工場の煙突が浮かんでいる。幻想的な田園風景。
と,そのとき突然,何の前触れもなく,目の前の田圃で農作業をする女性二人のそばから,稲藁がふぁふゎと浮き上がり,頭上付近を舞い,やがて空高く飛び去っていった。女性たちはあっけにとられ,呆然と,ただ眺めるだけ。これは神風だ! 稲の収穫をご覧になった神が,田圃に降り立ち,農民を祝福し,再び天空へと舞い上られたにちがいない。
いまどき,こんなことを言うと,「非科学的」,「神がかり」などとバカにされるだろうが,小春日和の幻想的な田園風景の中に神を見ない者こそ,不幸である。局地的な小さな上昇気流が発生した――そんな「科学的」説明には,何のリアリティもない。
谷川昌幸(C)
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