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因襲の衣服とミスコン
ネパールは,いまやジェンダー解放超先進国,日本など足下にも及ばない。ミスコンでは女性が,政治では「第三の性」が,はばかることなく自由と権利を謳歌している。
1.ミスネパール2014
ネパールは,これまで幾度か紹介してきたように,ミスコン大国。今年も,にぎにぎしく「ミスネパール2014」が開催される。わがホンダも,ベスト・ポジションに広告を出している。主要スポンサーの一つだろう。
2.因襲の衣服とミスコン
ミスコンでは,多かれ少なかれ,衣服を脱ぐ。ミスネパールも例外ではなく,ネットにはミスネパールの裸同然のビキニ姿があふれている。たとえミスコン本番ではそれほど露骨ではなくても,選ばれた「ミス」には裸が期待され,その期待に多くの「ミス」がこたえているのだろう。
衣服は,たしかに因襲的拘束の象徴であり,それを脱ぎ捨て自然に帰るのは,女の解放である。原始,女は裸であった。古くさい因襲は,そこにはない。
3.脱がせるミスコン
しかし,どうも胡散臭い。ミスコンの目的は,建前としては,たとえば「諸々の因襲から女性を解放し,若い女性の潜在能力を引き出し,彼女らの未来を切り開くこと」とされている(The Hidden Treasure 会長挨拶)。
たしかに,十重二十重に着せられた因襲の衣服を脱ぐのだから,ミスコンは女の解放にはちがいないが,もし「脱ぐ」のではなく「脱がせる」のであれば,どこかいやらしく,ヒワイだ。
4.女性搾取の近代化
ミスコンは,いかに建前がご立派でも,ヒワイを隠しきれないのは,それが女性搾取の近代化に他ならないからだ。女性搾取の手段が経済外強制から経済的強制に替わっただけ。ミスコンで女の品定めをしているのは,結局,男たちである。女の「美しさ」は,経済的強者たる勝ち組男たちのもつ女性評価基準にすぎない。
5.ミスコンの「不都合な真実」
このミスコンの「不都合な真実」は,ネパールでは,初期マオイストが,はっきり見抜いていた。だから彼らは,女性解放のためミスコン粉砕を叫び,ミスコンを開かせなかった。初期マオイストは,純粋であった。
ところが,いまでは伝統社会の側も「革命」の側も,ミスコン反対の声をあげようとはしない。ネパールは,いまやミスコン天国。因襲の衣服が厚ければ厚いほど,男にとっては,脱がせがいがあろうというものだ。
谷川昌幸(C)
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