Posts Tagged ‘絵画’
カトマンズの壁画: 寺院
ティンクネ~マイティガル道路の拡幅近代化のためマイティガル手前の丘が削り取られ,大きな壁ができた。ここに描かれたのが,この寺院。
壁は巨大だし,前景は超近代的ソーラー街路灯付き高規格道路。舞台装置は申し分ないが,作品はいまいち。文字遊びの「Let’s stART」も,遊びきれていない。空間ができると埋めたくなる心理はわからないではないが,広ければ広いほど,使い方は難しくなるようだ。
ここは,強引な拡幅工事により1階部分が削り取られた家が頑張っているところ。この家は,本格的な補修が行われていたので,このまま存続することになるのだろう。こちらの方がシュールであり,作品としては面白い。
【参照】 国土改造ブームのネパール 震災なきがごときカトマンズ
谷川昌幸(C)
カトマンズの壁画: 自由奔放
これは,モモとチャイを注文したら,燃料不足のためコーラとパンを勧められた屋上茶店の向かいのビルの大きな壁画。少々古く消えてしまった部分もあるが,それでも残った部分だけでもなかなか愉快。路地奥であり,どの通りからも見えない。いったい誰が,何の目的で,こんな絵を壁に描いたのだろう?
谷川昌幸(C)
壁画芸術: ラクスマン・シュレスタ
今回,カトマンズの街中で見た壁画のうち,最も洗練されていたのが,この作品。
これは力作だなと思い,写真には撮ったが,だれが,いつ,何の目的で描いたのかは,その時はわからなかった。後でよく見ると,描いたのはラクスマン・シュレスタだということだけはわかった。ネット情報によると,彼の略歴は,以下の通り。
ラクスマン・シュレスタ(Laxman Shrestha)
・1939年,シラハ生まれ。インドのビハール州ダルバンガで育つ。絵が好きで絵画を学ぼうとしたが,両親は,絵を描くのは下層カーストの仕事だとして猛反対。そのため,家を出て絵画を学ぶ。
・パトナ大学卒業
・1957-62年,ムンバイのSir JJ School of Artで学ぶ。ゴッホに魅せられる。
・奨学金を得て仏英留学
1964-7 Ecole National Superieure des Beaux Arts,Paris; The Academie de la Grande Chaumiere, Paris
1970 Central School of Art & Craft, London
・ムンバイを本拠に制作活動。年数回ネパール訪問。日本を始め,世界各地で展覧会開催。「インドで最も高く評価されている画家のひとり。」
ラクスマンは,ネパールのシラハ生まれだが,インドで育ち,本拠はムンバイ。「インドの画家」というべきかもしれないが,ネパールへの思いは強く,こんなことも語っている。
「私はネパールに来る必要があります。家族に会うためというより,わたしにはネパールの人々とふれあい,共に生きることが必要なのです。また私には,ヒマラヤを感じ取ることも必要です。私は,いつもヒマラヤを描き,これを通して,私が求め見つけたものを描こうとしています。」(Chirag Bangdel & Dinesh Rai,”The Master & His Landscapes: Laxman Shrestha,” Jul.14.2010, http://ecs.com.np/features/the-master-his-landscapes-laxman-shrestha)
谷川昌幸(C)