ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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ネット魚拓と「ログ保存法」

大海の大魚ならいざ知らず,虚構インターネット海のわが小魚ブログですら,ネット魚拓にとられてしまった。IT素人で,仕組みは全くわからないが,どうやら表示した画面をそのままコピーし,どこやらのサーバーに保存し,いつでも利用できるようにするサービスらしい。

便利は便利。たとえば,新聞ネット記事は,しばらくすると消されてしまうことが多い。ところが,表示した記事を魚拓にとっておけば,いつでも読むことが出来る。著作権違反かもしれないが,ネットに著作権など,事実上,ありはしない。ネットに掲載したら,もはや万人のもの,コピーされようが,ポルノ画像と組み合わせ利用されようが,どうしようもない。

それはそうなのだが,魚拓される側からすれば,自分のものが自分のものではなくなり,必要な追加・修正もできず,それどころか不本意な形で利用されても,お手上げ。「やめてくれ!」と一応は言ってみたものの,こんなことは別の方法で,皆やってきたことであり,どうしようもない。自業自得。ばらまかれ,勝手に利用されるのがイヤなら,書き込むなということ。

このネット魚拓に限らず,ネット情報はすべて,どこかに記録されているとするなら,安倍政権が目論む「ログ記録法」がもし本当に制定されたら,これは恐ろしいことになる(「ネット接続履歴の保存 業者に義務づけ検討」朝日2013/5/21)。また,ケイタイ位置情報の提供義務付けも拡大され制度化されそうだ(「ケイタイ位置情報 消防に提供」朝日2013/5/22)。

私たちは毎日,メールやHP閲覧,あるいは売買や送金など,多くの情報をネットを介してやりとりしている。その履歴はどこかに保存され,あるいは魚拓にとられている。「ログ保存法」や「位置情報保存法」が制定されれば,自分ではコントロールできない自分の情報を,権力は,より広範に都合よく,強制的に押収し,利用できるようになる。もはやプライバシーの自由はない。

安全のため,メールもネットも断念せざるを得ない日が来るのは,そう遠いことではあるまい。

 130522 ■緊急時・位置情報通知システム(総務省HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/22 at 08:45

ビートルズの毒と無法ネットの解毒作用

国民の健全育成を目的とするわが政治学ゼミなのに,学生の1人がビートルズ研究を始めた。ケシカラン!

ケシカランが,民主主義者の私としては,学生の選択の自由と権利は,ゼミの権威と格式を犠牲にしても尊重せざるをえない。

というわけで,ビートルズとはいったい何者か? とネットを見たら,あるはあるは,無数にある。

完全オープンのユーチューブだけでも,60年代のお宝動画から,最新リマスター版まで,よりどりみどり。映像画質はいまいちだが,音質はかつての自宅ステレオ再生EP盤,LP盤よりもはるかによい。アクセス数は数百万回,1千万回にも及んでいる。もはや市販DVDやCDなど,買う必要はない。

ビートルズのような不良音楽を研究する学生もケシカランが,それ以上に,著作権完全無視のネット無法社会はもっとケシカラン。

知も美も万人に開かれてあるべきだが,それは誰でもいつでも安易にタダで入手できるべきだということではない。知も美も,安物はタダでよいが,本物は,入手にはそれなりの敬意を払い,手間とコストをかけるべきものだ。安易垂れ流しネットや、映像・音楽ソフト貸し出し公共図書館は,現代における最大の文化破壊装置といってよいだろう。

で,ビートルズは? ネット垂れ流しのせいで一万分の一以下に希薄化されているが,それでもビートルズは有害有毒のケシカラン不良集団だということがよくわかった。

こんな不良音楽集団が,英国紳士・淑女の顰蹙を買い,米国のF*IやらC*Aに危険集団として警戒されたのは,当然だ。わが日本国でも,公安筋が要注意集団としてマークし,警察は徹底的に国民から隔離した。そして少国民の健全育成を任とする文部省も,全国の学校にビートルズを禁止させた。当時,わが高校でもビートルズをまねた生徒が懲戒処分となった。

そんな危険な不良集団,ビートルズを,国民の健全育成を旨とする由緒正しきわが政治学ゼミで卒業研究として取り上げるのは,まことにもってケシカランことだ。

学生顧客主義を標榜するわが大学では,たとえ学生が不良になろうと,学生自身の選択の自由は尊重せざるをえない。こんなことでは,健全な国民の育成は期待できない。嘆かわしい。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/07/09 at 19:45

カテゴリー: 音楽, 情報 IT, 教育, 文化

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コピペ革命の「すばらしき新世界」

谷川昌幸(C)

ネットに掲載したら,無断転載は防止できない。RSS等も発達し,無断掲載と変わらない。コピー禁止など,まったく無意味だ。

これは,コピペ革命(コピー&ペースト革命,切り貼り革命)だ。情報プロレタリアが情報ブルジョアの情報独占支配を粉砕し,情報を万人のものたらしめつつある。これに対し,アメリカなど情報帝国主義勢力は,著作権を振りかざし,軍隊で脅し,コピペ革命を弾圧してきたが,古来,情報は万人のもの,正義は情報プロレタリアートの側にある。

つい先日までマオイスト中国はコピペ革命の旗手だったが,米日情報帝国の軍門にくだり,また自国内ブルジョア反動勢力の圧力に負け,反革命に寝返った。しかし,まだまだ,北朝鮮など,情報プロレタリア諸国がブルジョア物品をコピペしまくり,頑張っている。噂では,現状ではまだドル札,タバコ,酒,ブランド商品など,ローテク商品・情報のコピペであり,これらは軍隊の脅しによる弾圧で,封じ込めにある程度成功している。しかし,情報プロレタリア諸国や先進国情報プロレタリアがコピペ革命をネットに持ち込むのは時間の問題であり,そうなれば世界コピペ革命の成功は間違いない。

情報ブルジョアジーの反革命成功の見込みはまず無いが,最大限の抵抗はするだろう。たとえば――
・コピペを想定し,世論操作用情報だけ掲載。
・記事はさわりだけ。
・写真・絵画は画質を落とす。

つまり,掲載記事の質を落とし,情報プロレタリアートには,低俗情報しか見せないようにするのだ。そして,価値のある情報は,アクセス制限をかけ,高い情報料を払う者だけに見せるようにする。この方法は,たしかに一時的には有効かもしれないが,いったんネットに掲載した以上,その気になればコピペは可能であり,結局コピペ革命は阻止できない。人民情報解放戦争の勝利は間違いない。

この情報革命に対する反革命は,したがって,情報化そのものの原理的否定とならざるをえない。つまり,本物の価値ある情報の完全秘教化だ。情報は,口伝を原則とし,やむなく文章化,映像化したものは,厳重に管理された宝物庫の奥深くに保管する。そして,信心深い信者にのみ,高い拝観料を取り,コピペできない形で拝観させる。情報の密教化こそ,コピペ革命に抵抗しうる唯一の途だ。

こうして,本物の価値ある情報は,結局,大衆には縁遠いヒマラヤ霊山の奥深くに隠され,秘教化する。

そして,下々のおびただしいネット情報は,ガラクタと化す。コピペ革命でコピーされた情報は,情報創造者の手を離れ,それには修正など本人のコントロールは及ばなくなる。コピペ情報は,無主化し,無責任となる。どんな間違いにも,誰も責任を取らない。

むろん,カント大先生の頃であれば,公衆の美的判断が働き,「美しくない情報」は淘汰された。しかし,21世紀のコピペ革命は,そんな啓蒙の楽天主義を木っ端みじんに粉砕するだろう。本物は徹底的に秘教化され,大衆から隠される。大衆には,本物と偽物の区別さえつかない。氾濫する情報は,本物とも偽物とも区別されないまま,「たんにそこにある物」となってしまう。

H.アーレントがどこかで言っていたことをもじっていうなら,情報プロレタリアが世俗的必要のためにせっせと「労働」し,情報産品を生産し,そして「消費」する。それは,世界の中での永遠を意識した人間の「活動」でもなければ「作品」でもない。他の動物たちが,生存のために身体を働かせて食物を摂り,排泄し,そして死んでいくように,人間も,永遠性と関わる何かを創出する独立の人格性を奪われ,無主労働で情報を生産し,消費し,そして死んでいく。

これが,コピペ革命の「すばらしき新世界」だ。

Written by Tanigawa

2008/01/16 at 12:32

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