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大統領にも国会議長にも,女性議員選出
世界最新憲法国ネパールが,大統領と連邦議会(立法議会)議長に、いずれも女性議員を選出した。快挙!
1.OG・マガル議長
ネパール立法議会は10月16日,無投票で統一共産党マオイスト(UCPN-M)議員のオンサリ・ガルティ・マガル議員を議長に選出した。ネパール初の女性議長。
マガル議長は,1977年ロルパ生まれ。人民戦争に初期から参加。和平後,ロルパ選出議員。UCPN政治局員。青年スポーツ大臣。前副議長。夫は,UCPNのバルシャマン・プン書記。
議長選挙は,ネパール会議派(NC)が対立候補を出さず,UCPNとRPP-N推薦のマガル氏が無投票で選出された。16日の時点では,まだNC・UML(ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派)・UCPN三党協調体制の継続が模索されていたからであろう。なお,副議長には,国民民主党(RPP-N)のガンガ・プラサド・ヤダブ議員を選出。
2.BD・バンダリ大統領
10月28日の大統領選挙では,UMLのビディヤデビ・バンダリ議員が,第二代大統領に選出された。議長選挙のわずか12日後のことだが,9月20日にマデシやインドの反対を押し切り新憲法が公布されたこともあり,諸政党の関係が流動化してしまっていた[公布日誤記訂正]。NCは下野を再確認し,党幹部のクル・バハドゥル・グルンを対立候補として擁立した。結果は次の通り。
BD・バンダリ(UML) 327
UML,UCPN,RPP-N,MJF-D,CPN-MLほか
KB・グルン(NC) 214
NCほか
*議員総数597, 投票総数549,無効8,欠席48(マデシ系ほか)
BD・バンダリ大統領は,1961年ボジプル生まれ。学生運動を経て,GEFONT女性局長など歴任。UMLカトマンズ選出議員。防衛大臣。UML副議長。女性権利実現に努力。夫は,ネパール共産党運動の指導者の一人マダン・バンダリ(1993年没)。党内では,オリ首相(UML議長)に近い。
3.UML=UCPN=RPP-N体制
これで,大統領=UML,首相=UML,議長=UCPNとなり,新政府は名実ともにこれら二大政党主導となった。これら2党に比べ,RPP-Nは一歩下がるが,それでも副首相兼外務大臣と副議長,大臣(1)を出しているので,新政府内においてキャスティングボートを握りうる位置にある。
これに対し,マデシのMJF-Dは,副首相と国務大臣(2)を出しているものの,この布陣では,あまり大きな発言権はもてそうにない。中国からの石油輸入にどう対処するか,さっそくその立ち位置が試されることになった。
いまタライ地方では,中国の対ネ石油輸出がマデシ運動への敵対行為とみなされ,反中国感情が高まっている。反中国デモが始まり、中国国旗が焼かれたという報道もある。
この新たな局面に,新政府はどう対処するのか? 真っ先に「踏み絵」を踏まされそうなのはMJF-Dだが,他の3与党とて難しい選択を迫られることに変わりはあるまい。
ネパールにおける中印の代理戦争といった最悪の事態だけは,何としても回避していただきたいものだ。
谷川昌幸(C)
制憲議会,ネバン議長選出
制憲議会は2月18日,統一共産党(CPN-UML)議員のスバシ・チャンドラ・ネバン(सुवास चन्द्र नेम्बाङ्ग)を議長に選出した。第1次制憲議会でも議長であったので,間にSB・タパ暫定議長を挟むが,事実上,再選。
議長選では,NC=UML「7項目合意」で首相ポストの見返りとして議長ポストをUMLに約束したコングレス党(NC)が賛成し,他党は,批判しつつも対立候補は立てなかった。無投票当選。
これは,一見,NC=UML連立政権の成立のように見えるが,実際には,まだ何とも言えない。なぜなら,UMLは,NCが制憲議会議長だけでなく副首相と内務大臣もUMLに渡すと約束したとして,その実行を迫っているからだ。NCはそのような約束はなく,内相は絶対に渡さないといっており,どう決着するか,まだわからない。
ネバン議長は1953年生まれ。リンブー民族出身。弁護士。イラム2区選出UML議員。代議院議員,代議院議長,第1次制憲議会議長など歴任。
谷川昌幸(C)
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