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中ネ軍事協力,さらに強化
人民日報(7月24日)など各紙報道によれば,ネパール国軍ラナ総監は,1週間の公式訪問において,中国人民解放軍の房峰輝総参謀長(中央軍事委員会委員)らと会談し,両国間の軍事協力促進で合意した。
中国はすでに2011年,770万ドルの対ネ軍事援助を約束。今回は,その着実な実行とともに,両国軍幹部の交流や将兵教育訓練協力の促進が約束された。
ネパール側は,「一つの中国」支持と,ネパールにおける「反中国活動」取締りを約束し,中国側はこれを高く評価した。
これを見ても分かるように,中国は外交巧者。最近の日本も,軍事ではなく外交で中国に負けていると反省すべきだろう。
谷川昌幸(C)
中印国境紛争とネパール
中国とインドの国境紛争が激化しつつある。この数ヶ月,中国人民解放軍がラダックのChumar(印実効支配地域)に繰り返し進入し,監視カメラや防壁などを破壊した。また,中国は中印国境付近で軍用転用可能な道路,鉄道,空港などを整備し,チベットでの軍事演習も活発化させている(The Times of India, Jul.14ほか印各紙)。
こうした中国の動きに対し,インドは7月17日,内閣安全保障委員会が4~9万人の特別部隊の新設を決定した。中核は「山地攻撃部隊(Mountain Strike corps)」。西ベンガルのPanagarhに本部を置き,部隊は中印国境付近に配備される。The Hindu(Jul.18)によれば,もし中国が攻撃を仕掛けるなら,この部隊が,空軍の支援を受け,チベット自治区内まで攻撃に出ることになる。
中印間のこうのような緊張は,ネパールにも当然,深刻な影響を及ぼす。インドは,7月9日のクルシード外相訪ネの際,2005年以降停止されていた対ネ軍事援助を全面再開することを表明した(India Today, Jul.11)。人民解放軍兵士の国軍統合完了が再開理由だが,このところの中国南下政策も背景にあることは間違いない。(なお,「印ネ平和友好条約1950」により,ネパールは,インド以外からの兵器調達には,インドの了解が必要。)
これに対し中国も,ネパール国軍のガウラブ・ラナ総監を招待した(Telegraph, Jul.19)。ラナ総監は,国軍幹部ら5人を率い7月19日訪中(28日まで),中国軍幹部らと会い,中国との軍事関係強化を協議する。また,ネパール国軍への移動軍病院2組の援助協定に調印することにもなっている。この移動軍病院施設は,一応,災害救援用となっているが,広義の軍用施設であることはいうまでもない。
また,カトマンズの軍士官学校では,中国人民解放軍将校2名がプレゼンし,そこには駐ネ中国大使や孔子学院(カトマンズ大学)の教官と学生も参加していた(china-defense-mashup)。
中国は,インドが武器・弾薬等を援助するのに対し,いまのところ用心深く軍用/民生用のグレーゾーンに援助を限定している。しかし,ネパール・中国の軍関係者の接触が日常化し,緊密化していることは間違いないであろう。
谷川昌幸(C)
中国「軍事援助」と自由チベット・デモ逮捕
中国人民解放軍は10月31日,ネパール国軍に6億ルピーの援助を約束した。ただし,ビレンドラ軍病院向け。軍事援助のようで,そうでもない。さすが中国,芸が細かい。
その翌日の11月1日,ネパール警察がパタンで自由チベットを叫ぶ亡命チベット人100人以上(nepalnews.comでは35人以上)を逮捕,拘留した。
軍事援助と自由チベット弾圧――絶妙のタイミングだ。お見事というほかない。
谷川昌幸(C)
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