ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

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早春の野草と野獣

3月中旬,野草が一斉に小さな花をつけ,ウグイスがさえずりの練習を始めた。心なしか浮き浮きする。

ところが,野草といっても,このところ勢力を急拡大しているのは,外来種。写真のスミレらしき花も,どこかから飛んできて根づき,いち早く花を咲かせた外来種だろう。とにかく,外来種は,やたらと強い。少々のことでは枯れない。しかも,たいてい美しい花をつける。困ったような,うれしいような。

動物もそうだ。畑は三重に網を張ったが,イノシシやサルに加え,生命力あふれ悪知恵にたけた外来動物も増えており,専守防衛で防御できるかどうか,心許ない。ここはやはり,集団的自衛権を行使し,村民一丸となって,外来動物テロ攻撃を撃退せざるをえないだろう。

春到来はうれしくもあり,ゆううつでもある。

150318d ■これは外来種(たぶん)

150318b150318c ■これらは在来種(たぶん)

150318e ■専守防衛の猫の額

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/03/19 at 09:19

カテゴリー: 自然

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Pesticide-free Veg: 無農薬の夢と現実

無農薬野菜は理想だが,現実は,この有様。私は,このような白菜を,時には青虫とともに食べているが,市場では,こんな白菜は絶対に売れない。

スーパーに並ぶ安くて見栄えの良い野菜は,いわゆる「害虫」や「雑草」や病気に強いいくつかの例外を除けば,おそらくすべて農薬まみれであろう(出荷時には残留「許容範囲内」と説明されてはいるが)。都市消費者は,カネを出すのも,青虫や虫食いもイヤなのだから,仕方ない。自業自得。

いまや,自家栽培者と無農薬栽培経費を負担できる人だけが,自然野菜を食べる特権を享受している。

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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/10/23 at 11:17

カテゴリー: 経済, 自然

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鈍足ネットと快足動物

丹後の我が村は,まだ3G。それもチョー遅い鈍足。ツイッターに接続してから畑に行って,ひと仕事して帰ってくると,やっと画面が出ているときすらある。有線なら速いのだろうが,面倒なので,我慢している。

これに反比例して,村の野生動物は快足,敏速ぞろい。防御の網や柵などものともしない。好物のサツマイモやトウモロコシなどは,一晩で全滅。

140914a ■全滅のサツマイモ畑

山や耕作放棄田畑にエサが無いわけではない。かつては山の木1本の所有をめぐり泥沼の境界争いさえ珍しくなかったというのに,いまでは山に入る人はほとんどいない。山林の正確な境界など,誰にもわかりはしない。山野は自然に戻り,エサも豊富。それなのに,野生動物もグルメになり,耕作田畑の野菜や果物を狙う。

自宅から数分の山裾にいつの日か野生栗の木が生え,いまや大木となった。以前なら子供たちが競って拾い,食べたものだ。野生栗は栽培栗より小さいが,はるかに美味しい。

ところが,いまでは拾う人もいない。そこに大きな足跡。おそらくクマであろう(イノシシかもしれない)。栗の木の下は,クマの格好の餌場となっているのだ。

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 ■豊作の栗/一面に落下したイガ/クマ(イノシシ?)の足跡

この近くに富有柿の木があるが,これも,クマかサルが登って食べたらしい。上方の枝が折られていた。ネットの自由と動物の自由は反比例する。

140914b ■折られた富有柿の枝

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/14 at 13:27

カテゴリー: 社会, 自然, 情報 IT

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出荷用と自宅用を区別,ネパール農家も

昨日,日本農家は出荷用と自宅用を区別して栽培していたと書いたが,事情はネパールでも同じだ。

商品野菜を栽培している農家のほとんどは,農地を二つに分けている――出荷用農地では,殺虫殺菌剤,ホルモン剤,化学肥料を使って野菜を作り,自家用農地では,有機肥料だけを使い,農薬は使わない。」(Himalayan,22Jul)

そう,商品農作物生産の資本主義農業においては,自家用/出荷用別栽培は,どこでも見られる,きわめて合理的な農作物生産方式なのだ。日本だけでなく,ネパールでも。そして,おそらくは農産物輸出大国の某国,某々国においても。だから――

このようなことをする農家は不道徳であり,全くのペテン師であり,消費者の健康をもてあそぶものだ。」(Ibid)

などと,農家を非難してみても,全くの的外れ,お門違いだ。農家には,何の非もない。農薬まみれ野菜は,ネパールの近代的消費者自身が暗黙裏に求めたものに他ならないから。

農薬汚染が高いのは,カトマンズ,バクタプル,カブレ,ダディン,チトワン,バラなどの都市近郊農地だ。その結果,当然,都市部の野菜の残留農薬が高くなる。

カトマンズ野菜市場では,トマト,ナス,カリフラワー,トウガラシ,ササゲ豆,ヒョウタン,ジャガイモなどの野菜類の45%から残留農薬が検出され,特にササゲ豆の場合,なんと97.17%から検出されたそうだ(ekantipur,29 Jul)。

あるいは,ネパール農家は,DDTなど15種類の禁止農薬を使用しているとか,カリマティ市場のほぼすべての野菜からWHO許容基準の3倍の残留農薬が検出されたといった,恐ろしい報道もある(Himalayan,22 Jul)。

しかし,繰り返すが,これは農家の責任ではない。「商品」農作物を求めたのは消費者自身である。だから,ネパールでも,こう言うべきだ――

安全な農作物が食いたければ,農業労働に見合うだけのカネをだせ!
カネも出さず,農薬規制しても,誰がそんなもの守るものか!

140730 ■資本主義農業(写真:philosophers-stoneより)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/07/30 at 13:53

カテゴリー: 経済

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ネパールの農薬汚染,中国が報道

1.ネパール野菜の高濃度残留農薬
中国の新華社通信記事(7月18日)によれば,カトマンズの野菜の14%から,WHO基準を大幅に超える農薬が検出された。胡椒,ニガウリ,ほうれん草,ジャガイモ,トマト,タマネギなど。検査したのはネパール農業開発省。

農業開発省のJM.カナル氏は,新華社記者インタビューに,「ネパールの農業が化学製品依存になってしまったのは,実に残念だ。・・・・消費者を守るため,厳しい対策をとることにした」と語っている。

ネパール農作物の農薬汚染については,以前から問題にされていた。農薬輸入はこの10年で7倍になっている(Gorkhapatra,1 Jan.2014)。しかし,むろんネパール全土が農薬汚染されているわけではない。農薬多用は,伝統農法の地方貧農ではなく,消費者向け商品農作物を作っている,多少とも資本主義化した農家だ。生活の都市化と,農業の近代化・資本主義化が,農薬まみれ農作物を生み出しているのだ。

ネパール近郊農業 ■ネパール都市近郊農業

2.自然離反の農業近代化
農業の近代化・資本主義化は,一般に,農業の自然からの離反,化学肥料・農薬依存をもたらす。この自明の理をわきまえず,上から目線で,優越感にむせびながら,たとえば「上海福喜食品」事件など,中国の食品問題を一方的に非難するのは,天に唾するもの,小国の小児,みっともないことこの上なし。

論より証拠,八百屋やスーパーの生鮮食品売り場にいけば,品定めに余念がない多くの買い物客を目にすることができる。品定めの基準は,(1)安い,(2)大きくて形が良い,(3)新鮮で美しい。(「味」はむろん重要だが,これは食った後でなければ,分からない)。

これが農作物の「商品」としての評価基準であることに間違いはなく,そうであるなら,商品生産者たる農家が,その基準に合わせて,「商品」としての農作物を作るのは当然ではないか。

3.自業自得の日本消費者
かつて高度経済成長期の日本では,すべてとはいわないが相当数の農家が,出荷用と自宅用を分けて栽培していた。出荷用には,化学肥料をたっぷり施し,農薬をふりかけ,大きくて美しい「商品」としての農作物を作った。自宅用は,有機肥料で,無農薬か低農薬で育てた。当然,自宅用は,形が悪く,虫に食われ,切ると中から青虫などが出てくることもあった。それでも農家は,自宅用には,そうした農作物を作り食べていた。安全だと知っていたから。

近くの町の人々も,日々の農作業が見えるので,できるだけ自然な農作物を買って食べようとし,農家もそれが分かっているので,近くの人々には自家用かそれに近い農作物を売るようにしていた。

が,遠くの都市住民の健康のことなど,知ったことではない。都市住民は,農作業のことには関心がなく,目の前の「商品」としての農作物をただ買いたたくだけ。農家としては,消費者の品定め3基準に合わせなければ,農作物は売れない。かくして,日本の農業も化学肥料・農薬依存となった。これは全部,消費者自身が求めたこと。

4.食の安全はカネで買え
食の安全をいうなら,カネをだせ! 形が悪くても,虫食いでも,青虫が出てきても,文句言うな!

そもそも,日本企業は,中国産の食材・食品に,いくらカネを払っているのか? タイから,鶏肉やエビをいくらで仕入れているのか? 安全なものが食べたいなら,自分の目の届く身近なところでつくられる食材・食品を,適正なカネで買い,食べるべきだ。

食材・食品を単なる「商品」と見なして買いたたく資本主義社会の「根無し草」市民なら,多少の農薬,多少の異物,多少の賞味期限切れなど,我慢せよ。すぐ死ぬわけではないのだから。

140728 ■農薬汚染風刺画(Nepali Times, 2014-07-28)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/07/29 at 10:50

カテゴリー: 経済

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鳥インフル:無防備な近郊養鶏場

ネパールで鳥インフルが拡大している。バクタプルにつづきラリトプルでも感染が確認された。

カトマンズ近郊には,人口増にともない,養鶏場が急増している。かつては放し飼いで,ニワトリも健康であり,感染してもそう深刻なことにはならなかったのだろうが,いまは無防備な養鶏場にぎっしり詰め込まれ,飼育されている。いったん感染したら急拡大することは,素人目にも明らかだ。

鳥インフルは日本や韓国でも防止しきれない。ましてやネパールでは,鶏舎の予防対策も,拡大防止行政能力も,不十分である。急速な都市化に,交通,水道,電力などの基礎インフラ同様,養鶏・畜産業もついて行けないのだ。

鳥インフルがいつ終息するか? 長引けば,養鶏農家だけでなく都市住民にも大打撃となるであろう。

[参照]農業現代化と動植物の権利

130806 ■近郊の鶏舎(今回の鳥インフルとは無関係)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/08/06 at 09:59

カテゴリー: 社会, 経済

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野生動物軍団と専守防衛農業

丹後の村は盛夏,野山に生命があふれ躍動している。動物たちも元気だ。

クマは桃の木に登り桃色に熟した実をほおばり,イノシシは牙でサツマイモを掘り起こし,一家で食べ尽くす。やがて秋になれば,猿軍団が山から下りてきて,庭の柿の木に登り,柿を食べてしまうだろう。コメも野生動物たちの好物だが,さて今秋はどうなることやら。

日本国民は,北方某国など,外国に対しては,防衛には先制攻撃が必要だなどと勇ましいが,自国農業についてはもっぱら専守防衛,欧米の「動物の権利」擁護団体から表彰状がもらえそうなほど平和主義に徹している。

日本農業は,TPP以前に,野生動物連合軍の波状攻撃で崩壊するのではないだろうか。

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 ■イノシシにより一夜で壊滅したサツマイモ畑。国道側。電気柵も効果なし。(2013.7.28)

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 ■自宅横の畑(防獣網設置)。イノシシによりサツマイモ壊滅後,小豆を播き,芽が出た(2013.7.28)。撮影日夜,今度はタヌキかアライグマに掘り起こされた(2013.7.29)。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/07/31 at 12:26

カテゴリー: 社会, 経済

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