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ポカレル前副首相の長崎講演会(1/28)記事
平和国家建設「長崎に学ぶ」 ネパール人 元留学生・ケーシーさん 前副首相招き 講演会開催(西日本新聞,2013年2月9日掲載)
谷川昌幸(C)
恵比寿様とマリア様:神ノ島
長崎・女神大橋を渡って「神ノ島教会」に行ってきた。教会は,長崎湾の入口の岬の中腹,入出港の船を迎え・見送る絶好の位置にある。
教会には,カトリック信仰復興に尽力した西忠吉・政吉の石棺が安置され,そこからは対岸に軍需産業の雄,三菱の巨大な香焼工場が望まれる。
教会の下方の海岸には,見方によれば,すさまじいものがある。そこには立岩が一つ,長崎港を守る門柱のように立っている。その小さな立岩の上に,何と恵比寿様とマリア様が鎮座されているのだ。
質素な祠から村を見守っている小さな恵比寿様と,それに尻を向け入出港の船を祝福している巨大な純白の聖母(女神)様。
この立岩の上には,おそらく恵比寿様が鎮座されており,そこに後からマリア様が進出(侵出?)され,2神同居(雑居?)となったのだろう。平和共存されてきたのか,それとも反目されてきたのか,私には分からない。
何の予備知識もなく,この光景を見ると,正直,ギョッとする。港の入口の絶好の神域をめぐって恵比寿様とマリア様が場所取り合戦をしているようにしか見えないからだ。
長崎には,よそ者にとっては,興味尽きない不思議なものが無数にある。
■質素な祠の恵比寿様(左上),純白の巨大聖母像(右上),三菱香焼工場(右端)
谷川昌幸(C)
中国熱烈歓迎,長崎
長崎は,位置的には,東京よりも中国に近い。しかも,没落日本に比べ,中国は昇竜の勢い。韓国依存を深める対馬に続き,長崎も中国依存に向かいそうだ。
すでに長崎の街には中国や韓国から大勢の人が来ているし,春にはHISが上海定期客船を運航する。ハウステンボスを再建した商売上手のHIS,豪華客船で多くの観光客を連れてきてくれるだろう。
ヒステリックな嫌中など,東京の時代錯誤国粋主義者どもに任せておけばよい。長崎には,13億の大国中国がついている。兵器産業依存などより,中国との互恵繁栄の方がはるかに健全だ。
この春からは,中国客満載のHIS豪華客船が三菱造船所のすぐ側を往来する。イージス艦だろうがミサイル搭載艦だろうが,ぜ~んぶ丸見え。当然,パチパチ撮られ,中国でばらまかれ,ネットでも流されるだろう。
これはたまらん,軍機が守れない,といって軍事産業が撤退してくれたら,しめたもの。長崎は,宿痾の軍事産業依存から脱却できるかもしれない。よい時代になったものだ。
谷川昌幸(C)
高島・端島と三菱財閥,軍事都市・長崎
「ネパール投資年2012」に敬意を表し,高島に行き,三菱財閥の今昔を見学してきた。
1.希代の政商,岩崎弥太郎
三菱創始者の岩崎弥太郎は,希代の政商,自然と人民と国家を食い物とし,巨万の富を築いた。長崎は,明治から今日にいたる,その人民搾取の生き証人である。
長崎港からフェリーに乗ると,伊王島経由で高島に着く。約30分。高島は,全周6kmほどの小さな島だが,明治2(1869)年,死の商人グラバーが炭鉱開発,それが後に官営となり,次に明治14年の官営事業払い下げで三菱のものとなる。まさに濡れ手に粟,人民財産の横取りだ。
2.高島からの搾取
この三菱高島炭鉱は,近代技術を導入して掘りまくり,三菱の蓄財と日本の富国強兵に大いに寄与したが,採算悪化や石油への転換のため,昭和61年に閉山した。
御用済みとなった高島からは,労働者・住民が退去,斜面の木造住宅の多くは廃屋となり,またコンクリート・アパートも廃虚となっているものが少なくない。
しかし,高島自体は,自然豊かな美しい小島である。真冬の正月というのに,島では早くも早春の花々が咲き,海はどこまでも碧く,透きとおっている。三菱は,この美しく豊かな南海の小島を,一時的な金儲けのため搾取し破壊したのだ。
3.軍艦島(端島)
その高島以上に搾取され破壊されたのが,すぐ近くの端島。面積はわずか6haほど。
三菱は,明治23(1890)年に端島を買収し炭鉱開発,高島と並ぶ出炭量となった。増産につれ,雇用労働者も増え(敗戦前は朝鮮人や中国人も雇用・徴用),島内にはアパートが建設された。出炭最盛期は昭和16年頃で約40万トン,人口最大は昭和35年頃の約5千人。島内には,学校,病院,映画館,寺など,日常生活に必要なものはほとんどそろっていた。
しかし,その端島も,昭和49年に閉山,住民は全員退去し,現在は廃虚の無人島となっている。
三菱は,端島の石炭(自然)を搾取し,軍艦を造った。だとしたら,端島は,それゆえにこそ「軍艦島」と呼ばれるべきだ。(いわれの史実については,ご自身でご確認ください。)
その軍艦島は,高島からもよく見える。廃棄軍艦よりもグロテスクで醜い。わざわざ高い料金を払って「軍艦島クルーズ」に行く必要はない。
4.軍艦建造で儲ける三菱
軍需企業・三菱は,いまも軍艦を造っている。高島・伊王島フェリーに乗ると,長崎湾沿いの三菱工場群を間近で見ることが出来る。そこには,大抵,数隻の軍艦が建造や修理・点検のため,係留されている。この1月3日も,No.109とNo116の2隻と,船番不明の1隻が係留されていた。
ネットによると,109番は護衛艦「あけぼの」(4400トン)。1999年三菱長崎造船所建造。対テロ戦争で海外派兵に使用。116番は護衛艦「てるづき」(5000トン)。2011年三菱長崎造船所建造。これから配備される。
これら2隻は,いずれも最新鋭。以前なら,こんな写真を撮ると,スパイと疑われ,逮捕,拷問は免れなかったにちがいない。
5.軍事都市,長崎
このように,長崎は明治以降,富国強兵都市であり,現在も,軍需産業都市である。平和学習のため長崎を訪れ,官許モデルコースを回るのも悪くはない。しかし,本物の生きた学習は,長崎あるいは佐世保の現役軍需産業や軍事施設の巡視・巡検にこそある。
長崎は,原爆投下前も原爆投下後も,軍港と軍需産業の都市なのだ。
谷川昌幸(C)
長崎被爆66周年と平和運動
8月9日午前,平和公園に行き,平和祈念行事に参加した。
1.長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典
長崎市主催の「平和祈念式典」は,例年通り,平和祈念像前の広場で開催された。10時半頃行くと,すでに満員で入場できないとのこと。例年そのような規制はなく,今日も外から見ると,空きスペースがかなり見られた。
入場拒否された人々の噂では,今年は米国主席公使が参列するので警備が強化され,一般参列者が閉め出されたとのこと。あくまでも噂だが,ありそうな話しだ。
入場拒否された参列者たち
そもそも,この公式「平和祈念式典」はケッタイな式典だ。以前にも指摘したように,「平和祈念像」は,多くの人にとって威圧的な偶像としか見えない。その偶像に向かって参列者一同が頭を垂れ,祈る。これは異様だ。
三角形は威圧象徴図形
式典終了後,平和祈念像前の献花を見ると,特等席に各政党や国家機関の名前が並んでいる。なるほど公式行事とは,このようなものなのだ。
平和祈念像前の献花
それと,もう一つ解せなかったのは,おびただしい数のミネラルウォーター(500mlペットボトル)とオシボリを無料で配布していたこと(例年のこと)。タダほど高いものはない。省エネを叫びつつ,なぜこんなムダな大盤振る舞いをするのだろうか?
2.浦上教会「平和祈念祭」
平和祈念像前の平和式典は,あまりに生臭く,騒々しすぎる。被爆犠牲者のことを思い起こし,静かに平和を祈るには,別の場所,たとえば近くの浦上天主堂の方がはるかによい。
浦上天主堂の「平和祈念祭」は,11時少し前から始まり,原爆投下の11時2分,参列者全員が黙祷し,犠牲者の霊の平安と,今後の平和を静かに祈った。
そう,原爆は,キリスト教国アメリカにより,日本カトリックの聖地,浦上の,このカトリック教会の上に投下されたのだ。一瞬にして,多くのカトリック信者が犠牲になった。この教会も破壊された。
カトリック信者ではない私にも,参列されている信者の方々の静かな祈りに秘められた重さと深さが,ひしひしと感じ取れた。祭壇左には,「平和の祈り もっと強く,もっとやさしく」と掲げられていた。祈りとは,本当はこのようなものであるはずなのだ。
浦上天主堂と被爆石像
3.爆心地公園の平和集会
浦上天主堂での「平和祈念祭」終了後,爆心地公園に行った。例年,ここでは様々な団体,グループが平和集会を開いているのだが,その熱意は年々低下し,今年は閑散としていた。
運動の持続には,合理的理性の力だけでは無理であり,心情を深くとらえる情念の支えが不可欠だ。
カトリック教会の強味は,そのような人間の弱さをよく理解し,様々な制度や装置を総動員して心情に訴えかけ,情念の力で人間を支えていくところにある。長い伝統に裏付けられた本物の権威の力と言い換えてもよいだろう。
では,非戦・反核平和運動は,どのようにして人々の心情に訴えかけ,運動を持続発展させていけばよいのであろうか? これは難しい。
一つ確かなのは,「平和祈念像」では無理であろうということである。平和祈念像は,「救い」や「やさしさ」ではなく,上からの「威圧的支配」を思わせる。ましてや,その前に生臭い国家権力機関や政党が麗々しく献花し,会場をおびただしい数の警官が取り囲んでいては,平和祈念像は権力支配の象徴と化しかねない。
非戦・反核平和運動を継続発展させるための持続的情念を生み出しうるもの――「市民宗教」を求めた民主主義者ルソーに習うならば,それは「平和宗教」ということになるのであろうか?
谷川昌幸(C)
長崎原爆展,カトマンズ開催
長崎原爆写真展
会場:トリブバン大学記念ホール,キルティプール
期間:5月18-21日
開会式 5月18日午前10時より
司会:SL アマチャ学長
来賓:G トゥラダール文部大臣
田上長崎市長
秋葉前広島市長
水野駐ネパール大使
木村UNRPCDセンター長
ほか
進行:カドガ・KC博士
■Opening Ceremony of the Nagasaki Atomic Bomb Photo Exhibition
Date and Time: at 10:00-11:00 am on 18 May, 2011
Venue: Tribhuvan University (TU), Memorial Hall, Kirtipur
Chair: Professor Dr. Soorya Lal Amatya, Rector, TU
Chief Guests: H.E. Mr. Gangalal Tuladhar, Minister of Education
Mr. Tomihisa Taue, Mayor, Nagasaki City, Japan
Dr. Tadatoshi Akiba, former Mayor, Hiroshima City, Japan
Guest of Honors: Mr. Tatsuo Mizuno, Ambassador of Japan to Nepal
Professor Dr. Soorya Lal Amatya, Rector, TU
Professor Dr. Bhim Raj Adhikari, Registar, TU
Professor Dr. Nava Raj Khadel, Dean, TU
Professor Dr. Mahesh Dahal, Principal University Campus
Professor Dr. Sushil R. Pandey, Head, CDPS
Mr. Taijiro KIMURA, Director, UN Regional Centre for Peace and Disarmament in Asia and the Pacific
Master of Ceremony: Dr. Khadga K.C.
Provisional Program
1. Call the Guests to the Podium
2. Welcome Speech: Dr. Hem Raj Subedi, Coordinator, CPDS
3. Inauguration of the Exhibition
Minister Tuladhar
Amb. Mizuno
Mayor Taue and Dr. Akiba
4. Guest Speakers:
Mr. Tatsuo Mizuno, Ambassador of Japan
Atomic Bomb Survival from Nagasaki
5. Key note Speakers:
Dr. Tadatoshi Akiba, former Mayor of Hiroshima
Mr. Tomihisa Taue, Mayor of Nagasaki
6. Inaugural Speech:
Minister Tuladhar
7. Concluding Remarks from Chair
[Press Release]
Nagasaki Atomic Bomb Photo Panels Exhibition
Tribhuvan University, Memorial Hall, Kirtipur, Kathmandu
18 May 2011
Nagasaki Atomic Bomb Photo Panels Exhibition will be held from 18 to 21 May 2011 at the Memorial Hall of the Tribhuvan University. The exhibition will be officially inaugurated by Mr. Tomihisa Taue, Mayor of the Nagasaki City and Dr. Surya Lal Amatya, Acting Vice-Chancellor of the Tribhuvan University at 10:00-11:00 am on Wednesday 18 May at the Memorial Hall of the Tribhuvan University, Kirtipur.
The exhibition will be held from 18 to 21 May (four days) at the Memorial Hall of the University. The opening time is from 11:00 to 16:00. It is open to the public.
Nagasaki Municipal Government holds A-bomb Photo Panels Exhibition both inside and outside Japan in order to convey the realities of the atomic bombing, and hopes people around the world to share precious of peace.
Taking advantage of the visit by Mr. Tomihisa Taue, Mayor of the Nagasaki City as well as the presence of Dr. Tadatoshi Akiba, former Mayor of the Hiroshima City, who will visit Nepal and will be awarded the Gautam Budhha International Peace Award by the Government of Nepal in Lumbini on 17 May, the City of Nagasaki will hold this exhibition with cordial cooperation with the Tribhuvan University and the United Nations Regional Centre for Peace and Disarmament in Asia and the Pacific (UNRCPD).
The organizers sincerely wish that this exhibition help deepen the understanding on the devastating effects of nuclear weapons and further enhance international efforts toward a nuclear-weapon-free world.
Media representatives are cordially invited to participate in the opening ceremony at 10:00 am on Wednesday 18 May 2011.
For more information, please contact
Mr. Taijiro Kimura
Director, UN Regional Centre for Peace and Disarmament in Asia and the Pacific, Pulchowk taijiro.kimura@unrcpd.org.np / +977 1 501 0257
Dr. Khadga K.C.
Assistant Professor, Central Department of Political Science Tribhuvan University, Kirtipur nepalstudy2004@yahoo.com / +9849296459
谷川昌幸(C)
ブッダ国際平和賞,長崎市長に授与
ネパール政府は1月13日,第1回「ゴータマ・ブッダ国際平和賞」を田上長崎市長と秋葉広島市長に授与することを決定,2月7日にはスベディ駐日次席公使が長崎市役所を訪れ,長崎市長に授賞式への招待状を手渡した。
朝日新聞2011.2.8
ブッダ国際平和賞は,5年に1回,「ブッダの説いた平和に貢献した個人または団体」に贈られる賞であり,今回,その初回受賞者に長崎市長と広島市長が選ばれたのだ。授賞式は5月17日,釈迦生誕地のルンビニで開催される。賞金は5万ドル。名誉なことであり,長崎市民の一人として誇りに思う。
が,それはそれとして,難しいのは,ここでも宗教と政治の関係。ネパールは世俗国家になったが,その前はヒンドゥー国家だったから,世俗化は結果的には,あるいは実際には,反ヒンドゥー(反ヒンドゥー教国家)を意味する。特に,世俗化のシンボルとしてヒンドゥー以外の宗教が用いられると,変なことになる。
そんな馬鹿な,と思われるかもしれないが,現にネパールでは官庁や政党が「仏教」を世俗化のシンボルとしてさかんに利用している。仏教の政治的利用である。
「ゴータマ・ブッダ国際平和賞」も,そうした仏教の政治的利用の一つではないのか? 授与される側としては,そんなことまで気にする必要はないといえばそれまでだが,ネパール政治の内情を多少知る者としては,一抹の不安を禁じえない。
■UNMIN撤退の悲喜劇
■気になる映画「仏陀再誕」
■醜悪な郊外開発
■仏教の政治的利用:ガルトゥング批判
谷川昌幸(C)
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