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AI化社会の近未来(4)

(3)議会のAI化
議会制民主主義は,主権者たる国民がその代表として議員を選び,彼らをして議会を構成させ,その議会を通して国民自身の利益のため国を統治させる制度。それゆえ議会は,国民の様々な意見を聞き,慎重に審議し,最も妥当と思われる政策をつくり上げ,それを行政府をして忠実に実行させなければならない。

この議会制民主主義の仕組みは,それ自体複雑であり,現在のように社会が高度に複雑化し変化も速くなると,それへの対応が困難となり,様々な問題が生じてくる。そうしたとき,もし自動学習AIが議会制民主主義の中に組み込まれていったらどうなるか?

自動学習AIは,国民の変動常なき多種多様な意見を網羅的に収集し,関連する他のおびただしい情報をも次々と取り込み,それらを比較・分析・評価し,その時々の最適の政策を導き出してくれるだろう。

このAI提示政策については,AIがなぜその政策を示したのかは分からなくても,国民自身も議員たちもすでに十分な判断能力を失いつつあるので,AI提示政策をそのまま受け入れざるをえないであろう。

いや,それにとどまらず,自動学習AIは,様々な情報提供を通して国民や議員がそれぞれの意見(意思)を形成する過程に働きかけ,彼らの意見(意思)を事実上つくり上げてしまうであろう。

もしこのような事態になれば,議会制民主主義は,形は残っても,事実上,AI統治となってしまう。AI提示政策に「可」印を押すだけの議会。現代における議会制民主主義は,自動学習AIと相性が良いのだ。

*横尾俊成「「AI議員」という思考実験」HUFFPOST, 2018年01月09日

“SoftBank robot Pepper appears before U.K. Parliament, sparking lively debate,” The Japan Times, 2018/10/17

(4)裁判のAI化
議会よりも,もっと自動学習AIと相性が良さそうなのが,裁判である。裁判は,刑事にせよ民事にせよ,まず争われている諸事実を証拠により確定し,過去の類似事件の判例をも考慮しつつ,法の規定を適用し,判決を下す。

この裁判過程は,事実認定の正確さ,比較衡量の妥当性,法適用の厳正さなど,公正を求められれば求められるほど,自動学習AIの作動に近づく。このところ日本よりはるかに先駆的な中国では,すでに「AI裁判官」が裁判に関与し始めているそうだ。

いずれ裁判所は,訴えが出されれば,それを「司法AI」に回し,AIが導き出した結果を裁判官が判決として読み上げるだけとなるだろう。

■Briony Harris, “Could an AI ever replace a judge in court?,” World Government Summit, July 11, 2018

■Thomas McMullanm, “A.I. Judges: The Future of Justice Hangs in the Balance,” Medium, Feb 14, 2019

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/08/21 at 14:03

カテゴリー: 社会, 議会, 司法, 情報 IT, 民主主義

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