ネパール評論 Nepal Review

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SSBを告発,CIAA(1)

CIAA(職権乱用調査委員会)が,今度は「社会科学バハ(Social Science Baha: SSB)」と,その傘下組織とされる「社会対話アライアンス(Alliance for Social Dialogue: ASD)」の調査・告発に着手した。

161007a■SSB(同FBより)

1.社会科学バハ(SSB)
SSB(社会科学バハ)は,バハHPによると,2002年1月1日,社会科学図書館の開設を主目的として,ヒマール・アソシエーションの支援の下に設置された。その後,事業を以下の分野にも拡大した。
 ・SSB図書館:蔵書約2万冊,オンラインデータベース提供
 ・現代社会問題集中研究コース(大学院レベル)開設:2009年で終了
 ・講義,討論会,ワークショップ等の開催:「MCレグミ・レクチャー」,「バハ・レクチャー」など
 ・社会科学関係書籍の刊行
 ・調査研究の実施

SSBは2007年1月15日,独立の組織(NGO)として政府(ラリトプル郡役所)に登録し,「社会福祉委員会(Social Welfare Council)がそれを認可した。以後,毎年,登録は更新されている。

[SSB役員](SSB HP)
General Members: Ajaya Dixit, Dr Bandita Sijapati, Basanta Thapa, Deepak Thapa, Dipak Gyawali, Dyuti Baral, Dr George Varughese, Hari Sharma, Kanak Mani Dixit, Mohan Mainali, Prof Nirmal Man Tuladhar, Prakriti KC, Dr Pratyoush Onta, Dr Rajendra Pradhan, Dr Sudhindra Sharma,
Executive Committee: Prof Nirmal Man Tuladhar(Chair), Basanta Thapa(Vice-Chair), Dr Sudhindra Sharma(General Secretary), Mohan Mainali(Treasurer), Dipak Gyawali (Member), Kanak Mani Dixit(Member)

以上が,SSBの概要。CIAAは,このSSBに多数の不正があるとして告発したことを,9月25日発表した。この告発発表は,内外に波紋を広げ,特に学術研究やNGO活動の分野で危惧の念が高まっている。

161007■最近警告が付けられたSSBのHP

*1 “CIAA seeks action against Social Science Baha, Alliance for Social Dialogue,” The Himalayan Times, September 25, 2016
*2 “Social Science Baha accuses CIAA of breaching jurisdiction,” The Himalayan Times, September 30, 2016
*3 “Social Science Baha refutes CIAA charges,” Kathmandu Post, Sep 30, 2016
*4 “Social Science Baha claims CIAA misinterpreted facts,” Republica, October 1, 2016

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/10/07 at 18:27

カテゴリー: 政治, 教育, 文化, 民主主義

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アジア調査報道会議,クンダ・デグジト不在の皮肉

「第2回アジア調査報道会議」が9月23-25日,カトマンズで開催された。The Centre for Investigative Journalism, Nepal(CIJ-N), The Global Investigative Journalism Network(GIJN), The Konrad-Adenauer-Stiftung(KAS)の共催で,世界50か国から著名なジャーナリストやメディア研究者ら約350人が参加した。

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中心となっている「世界調査報道ネットワーク(GIJN)」は,世界各国のジャーナリスト約300人により,2003年コペンハーゲンで設立された国際NGO。会長は,著書「Yakuza」でも知られているDavid Kaplan。また,コンラート・アデナウアー財団は,ドイツのキリスト教民主同盟系の政治財団で,法治主義、民主主義、社会的市場経済のための活動を世界各地で展開している。

これら2団体との共催で「第2回アジア調査報道会議」の開催を引き受けたのが,「調査報道センター・ネパール(CIJ-N)」。このCIJ-Nは,クンダ・デグジトを中心とするヒマール・アソシエーション関係ジャーナリストにより1996年,設立された。以来,ネパールにおけるジャーナリスト研修機関として調査報道の発展に寄与してきた。今回,GIJNが第2回アジア会議をネパールで開催することにしたのも,おそらくCIJ-Nのそうした活動を評価し,さらにそれを支援しようと考えたからだと思われる。

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ところが,その「第2回アジア調査報道会議」に,肝心かなめのホスト役,クンダ・デグジトが出席しなかった。いや,出席できなかったのだ。

カプランGIJN会長:「クンダはわれわれの最善の同志の一人であり,われわれがここに来たのも彼がいたからだ。」「クンダは,この会議の数週間前に,ネパールから逃れた。もしここに戻れば,彼は魔女狩りにより拘束され投獄される恐れがあるのだ。」(*2)

クンダがどこに避難したかは不明。おそらく国外のどこかに脱出したのだろう。そこから,彼は「第2回アジア調査報道会議」にあてビデオ・メッセージを寄せている。

クンダ・デグジト:「わが官憲は手法を改めた。彼らは,ジャーナリストの投獄のような荒っぽい方法はもはや採らない。今日の検閲は,裏からの脅しにより行われる。これは,より狡猾で邪悪とさえ言ってよいであろう。」(*2)

ここでクンダは,投獄のような荒っぽい方法は採らないだろうと語っているが,しかしCIAAによる弟カナク・デグジト逮捕投獄のこともあり,やはりそれを警戒し避難したとみるべきであろう。

カナク・デグジト:「(カルキCIAA委員長は)国家の二重権力の一つを握っている」。「(CIAAは)悪意の権力センター」である。「私のネパールにおける積極的な活動,たとえば腐敗防止委員会委員長へのカルキ任命に反対したこと・・・・などが,雑誌(Himal Southasian)休刊をもたらした主な原因である。」「ネパールの有力な新聞の多くが,カルキについて批判的な報道をすることを恐れていたし,いまも恐れている。」(*1)

160930b■クンダのビデオメッセージ上映

*1 “The target was Kanak Mani Dixit but the axe fell on ‘Himal Southasian’ in Nepal,” Scroll, September 25 2016
*2 “Kunda Dixit’s exile shows concern over Nepal’s press freedom,” The Himalayan Times=AP, September 25, 2016
*3 “Prominent Journalist Kunda Dixit who Founded “Nepal Center for Investigative Journalism” now in Self-exile to Avoid Arrest,” 26 September 2016 (http://dbsjeyaraj.com/dbsj/archives/48669)
*4 “Journalist’s exile shows concern over Nepal’s press freedom,” (http://www.newdelhitimes.com/journalists-exile-shows-concern-over-nepals-press-freedom123/)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/09/30 at 19:05

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