ネパール評論

ネパール研究会

ロイ,国家反逆罪で逮捕か?

谷川昌幸(C)

われらがロイが,国家反逆罪で逮捕されるかもしれない。ロイは,カシミールの集会で――
    ・カシミール住民に対する残虐な弾圧
    ・カシミール知識人の追放
    ・ダリット兵士殺害
    ・カシミール弾圧費用を負担させられているインド貧民
    ・警察国家で生きるインド庶民
などについて語った。これが国家反逆罪に当たるというのだ。(Arundhati Roi, “Pity the nation that has to silence its writers: Kashmir was never integral part of India”, The Hindu, 26 oct.2010)

国家反逆罪は,日本の刑法でいえば内乱罪――
 第2章 内乱に関する罪
 第77条 国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
 1.首謀者は、死刑又は無期禁錮に処する。
 2.謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は3年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は1年以上10年以下の禁錮に処する。
 3.付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、3年以下の禁錮に処する。

こんな恐ろしい内乱罪に問われる事態にないわれわれ日本人は幸せだ。でも,内乱罪はいまでもちゃんと生きていることを忘れてはならないだろう。

それにしても,ロイの文章は,危険なまでに魅力的だ。この危機の瀬戸際にあってさえ!

Written by Tanigawa

2010/10/28 @ 16:52

カテゴリー: インド, 民族, 人権

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