ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

小豆島にも外国人観光客多数

「明治節」の11月23日,小豆島に行ってきた。紅葉見物でにぎわっていたが,驚いたのは,アジア諸国からの観光客の多さ。決して便利とは言えない瀬戸内海の小島ですら,観光業はアジア諸国観光客への依存を強めているようだ。

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 ■天使的散步道(蛭子神社~大余島)/寒霞渓

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 ■二十四隻眼睛電影村

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/11/25 at 15:52

カテゴリー: 自然, 文化, 旅行

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ゴビンダ医師,10回目ハンスト開始

トリブバン大学医学部(IoM, TU)教育病院のゴビンダ・KC医師が11月13日,ハンストを開始した。9月26日開始の前回ハンストは,ダサイン入りとともに終了。今回はその再開であり,通算10回目となる。

1.ゴビンダ医師の要求
ゴビンダ医師の要求は,医療制度と医学教育の改革であり,一貫している。現在の具体的な要求は,次の通り。
 ・医科教育法を速やかに制定せよ。
 ・医科教育不当介入のカルキCIAA委員長の弾劾。
 ・トリブバン大学副学長へのTR・カニヤ教授の任命に反対。
 ・トリブバン大学医学部長は年功により選任せよ。

2.医学部利権
医学部は大組織であり,関係利権も巨大である。たとえば,TU医学部は現在,医学教育をする連携カレッジを8校承認(affiliate)している(下掲リスト参照)。これらのカレッジは,入学定員増を図るため,有力者に関係機関への口利きを頼む。あるいは,利権を狙う有力者が,新たな医科カレッジを承認させようとしてTUに圧力をかける。TUの副学長(事実上の学長)や医学部長は,そうした働きかけの最大のターゲットであり,事実,CIAAを含む様々な政治勢力により,これまでに幾度も医学部長が任期途中で交代させられたという。

3.年功人事の「合理性」
ネパールでは,いまもってアフノマンチェやチャッカリが蔓延し,利権が構造化されている。そうしたところでは,能力主義・評価主義といっても,実際には人事への外部介入やコネ人事の口実とされてしまう危険性が高い。いまのネパールでは,近代的な能力主義,業績主義よりも,むしろ年功制の方が実際には「公平」であり「合理的」であるといわざるをえない。ゴビンダ医師が医学部長の年功選任を要求するのも,おそらくそのような考えからであろう。

今回のハンストでは,ゴビンダ医師は,医学部長へのKP・シン教授の選任に反対し,年功どおりJP・アグラワル教授を選任すべきだと主張している。年功どおりでないと,結局,医学マフィアに踊らされる利権的政治任命となってしまうからだという。

[参照]Tribhuvan University (T.U) affiliated
Institute of Medicine (IOM); Universal Medical College (UCMS); National Medical College (NMC); Janaki Medical College (JMC); KIST Medical College (KISTMCTH); Chitwan Medical College (CMC); Gandaki Medical College (GMCTHRC); Nepalese Army Institute of Health Sciences ( NAIHS). (Source List of Medical Colleges Of Nepal, MEDCHROME)

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*1 “Dr KC warns of another fast,” Kathmandu Post,” Sep 4, 2016
*2 “Dr KC begins 9th fast-unto-death,” Kathmandu Post, Sep 26, 2016-
*3 “Cabinet fails to dwell on Dr KC’s demands,” Kathmandu Post, Sep 28, 2016
*4 “Dr KC begins his 10th hunger strike,” Kathmandu Post, Nov 13, 2016
*5 “What does the IoM dean issue mean? Orthopedic surgeon Govinda KC’s protracted fight against ‘political hand-picking’ continues,” Kathmandu Post, Nov 16, 2016
*6 “Dr KC in frail health on 6th day of fast-unto-death,” Kathmandu Post, Nov 18, 2016

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/11/20 at 16:45

トランプ勝利とネパール

ドナルド・トランプの米大統領選勝利に,ネパールも当惑している。

当初,ネパールでも,まさかトランプが当選するとは思われていなかったらしく,記事には落選を見越したような,辛辣なものが多かった。たとえば,PRATYUSH NATH UPRETI, “Trumps of Nepal: Every country has political leaders like Donald Trump and Nepal is no exception” (Kathmandu Post, Sep 18, 2016)。ここで「ネパールのトランプ」とされているのは,まず第一に,大口をたたき,先の選挙の結果を受け入れようとはしないプラチャンダ首相(マオイスト)。トランプは,プラチャンダ首相から学んでいるかのようだという。次は,KP・オリ前首相(UML)。大衆迎合スローガンを乱発し,ナショナリズムをあおった。そして第三に,カマル・タパ(RPP-N)。君主制やヒンドゥー教国家を唱えるオポチュニストであり,RPP議長ですら“タパはネパールのトランプだ”と揶揄しているそうだ。

ところが,トランプが勝利すると,ネパール・メディアは,一転,真剣にネパールへの悪影響を心配し始めた。最大の関心事は,対ネ関与の後退,特に開発援助の削減。次は,海外出稼ぎが難しくなるのではないかということ。また,移民や難民の受け入れ規制も心配されている。

たしかに,トランプの内向きナショナリズムにより,ネパールのような米国にとって重要とは言えない国への関与が低下することは,十分に考えられる。たとえば,John Narayan Parajuli, “What would Trump presidency mean for Nepal?: Limited engagement with countries like Nepal may be fallout of an inward-looking America under Trump”(Kathmandu Post, Nov 10, 2016)によれば,昨年6月に右派政権が成立したデンマークでは,対外関係予算が削減され,在ネ大使館も2017年までに閉鎖されることになったという。これまでネパールに深く関与してきたデンマークが大使館を閉鎖するとはにわかには信じられない事態だが,大使館HPを見ると,事実であった(下記参照)。ネパールは,トランプ勝利により,この流れが加速されるのではないかと恐れているのである。

[参照]デンマーク大使館閉鎖のお知らせ(同大使館HP)
 ・対ネ開発援助は,削減(phase out)していく。
 ・デンマーク大使館も,数年以内に閉鎖する。

161118a 161118b■デンマーク大使館

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/11/18 at 17:40

駐ネ中国大使,于红さん着任

新たに駐ネ大使に任命された于红(ユ・ホン)さんが11月7日,着任した。15日には,プラチャンダ首相を訪問。

于红大使は,1965年生まれ。外交部アジア局で要職歴任。経済分野が専門とのこと。中ネの経済関係緊密化への布石と見られている。

[参照]Message from Ambassador 2016/11/15

161117a161117b(在ネ中国大使館HPより)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/11/17 at 17:17

カテゴリー: ネパール, 外交, 中国

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ひこばえの饗宴

今秋の「ひこばえ」は,温暖化のおかげか,出来がよい。刈り取り後の「二番穂」とは見えないほどの豊作だ。

かつて人出が有り余っていたころの農村では,こんな豊作なら,刈り取って何かに利用したに違いないが,いまではそんな奇特なことをする人はいない。というわけで,晩秋の水田は,野の鳥獣たちにとって,またとない饗宴の場となっているのだ。

▼ひこばえの水田と紅葉の里山
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▼ひこばえ(よく稔っている)
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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/11/16 at 19:16

カテゴリー: 自然, 農業

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カルキCIAA委員長,瀬戸際(4)

3.議会の弾劾裁判
(1)弾劾動議提出
議会では,カルキCIAA委員長に対する弾劾動議が受理され,弾劾裁判が始まった。弾劾(महाभियोग)につき,憲法はこう定めている(要旨)。

第101条(2) 憲法設置機関[CIAAなど]の長または構成員に対する弾劾動議は,代議院の全議員の四分の一以上の多数をもって提出できる。提出された弾劾動議は両院[代議院(下院)と国務院(上院)]の全議員の三分の二の多数をもって可決され,弾劾決議された者は解任される。
(3)&(4) 11委員から構成される弾劾委員会を代議院に設置する。
(6)弾劾手続きの開始をもって,弾劾裁判を受ける者の職務は停止される。 

この憲法規定に従い,代議院議員157人(UML107+マオイスト50)が2016年10月19日,カルキ委員長弾劾動議を議会に提出し,受理された。これにより,カルキ委員長による職務執行はただちに停止され,翌20日,最年長のディープ・バスニャット委員が委員長代行に選任された。

議会には,11委員から構成される弾劾委員会が設置された。委員の過半数はUMLとマオイスト。議会における弾劾動議審議は,45日間が予定されている。

(2)弾劾動議の先行き
カルキ委員長弾劾動議について,提案者のUMLとマオイストは当然賛成の立場だが,最大政党のコングレスはまだ賛否いずれとも決めかねている。

そもそもカルキのCIAA委員長任命は,制憲議会が解散し,最高裁のレグミ長官が暫定内閣首相であった2013年5月に強行された。任期は6年。

当時,このカルキ任命には多くの反対があったが,主要政党たるコングレス,UML,マオイスト,マデシ戦線はすべて賛成した,あるいは少なくとも表立った反対はしなかった。しかも,議会は解散していたから,この人事については議会における審議も承認も,当然,なかったことになる。

こうした場合,いつものことながらインドの圧力(陰謀)がささやかれる。インド陰謀説によれば,インドがネパールの内政混乱に付けこみ,レグミ最高裁長官の暫定首相就任とカルキのCIAA委員長任命をセットでネパールに押し付け,そして今また,カルキ委員長が最高裁再審と議会弾劾で窮地に陥ると,在ネ大使館やRAWあるいは印ネパール学の権威M教授などを動員して,インド国益のためにカルキ委員長を守ろうとしているとされる。真偽のほどは,むろん分からないが,これまでのカルキ委員長によるあまりにも強引な権限行使を見ると,あるいはそのような裏もあるのかな,という疑念をぬぐい切れない。

いずれにせよ,議会におけるカルキ委員長弾劾が,かなり難しいことに変わりはない。弾劾動議可決には議会の三分の二,397議員の賛成票が必要だ。マデシ系,RPP,RPP-Nは反対だし,NCは割れている。結局,NCが弾劾の成否を決めることになるだろう。

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*1 “Karki’s impeachment process,” Nepali Times, October 20th, 2016
*2 “Dr KC welcomes impeachment motion against CIAA chief Karki,” Kathmandu Post, Oct 20, 2016
*3 TIKA R PRADHAN, “Impeachment axe falls on Lokman Singh Karki, CIAA chief faces automatic suspension after 157 UML, Maoist MPs register proposal,” Kathmandu Post, Oct 20, 2016
*4 Akhilesh Tripathi. “Forces that led to Lokman’s downfall,” Republica, October 20, 2016
*5 “Deuba hints at backing impeachment,” Republica, October 21, 2016
*6 “REVEALED: Nepal’s beleaguered anti-corruption chief’s three-pronged strategy to stay in power,” OnlineKhabar, October 25th, 2016
*7 “Impeach Lokman motion: With his Guru SD Muni in tow, Amresh Singh warns Nepal PM Prachanda not to seek enmity with India,” OnlineKhabar, October 27th, 2016
*8 “Karki can’t dodge punishment if he is guilty: Mahat,” Kathmandu Post, Oct 28, 2016
*9 Yubaraj Ghimire, “Simly put: Why Nepal’s anti-graft chief Lokman Singh Karki faces the axe,” Indian Express, October 28, 2016
*10 “Impeachment motion against chief of constitutional body a bad precedent: PM Dahal; Says the outcome will be positive,” Kathmandu Post, Oct 28, 2016
*11 “Karki preparing to challenge impeachment motion,” Republica, November 7, 2016
*12 Kul Chandra Gautam, “Impeachment and impunity,” Republica, November 9, 2016
*13 “Karki impeachment debate to resume Friday,” The Himalayan Times, November 09, 2016

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/11/12 at 19:40

カテゴリー: インド, 行政, 議会, 憲法

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カルキCIAA委員長,瀬戸際(3)

(2)異議申し立て裁判再審
異議申し立てを棄却されたアルヤル弁護士は,翌2015年11月24日,最高裁に再審を請求した。

再審請求を受けた最高裁は2016年8月26日,政府関係諸機関に対し,カルキ任命関係書類の提出を命令した。その中には,国王親政政府書記官長としてのカルキの行為に関する総務省の聞き取り調査記録も含まれていた。

この最高裁命令に対し,政府は当初,震災で文書はすべて失われたと説明していたが,最高裁が2016年9月17日再審開始を決定し,政府に対し関係文書を提出しなければ法的措置をとると警告すると,結局,政府は9月23日,すべての関係書類を最高裁に提出した。こうして,カルキ委員長任命異議申し立て裁判の再審が始まったのである。

再審開始決定後,最高裁はカルキを法廷に呼び出すため,召喚状を配達しようとした。規定によれば,召喚状は次のようにして配達される。
A: 本人に直接手渡しする。
B: Aが不可能な場合,本人宅居住者に手渡す。
C: AおよびBが不可能な場合,地区役所係官と証人2人の立会いの下,本人宅に召喚状を貼付する。
D: 上記方法による召喚状配達後15日以内(事情により15日延期可能)に出廷。

ところが,カルキは休暇(9月19日~10月19日)を取りカナダに行ってしまったため,本人には召喚状を手渡すことが出来なかった。また,本人宅居住者への配達や本人宅への貼付も,召喚状配達人が行方不明となったり,貼付立会人が来なかったり,あるいは何者かに妨害されるといった不可解な理由により,予定通り実施できなかった。召喚状が本人宅に貼付できたのは,3回目,10月17日のことであったという。

こうしてカルキは最高裁法廷に出廷することになった。カルキ裁判再審は,司法妨害など他の関連する4件の告訴もあわせ,5件まとめて12月1日から開始される予定である。

*1 “SC seeks documents on Karki’s appointment as CIAA chief,” Himalayan Times, August 26, 2016
*2 “SC warns of action if Karki’s appointment file not submitted,” Kathmandu Post, Sep 16, 2016
*3 Nabin Khatiwada, “SC to review verdict on CIAA Chief Karki’s appointment,” Republica, September 17, 2016
*4 DEWAN RAI, “Apex court dangles the sword of Damocles over CIAA chief Karki To review his appointment,” Kathmandu Post, Sep 17, 2016
*5 “PMO sends Karki appointment minutes to SC,” Kathmandu Post, Sep 24, 2016
*6 “SC given original documents related to appointment of CIAA Chief,” 24 Sept 2016, (http: //nepaliheadlines.com)
*7 “SC official carrying court summons for CIAA Chief Karki ‘missing’,” Kathmandu Post, Oct 6, 2016
*8 DEWAN RAI, “Notice to CIAA chief: Court attempt to serve summons fails again,” Kathmandu Post, Oct 7, 2016
*9 DEWAN RAI, “SC set to hear all cases against Karki on Dec 1,” Kathmandu Post, Nov 11, 2016
*10 “Lok Man the New Superman of NEPAL,” By weaker41, May 8, 2013 ( http: //ireport.cnn.com/docs/DOC)
*11 “Recommendation For Appointing Lokman Singh Karki To CIAA,” By KTM Metro Reporter, Issue 13, March 31, 2013 (http: //104.237.150.195/news/recommendation-for-appointing-lokman-singh-karki-to-ciaa)

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 ■CIAA/最高裁

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/11/11 at 16:32

カテゴリー: 行政, 司法

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