ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

CDC憲法草案受理,制憲議会で審議開始

憲法起草委員会(CDC)作成の憲法草案が7月30日夜,制憲議会ネバン議長に提出された。同夜の制憲議会(CA)本会議では,マデシ連合(サドバーバナ党など5党)が草案プリントを破り抗議したが,CDC憲法草案は受理され,7月2日から制憲議会においてこの「第一草案」に基づき審議し,最終的な憲法案を作成することになった。

[憲法制定日程]
6月30日: 制憲議会,CDC憲法草案受理。ホームページで一般公開し,国民の意見聴取開始
7月2日: 制憲議会において「第一草案」審議開始
7月9~12日頃: 国民からの意見聴取終了
7月末~8月初旬: 最終的な憲法案を作成し制憲議会において採択。新憲法の制定公布

▼ネパール憲法 2072年 第一草案
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谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/07/01 at 14:44

カテゴリー: 議会, 憲法

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CA憲法案,30日夜採択へ

憲法起草委員会(KP・シタウラ委員長)から送られた憲法原案は,6月30日夜制憲議会(CA)において正式のCA憲法案として採択される見込みとなった。

最大の懸案,州区画については,新憲法の中に書き込む方向になりつつあるが,まだどうなるかわからない。

この憲法制定「特急手続き」については,RPP-Nやマデシ系諸派が反対しているが,主要4党がほぼ合意しているので,7月中旬ないし月末,あるいはおそくとも8月第1週までには,めでたく新憲法制定公布の運びとなると見られている。

どの国民にとっても憲法制定は難事業。新憲法は,ほぼ例外なく,革命や独立や敗戦による事実上の国家構造の変化後,それを法的に確認し確定するため制定される。ネパールの場合,マオイスト革命が良かれ悪しかれ中途半端な妥協に終わってしまったため,必然的に新憲法制定が困難とならざるをえなかった。

その二進も三進もいかない,どん詰まり状況を一気に打開したのが,皮肉なことに,この4月25日の大地震であった。ネパール政治諸勢力は,新憲法を制定し正統な立憲体制を樹立しなければ,3千億ルピーとも5千億ルピーとも言われる巨額援助を受け,震災復興事業を進めていくのは難しいと,そう腹をくくったのではないかと思われる。

150630a150630b■制憲議会SC・ネバン議長/OG・マガル副議長

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/06/30 at 20:12

カテゴリー: 議会, 憲法

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京都の米軍基地(74):大使訪問情報隠しのハシゴ外し

京丹後市は,6月25日のケネディ大使訪丹について,親善・観光を前面に出すことによって,その「政治性」ないし「軍事性」を薄めようと涙ぐましい努力をしてきた。

が,そんなこと,米軍は知ったことじゃない。さっそくFBなどで,訪問を世界に向け宣伝し,そしらぬ顔で京丹後市のハシゴを外してしまった。米軍の常套手段。これから先,同じようなことが次々と繰り返されることになるだろう。

米軍は進駐軍であり,大本では治外法権。進駐先の現地人との約束など,守りはしない。沖縄を見よ! 

それでも「住民にとっての安全・安心が第一」などといった口約束を信じるとしたら,よほどのお人好し。「安全と安心」は,駐留米軍にとってのものであり,基地周辺の行政組織はその目的のために動員される。これから先,そのことも次々と事実により証明されて行くであろう。

▼経ヶ岬通信所視察
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 ■建屋外部。左上監視カメラ(基地FB6月27日)/基地海側(同6月28日)

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 ■建屋内(基地FB6月27日)/駐留軍閲兵は大使職務:三沢基地(米大使館FB6月11日)

▼「住民」との懇談
150629b住民はどこに?(基地FB6月27日)

▼「和み庵・空と海」(丹後町平)で昼食
150629d■米好みの和風(基地FB6月27日)
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 ■基地()の西近く。米軍御用達となるか?(空と海FB)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/06/29 at 13:43

腐敗「ゼロ・トレランス」を首相約束,復興国際会議

ネパール復興国際会議が6月25日に開催され,参加諸国・諸機関が約30億ドルの復興援助を約束した(集計方法により援助約束額は異なる)。

援助約束(億ドル):印10,中4.6,日2.6,米1.3,EU1.12,ノルウェー0.13,アジア開発銀行6,世界銀行5 (*3)

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 ■国際援助とコイララ首相(Nepali Times, 25 Jun)/援助額(Republica,26 Jun)

しかし,これらの巨額援助の約束は,無条件ではない。ネパールにおける汚職の蔓延は周知の事実であり,したがって援助側は,今回も,援助実施における透明性説明責任の確保を強く要求した(*1)。

そこでコイララ首相も,国際会議あいさつにおいて,「わが政府は腐敗に対しゼロ・トレランス(絶対不寛容)で対処することを約束します」と明言せざるをえなかった(*4)。しかし,この約束ほど,ネパールにおいて守るのが難しい約束はないといっても過言ではあるまい。

Mahanand Timalsina
「ネパールにおける外国援助の効果に関する最近の研究によれば,援助金の多くが――いくつかの推計では90%もが――間接経費と天井知らずの国際コンサルタント料に割り振られている。」(*1)
Kunda Dixit
「この1か月あまりの間にも,援助物資の多くが妨害されたり特定政党地盤に送られたりしているし,そればかりか売り飛ばされてしまったものさえある。」(*3)

150627d■届かない援助 by Subhas Rai(Kunda Dixit FB 2015-06-26)

このように,ネパールにおける事業実施の透明性や説明責任の確保は,ネパール人自身が認めているように容易ではないが,しかし,それでも被災者救援が切実に必要とされていることは紛れもない事実である。世界社会には,その構成員たるネパールの復興を最大限支援する道義的義務がある。

では,復興支援の条件である腐敗「ゼロ・トレランス」は,どうすれば実行できるようになるのか? 

むろん,一気呵成とは行かない。迂遠と見えるかもしれないが,やはり基本は国家ガバナンスの確立以外にあるまい。すなわち,正式憲法を制定し,正統な安定した中央政府を樹立する一方,地方選挙を実施し,援助現場たる地方の自治体を再建すること,これである。

[参照]
(*1)Mahanand Timalsina,”PROMISES TO KEEP,”Republica,26 Jun 2015
(*2)”Over $3 billion for Nepal,” Nepali Times,June 25, 2015
(*3)”Donors Pledge Billions to Help Rebuild Earthquake-hit Nepal,” Nepal National,26 June 2015
(*4)”PM Koirala’s inaugural speech, Foreign Minister’s welcome speech, FinMin’s theme address at donors’ conference,” Himalayan,June 25, 2015
(*5)ネパール復興に関する国際会議 城内副大臣ステートメント「ネパールのより良い復興に向けて」平成27年6月26日 http://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/np/page22_002081.html

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/06/27 at 23:54

カテゴリー: 行政, 国際協力, 憲法

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京都の米軍基地(73):ケネディ大使歓迎,米軍とイルカ軍

1.不自然な報道記事
ケネディ駐日大使が6月25日,経ヶ岬米軍基地を視察した。有名大使視察であり各紙報道したが,記事がどこか変だ。不自然,あるいはピント外れ。
 ▼ケネディ駐日米大使「騒音問題改善に努力」 京丹後の基地視察し表明 /毎日新聞2015-06-26
 ▼ケネディ大使、基地周辺住民と懇談 京都・京丹後を訪問 /京都新聞2015-06-25
 ▼ケネディ米駐日大使、京丹後・琴引浜で住民らと懇談 /産経新聞2015-06-26
 ▼ケネディ駐日大使が京丹後視察 /NHK京都2015-06-25
 ▼キャロライン・ケネディ駐日米国大使が来丹 /京丹後市FB2015-06-26

2.基地訪問隠し
ケネディ大使が,辺境地・奥丹後にまでわざわざ出かけたのは,いうまでもなく米軍基地視察のため。ところが,そのことを記事冒頭ではっきり書いたのは,毎日新聞だけ。

「ケネディ駐日米大使は25日、京丹後市丹後町の米軍経ケ岬通信所を視察後、基地周辺住民らと懇談した。」(毎日)

京都新聞は,かなり腰が引け,記事の最後にこう付け足した。

「これに先立ち、大使は米軍経ケ岬通信所を視察したとみられる。」(京都)

「視察」したに決まっているのに,「みられる」としか書けない。なぜか? たぶん「外交秘密」か「防衛秘密」のせいだろう。

しかし,それでも京都新聞はまだまし。産経新聞やNHK京都ともなると,大使は「鳴き砂」見物に訪れ,ついでに住民懇談をした,といった書きぶりとなる。産経はこう書いている。

「米国のキャロライン・ケネディ駐日大使が25日、京丹後市網野町を訪れ、「鳴き砂」で知られる国の天然記念物「琴引浜」を見学するとともに、地元の住民らと懇談した。」(産経)

また,NHK京都は,京丹後視察が主目的であるかのような見出しをつけ(上掲参照),記事をこう書き出している。

「米国のケネディ駐日大使が25日、近畿地方で唯一の米国軍基地がある京丹後市を訪れ、地元住民らと懇談しました。」(NHK京都)

そして,期待通り出色の出来映えなのが,京丹後市役所のFB記事。冒頭は,こうだ。

「キャロライン・ケネディ駐日米国大使が本日、京丹後市を訪れ、国の天然記念物に指定されている琴引浜の視察や、市長や山内副知事、住民らとの懇談を行いました。」(京丹後市FB)

住民との懇談の記載もあるにはあるが,発言の直接引用は一語もなく,住民の安全安心に努力するという発言があったと記すにとどまる。そして,また琴引浜の話しに戻り,ここでは直接引用の礼が尽くされる。

「素足で浜を歩いて砂音を鳴らしたり、海に入ったりしながら「very good」と喜びを話していました。本市を「美しいまち、美しい環境ですね」と絶賛された・・・・」(同上)

京丹後市役所が大使の基地訪問をどう扱おうとしているかは,一目瞭然だ。それにしても「very good」とは! 「美しい国」の「国益」を守るとは,結局。こういうことなのだ。

3.中山市長の役回り
ケネディ大使の京丹後訪問は米軍基地訪問が主目的なのに,京丹後市はそれを隠そうとする。ここでも,やはり毎日は鋭い。こう書いている。

「ケネディ大使が基地視察で騒音をどう感じたかについての質問に対し、中山市長は「私にはわからない。(今回の懇談会は)要望をする場ではない」としたうえで、「大使は環境問題に深い関心があり、私としては素晴らしい環境にある琴引浜を見てほしいとお願いし、来ていただいた」と述べ、今回の視察は環境問題がテーマであることを強調した。」

そして,記事の最後に,「ケネディ大使は鳴き砂文化館を視察後、鳴き砂で知られる国の天然記念物の琴引浜を裸足で歩いた」と付け足している。いくら由緒正しきケネディ家のご令嬢が裸足で琴引浜を歩こうが,そんなことなど本筋には関わりないということ。さすが毎日新聞!

ケネディ大使は,最前線基地の米軍人・軍属を激励するためにやってきた。その本質を隠すため,中山市長は大使に哀願し,琴引浜にも来てもらい,和服姿で接待し,これをもって環境問題のための大使来訪という方向へと住民の見方を誘導しようとしているのである。

しかも,琴引浜は網野町で,丹後町の米軍基地からは遠く離れたところにある。いま丹後半島の美しく平和な環境を破壊しつつある最大の元凶は,いうまでもなく米軍基地そのもの。騒音,排水,沿岸部景観破壊,伝統的文化環境破壊,そして地域の平和環境破壊――すべてこれらの環境破壊は,米軍基地がやっているのだ。騒音や交通事故については少し話題になったそうだが,それは基地による環境破壊のごく一部。なぜ,「環境問題に関心の深いケネディ大使」(市役所FB)に他の多くの問題について問い質さなかったのか?

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 ■遠く離れた米軍基地()と琴引浜()(Google)/琴引浜の大使と市長(市役所FB)

なお,蛇足ながら,市長の和服着用が国内的には会合の「非政治性」を,そして対外的にはいわゆる「フジヤマ・ゲイシャ効果」をもつことはいうまでもない。(和服産業宣伝の意味も多少はあるだろうが。)

たとえば,kyodo,”U.S. envoy Kennedy visits Kyotango”(25 Jun)をみよ。この英文記事には,琴引浜で和服姿の市長と戯れる大使といった,いかにもそれらしい写真が添えられている。

このkyodo記事は,世界中に配信され,また転載されている。民族衣装の現地人との写真ほど,先進国市民に優越感を与え,満足され,歓迎されるものはない。

 150626d■琴引浜の大使と市長(Kyodo)

4.非公開「住民」懇談会
それともう一つ,各記事が当然のように用いている「住民との懇談」ないし「住民懇談会」。これも怪しい。

地元側出席者は,中山市長,山内副知事,三崎市議会議長,吉岡基地対策委員長,袖志区長,婦人会(代表?),琴引浜の鳴り砂を守る会(代表?)など8人だけで,しかも非公開。こんなものが,「住民懇談会」などと呼べるのか?

たった8人で「住民」,しかも「非公開」。懇談内容をバラすと,「特定秘密保護法」でしょっ引かれるのかもしれない。クワバラ桑原。
 
150626c■非公開「住民」懇談会(市役所FB)

5.大使大歓迎のイルカ軍団
ケネディ大使来訪が米軍人・軍属を感激させたのはまちがいないが,鼓舞されたのはそれだけではない。マル秘の情報筋から聞いたのだが,大使来訪に欣喜しているのは,日本有数の好漁場たる丹後半島沖に狙いを定め,近辺に基地を建設しようとしている例のイルカ軍団。

ケネディ大使は,世界周知のイルカ人権擁護主義者。和歌山・太地でのイルカ捕獲は残虐で非人道的だ,イルカの人権を守れ,と大キャンペーンを張り,太平洋のイルカ軍団を感激させた。

つぎは日本海の番だ。もし丹後の漁民がイルカをいじめたり殺したりしたら,ケネディ大使がすっ飛んできて,イルカの人権擁護のため,駐留米軍をバックに,猛然と漁民を非難攻撃するだろう。人権擁護を旗頭とする米軍の基地の目の前でイルカを虐待するとは何事か,絶対に許さない,と。

丹後半島付近のイルカ軍団は,米軍基地ができ,さらに守護女神ケネディ大使まで激励に訪れてくれたことに,大感激しているにちがいない。ウソだと思われるなら,経ヶ岬灯台下か琴引浜付近でイルカたちに尋ねてみていただきたい。むろん,監視カメラでバッチリ監視されていることは言うまでもないが。

[参照]
ケネディ大使,ジュゴン保護を!
イルカ漁非難,その反キリスト教的含意と政治的戦略性
京都の米軍基地(34):イルカ軍団,丹後半島近海来襲
カモとイルカと伝統文化

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/06/26 at 21:50

CDC特別委員会,憲法原案草案提出

1.憲法原案草案提出
憲法起草委員会(CDC)が設置した特別委員会(クリシュナ・プラサド・シタウラ委員長=NC)が,6月23日夜,新憲法原案のもととなる草案を作成し,CDCに提出した。この草案によれば,新憲法は35編312条の超巨大憲法となる。ネパールお得意の,諸要求加算方式の結果であろう。

この4党「16項目合意」に基づく憲法起草については,最高裁が現行暫定憲法に違反するとして停止命令を出し,またヤダブ大統領も反対していたが,いまのところ4党の思惑通り進んでいるようだ。

2.インドの介入
この流れに,CPN-M(バイダ派マオイスト)やマデシ系諸派の多くは強く反発している。たとえば,CP・ガジュレルCPN-M副議長は,4党はインドの圧力により「16項目合意」に署名し新憲法をつくろうとしているが,これがこのまま進めば,再び内戦になる,と警告している。

インドの介入については,巨額の震災復興援助も絡んでいると言われている。ネパールの政治が安定しないと,欧米中心の国際社会の介入を招き,それはインドが最も嫌うところだ。だから,インドが主要諸政党に圧力をかけ,新憲法の制定を急がせている,というのである。ありそうな話しだ。

3.復興援助会議
その憲法制定の観点からも注目されている復興援助会議は,53カ国代表や様々な援助機関関係者が集まり,明日カトマンズのソルティ・クラウンプラザで開催される。ネパール政府は,震災被害を約7千億ルピーと見積もり,それに対する復興援助3千億ルピーを期待しているらしい。日本もすでに40億ルピーの援助を表明。

明日の復興援助会議でどの程度の援助が約束されるかまだわからないが,巨額となることはまずまちがいない。が,もしネパールが新憲法制定による政治の安定化に向かわなければ,援助実施が困難になり,援助の約束は反故にされるかもしれない。新憲法制定は,実利とも深く関わっているのだ。

 150624 ■クラウンプラザ

4.インド寄りの新憲法体制?
新憲法制定は,その意味では,国際社会の暗黙の要求でもある。インドは,この情況を巧みに利用し,ネパール主要諸政党に圧力をかけ,「16項目合意」に署名させ,インド寄りの新憲法体制をつくろうとしている,と見られている。

このような見方の具体的な裏付けは困難だが,新憲法制定への動きのあまりにも急なところを見ると,あながち的外れでもないような気がしてならない。

[今後の予定日程]
憲法起草委員会(CDC:30党代表,73委員)が,6月28日までにCDC憲法原案を作成し,制憲議会(CA)へ提出
⇒CAにおいてCDC憲法原案を審議
⇒国民の意見聴取
⇒CAが憲法原案に必要な修正を加え,憲法案を作成
⇒この憲法案をCA本会議において2/3の多数により採決
⇒大統領が新憲法を公布

[参照]
(*1) “16-pt deal under India’s influence: Gajurel,” Ekantipur,Jun 24
(*2) “CDC TASKFORCE RECOMMENDS 35 SECTIONS, 312 ARTICLES IN NEW STATUTE,” Republica,24 Jun.
(*3) “Oli asks court, Prez to stay away from politics,” Ekantipur,Jun 24
(*4) “Govt pins high hopes on tomorrow’s donor meet; Officials preparing for conference expect grant, loan commitments to the tune of $3 billion,” Ekantipur, jun 24.
(*5) RUDRA PANGENI,”INT’L CONFERENCE FOR NEPAL’S RECONSTRUCTION: GOVT LOOKING FORWARD TO GRANTS, SOFT LOANS,” Republica, 24 Jun.
(*6)「震災復興の国際パワーゲーム」けぇ がるね?日記(ネパールの空の下) 6月21日

谷川昌幸(C)

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2015/06/24 at 20:23

カテゴリー: インド, 経済, 憲法

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中国製航空機の運航不安

ネパールでは空路が発達しており安くて便利だが,事故も多い。6月22日にも,政府職員を乗せカトマンズからゴルカに向かっていたヘリ(9N-AKF)が鳥と衝突しサンド村付近に不時着,横転し炎上した。死者なし。

そうしたなか,不安を感じざるを得ないのが,ネパール航空(NAC)の中国製MA60(新舟60)とY12e(運12e)。性能とコストに難があり,いま大問題となっている。

そもそもこのMA60とY12eは,別にMA60を1機,Y12eを3機購入する見返りに,おまけとしてタダで中国からもらった飛行機。が,やはりタダほど高いものはない。

報道によると,両機とも米欧の形式認定がないので保険料が割り増しとなっている。2機で33万ルピー/日というから,結構なお値段だ。さらに交換部品が高いうえに,必要なときに入手できない。また乗員訓練費も高いそうだ。

安全に直結するのは,両機の性能だが,どうやら能書き通りではないらしい。離発着能力不足のため,乗客定員56のMA60はトリブバン空港では空席2,バドラプルなど地方空港では空席22とせざるをえない。乗客定員19のY12eの方は,空席3のうえに,山間地空港では離発着できないそうだ。

NACは,中国プレゼント飛行機をもてあまし,2機とも返却し,他の4機の発注をキャンセルすることも検討中という。

新聞報道だけではどこまで事実かわからないが,NACがフライトに問題を抱えていることは,たしかなようだ。利用者としては,こんな状態で安全が確保されているのかどうか,不安を禁じえないであろう。

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 ■新舟60(新華社4月28日)/尖閣接近のY12(防衛省=共同2012-12-22)

[関連記事]
飛行機プレゼント,中国政府
飛べない「新舟60」
新舟60フライトと中国債枠倍増
中国製「運12e」,ネパール航空へ引き渡し
新舟60,レーダー故障

[参照]
(*1)KRITI BHUJU, “HIGH-LEVEL PANEL TO ADDRESS PROBLEMS WITH CHINESE AIRCRAFT,” Republica,11 Jun 2015.
(*2)SANGAM PRASAIN,”Chinese aircraft burden for NAC, says minister,” Ekantipur,2015/06/17
(*3)”Simrik Air chopper catches fire after bird hit Chopper destroyed after emergency landing,” Ekantipur,JUN 22

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/06/23 at 16:03

カテゴリー: 経済, 旅行, 中国

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