ネパール評論

ネパール研究会

中国・ネパール共同声明

オリ首相が3月20-27日,中国を公式訪問,その成果を取りまとめた共同声明(3月23日付)が発表された。経済協力を中心に内容は広範に及ぶが,主なものは以下の通り。
 *Joint Press Statement between the People’s Republic of China and Nepal, Beijing,March 23, 2016

共同声明の概要
・平和5原則の確認
・中国側:ネパール憲法公布を歴史的前進として歓迎
・ネパール側:「一つの中国」政策支持。「ネパール領土をいかなる反中国活動にも使わせない」
・中国側:ネパール治安関係機関の能力強化支援 
・ネパール側:総領事館を広州開設決定,成都開設予定
・中国側:「一帯一路」推進
・中国側:石油製品の商業ベースでの供給。ネパールに中国石油・ガス基地建設
・アラニコ道路,シャブルベシ-ラスワガディ道路,カトマンズ・リング道路などの改修・改良
・中ネ国際鉄道およびネパール国内鉄道(タスワガディ‐カトマンズ,カトマンズ‐ポカラ‐ルンビニなど)計画の推進
・中ネ自由貿易協定交渉および国境経済ゾーン計画の推進
・30億人民元(2016-2018)の対ネ経済援助
・自家用ソーラー発電装置3万2千セットの対ネ援助
・中ネ送電線架設,アルン‐キマタンカ等の水力発電所建設援助
・中国側:ネパール観光開発支援(観光関係者への中国語教育など)
・中国系銀行支店のネパール国内開設
・中国文化センター等による中ネ文化交流の促進,ネパール人留学生の受け入れ

これらの中には,約束されたものと要望として出されたにすぎないものとが混在しており,どこまで実行可能か,よくわからない。しかし,経済分野を中心に中ネ関係が大きく前進したように見えることは,たしかだ。これをどう評価するか? インドからの見方なども交え,見ていくことにしたい。

160331■ネパール外務省FB3月23日

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/03/31 @ 20:03

カテゴリー: 経済, 外交, 中国

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