イタリアの旅(7):カトリック教会の遍在
イタリアはカトリック教会の地元だけに,教会がいたるところにあり,だれでも入って祈ったり見学したりできる。有名教会でなくても,優れた彫刻や絵画があちこちにある。ときにはパイプオルガンが演奏されていることもあり,これはまさしく天上からの音楽,しばし時のすぎるのを忘れるほどだ。
むろん異教徒にとって,カトリック教会関係の事物には戸惑うことも少なくない。たとえば,ミラノ大聖堂(ドゥオーモ)の「聖バルトロマイ」。皮剥ぎ刑に処せられた身体の,あまりのリアルさにゾォーとする。
またトリノの教会(名称失念)の「悲しみの聖母」。胸に矢が7本も刺さっている。直視に堪えない。
アルプス地方に行くと,山の中腹や山頂に十字架が立てられている。たとえばアオスタのPunta Vallettaz中腹(2300m)には,十字架のイエス像があるが,これまたあまりにもリアル。一帯は広大なスキー場で,冬はスキー,夏にはハイキング,マウンテンバイク(専用コース多数),トレイルランニングなどが盛んにおこなわれている。それらと十字架のイエス,異教徒には違和感を禁じ得ない。
アルプス地方にはまた,小屋根付きの十字架のイエス像があちこちにある。これも,出会うたびにドキッとし緊張する。
一方,村の出入口や山道の脇にある聖母の祠は,日本のお地蔵さんのような感じ。ほほえましく,異教徒にも違和感はあまり感じられない。
そして,墓地。永遠の平和(pax)の地であり,立派な墓が多く,どこも花いっぱい,美しく維持管理されていた。生活はなお信仰に根付いているようだ。
谷川昌幸(C)
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