ネパール評論

ネパール研究会

ヤダブ大統領,議会招集

ヤダブ大統領が12月28日,MK・ネパール暫定首相の助言に基づき,議会を招集した。1月9日開会。切迫した課題は2つ。

一つは,首相選出。17回目の首相選挙が12月中旬に予定されていたが,理由不明のまま先送りされてきた。時間が正統性を生み出すとすれば,MK・ネパール首相の統治もかなりの正統性を得ているはずだが,ネパールには保守主義はなく,こうした大人の知恵を述べる人は全く見当たらない。何が何でも民主的選挙で首相を選出するのだそうだ。というわけで,新春には17回目の首相選挙がにぎにぎしく挙行されるであろう。

もう一つの課題は,UNMIN撤退問題。マオイスト=UNMIN共闘が成立すれば,UNMINはめでたく派遣延長となる。もしインドが「ノー」に固執すれば,UNMINは追い出され,マオイスト人民解放軍(PLA)は,政府(=NC=UML=軍=インド)の監視下にはいることになるが,まさかPLAがおとなしく敵の軍門にくだるとは思えない。マオイストが分裂でもしなければ,人民蜂起,人民戦争再開となる可能性が大きくなる。

1月議会の2課題は,いずれも難問だ。絶望的とならざるをえない。ネパール流「いい加減」で何とか乗り切ってもらいたいものだ。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2010/12/28 @ 23:49

カテゴリー: マオイスト, 議会, 政治

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