生存の技法:D.R. Dahal, Art of Survival
印―ネ―中。このネパールの地政学的位置は、単純にして複雑、複雑にして単純だ。それは、ネパールの「存在の技法」の基礎である。たとえば――
Dev Raj Dahal, “The Art of Survival: Policy Choices for Nepal,” Dhaulagiri Journal of Sociology and Anthropology, vol.5, 2011, pp.31-48.
「中国は、社会的・政治的・経済的な多様な関係を通して、インドがネパールの安全保障や経済活動の大枠を変えてしまうことを恐れている。同様にインドも、ネパールの有力者たちの動きを警戒している。たとえば、中国からの石油類の輸入、中国鉄道の北京―カサ―カトマンズ延伸、中国によるUCPN-M支持の示唆など。」(p.36)
印・ネ・中の三角関係は、長年、この地域の地政学的基本構造となってきたが、中国の台頭とともに、その従来のあり方に揺らぎが見え始めた。
中国は、対ネ外交においては、極めて慎重であるが、その経済進出は目を見張るものがあり、あちこちで軋轢が生じ、それがネパール政治の混乱をいっそう深め、複雑なものとしている。
谷川昌幸(C)
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