ネパール評論

ネパール研究会

ゴビンダ・KC医師のハンスト闘争(4)

3.CIAAの反論
ゴビンダ・KC医師の諸要求のうち,今回特に注目されているのが,CIAA(職権乱用調査委員会)カルキ委員長の弾劾要求である。CIAAは,このところ非公然たる第二権力(第二政府)のような存在になっており,ヒマール・メディア関係先捜査など,あちこちで強権的とも見えるような権力行使を行っている。ゴビンダ医師は,そのCIAAと真っ向から対決し,カルキ委員長らの弾劾を議会ないし政府に対し要求しているのである。

これに対し,CIAAは6月26日,声明を出し,ゴビンダ医師の要求を全面否定した(*1,2)。ゴビンダ医師は,「医療マフィア,犯罪・腐敗組織」と親密だ。「KC医師は,腐敗の罠にはまっている。本委員会は,彼には,そのような悪人仲間を離れ,ひもつき闘争を止めるよう忠告したい。」

「KC医師による本委員会メンバー糾弾は,彼のこれらの疑わしい活動と関連づけて見られるべきだ,と本委員会は考えている。」

カトマンズ大学医学部入試については,「CIAAが,関係者らから多くの苦情申し立てを受けたので,医科委員会(Medical Council)に指示し,入試調査を行わせた」のが事実だ。

「皆さんには,このような空想的で何の根拠もない糾弾の幻想に欺かれないよう,本委員会はお願いしたい。」

声明は,このように述べ,さらにゴビンダ医師は「偏狭で頭が混乱しており不健康な精神状態」にあると述べ,精神科治療の必要性さえ示唆した。これは憲法設置機関の声明とは信じがたいほど,感情的な,どぎつい内容である。

141215b160905■CIAA本部棟/カルキ委員長

*1 “CIAA condemns Dr KC’s demand seeking impeachment motion against Karki; Suggests mental health treatment to Dr KC,” Kathmandu Post, Jun 26, 2016
*2 “CIAA hits back at Dr KC, asks govt for his “treatment”,” The Himalayan Times, June 26, 2016

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/09/05 @ 07:50

カテゴリー: 社会, 教育

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