ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ゴビンダ医師との合意ほご,プラチャンダ首相

プラチャンダ内閣が,ゴビンダ・KC医師に約束した医学教育改革の約束を,合意署名3日後に反故にした。政治家の約束,鴻毛の如し。

プラチャンダ内閣は,医療制度・医学教育改革を要求してハンスト(10回目)を続けていたゴビンダ医師に対し,要求に沿う改革への努力を約束し,ハンストを止めさせた。その合意の中でも最も重要な約束の一つが,「『国家医科教育法』成立まで,医科カレッジのTU提携(affiliation)を認可しない」というもの。(10回目ハンスト11月13日~12月4日。参照:ゴビンダ医師,ハンスト終了

ところが,報道によれば,プラチャンダ首相はゴビンダ医師との協議を進めながら,他方では教育省を通して「ネパール医学委員会(NMC)」に圧力をかけ,私立病院・医科カレッジのB&C Medical College Teaching Hospital and Research Centreのために,TU提携を認めさせようとしてきた。提携認定手続きは,ゴビンダ医師ハンスト中の11月24日頃から進められ,月末までにはNMCが予備調査をほぼ終了,12月2日にはB&CのMBBS(医科学士)教育適格性を認める報告書を教育省に提出した。もし教育省がこの報告書に基づきTU提携を認定すれば,B&Cはトリブバン大学医学部やカトマンズ大学との提携が可能となり,MBBS課程を開設できる。TU提携認定は,私立医科カレッジにとって決定的に重要な資格要件なのである。

B&Cは,2015年3月,マオイスト幹部の一人を中心とする私財25億ルピーの出資により,ジャパ郡ビルタモドに開設された。メチ・ゾーン最大の病院であり,700ベッド。開院式にはプラチャンダ議長が出席し,主賓として除幕をとり行った。他党有力者も出席していたが,設立の経緯を見れば,マオイスト系とみてよいだろう。そのB&CのTU提携認定を,マオイスト議長たるプラチャンダ首相が政治的圧力をかけ強引に押し進めようとしている。

ゴビンダ医師は,当然ながら,このB&CのTU提携認定に真っ向から反対し,ハンスト再開を考えている。もし再開されれば,11回目のハンストとなる。

161209a161209b(B&Cホームページより)

*1 “Govt flouts deal it reached with Dr KC,” Kathmandu Post, Dec 8, 2016
*2 “Govt breaches deal with Dr KC, allows affiliation to B & C College,” Republica, December 7, 2016
*3 “Govt forces NMC to issue letter to MoE,” Republica, December 7, 2016
*4 “700-bed hospital opens in Birtamod,” Kathmandu Post, Mar 2, 2015

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/12/11 @ 10:24