ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

「中西部大学」学長にTU教授指名

カルナリ州の「中西部大学(Mid-Western University[MWU] )の学長(Vice Chancellor[VC])に,トリブバン大学動物学部(キルティプル)のナンダ・B・シン教授が,3月1日閣議決定に基づき,オリ首相により指名された。ネパールの国立大学では,総長(Chancellor)は首相なので,事実上,学長(VC)がその大学の最高責任者となる。重責だ。

■MWUフェイスブック

ネパールは,マオイスト紛争(1996-2006)終結後,長年続いてきた王制を廃止し連邦共和制へと移行した。それに伴い,中央に集中していた諸権限が,新たに成立した州政府に可能な限り移譲されることになった。中央集権から地方分権への転換である。

教育も例外ではない。今回新学長が指名された中西部大学(MWU)も,それまでトリブバン大学傘下にあったカルナリ地域の中等・高等諸学校を再編統合し,2010年6月に設立された新設大学である。現在,学生は約3千人。学部・大学院も多く,この大学を核に,相対的に開発の遅れているカルナリ州の発展を自ら図ろうとする意欲的な試みと見てよいであろう。

とはいえMWUも,ネパールの組織の宿痾ともいうべき腐敗や混乱に当初から苦しめられてきた。たとえば,教職員についてはコネ人事や金銭不正がしばしば問題にされてきたし,学費については値上反対の学生諸団体が大学封鎖をした。前途多難と見ざるをえない。

そのMWUの学長に,このたびナンダ・B・シン教授が指名された。指名後,彼は「中西部大学を自立させ教育レベルを国際的なものに引き上げることにより,カルナリ州の在り方を変えていきたい」と,その抱負を語った(Collegenp, 3 Mar)。東京大学やTUでの豊富な教育・研究経験を踏まえ,MWUの所期の目的の実現に向け尽力されることを願っている。

ナンダ・B・シン教授著作
(1)「遊牧民ラウテの生活―ネパール最後の狩猟・採取民族」(『ネパールを知るための60章』2000)

(2) Endangered Raute Tribe: Ethnobiology and Biodiversity, 1997

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2020/03/07 @ 16:33

カテゴリー: ネパール, 教育

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