ネパール評論

ネパール研究会

第11次改憲案撤回と人民解放軍解体開始

マオイスト,NC,UMLの主要3党とUDMFは,11月18日,第11次改憲案を撤回し,「連邦制特別委員会」を設置することに合意した。特別委員会は,2ヶ月以内に,連邦区画案を提出する。また,邦区画は,アイデンティティを基準とする。

これは,バイダ副議長らのマオイスト反主流派の勝利のように見えるが,一方,今日(19日土曜日)から人民解放軍の解体作業――国軍統合組と社会復帰組への仕分け――が開始されることを考え合わせると,一種の取引とも見える。

連邦区画なんか実際にはどうでもよく,問題は人民解放軍の解体。飴玉の改憲案撤回でメンツを立ててやり,その代わり人民解放軍解体に着手する。

しかも,特別委員会答申を2ヶ月先としたことにより,11月末で任期満了となる制憲議会の任期をまたまた3ヶ月延長する大義名分も得られる。

1石3鳥。ネパール政治は,なかなか奥が深い。というか,法の支配による予見可能性が,極端に低い。やはり,ポストモダンではなく,モダンが先ではないかな? 

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/11/19 @ 11:04