ネパール評論

ネパール研究会

没収財産を返却せよ,プラチャンダ議長

「7項目合意」に基づく没収財産の返却作業が始まった。これは人民解放軍解体以上の難問。うまくいくか? あるいは,そもそも,こんな反革命的なことをマオイストがやってよいのか?

各紙報道によると,11月20日,プラチャンダ議長は,NCのシタウラ書記長,UMLのゴータム副議長とともに,バルデヤ郡に入った。ここは,没収財産が最多の郡だそうだ。没収農地は1190ビガー(809ha),返却要求している地主は242人(家族)。土地配分を受けた農民数は不明。(地主の代わりに地域マオイストが地代=税金を取っているのかもしれない。)

没収財産のうち,党機関や他の関係集団が占有使用している建物等については,返却は比較的容易であろう。難しいのは,やはり農民に配分され,使用されている農地の返却。「農地解放」を10年後に取り消し,元地主に返却させるようなものだから。

土地を返却した農民には補償金を払うというが,金額も,あるいはその約束が守られるかさえも,はっきりしない。バイダ副議長らマオイスト反主流派は,もちろん断固反対。

しかし,そこはプラチャンダ議長,配分土地の返却は強行しない,と微妙な含みをもたせている。また,補償金など,すぐお隣のルンビニ開発の巨大利権からすれば,雀の涙。偉大なる世界的政治家,プラチャンダ議長からすれば,ほんのささいな些事にすぎないのだろう。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/11/21 @ 11:02

カテゴリー: マオイスト, 社会, 経済

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