ネパール評論

ネパール研究会

搾取・虐待される出稼ぎ労働者

1.アムネスティ報告
アムネスティが出稼ぎネパール人の悲惨を告発している。
 ■守られない約束:ネパールの移住労働者の強制労働(朝日デジタル)

2010年には,30万人弱が東南アジアや湾岸諸国に送られ,建設,工場,家事などで働いている。ネパールGNPの20%が彼らの送金。

ネパール人労働者は,派遣業者に徹底的に搾取され,現地では「家畜よりも安上がり」と言って重宝されている。たとえば,借金して派遣会社に4900ドル払い,キプロスのパン屋で月給680ドルの約束が,実際には200ドル。あるいは,19~21時間労働だったり,家族外出時には台所に閉じこめられたりといった事例も報告されている。金が無く,派遣会社などから借りると,利子60%だそうだ。これでは債務奴隷になるのは当たり前。ネパールの特権階級は,こんな海外送金の上前をはね,贅沢三昧をしているのだ。

2.ネパール人店主,大阪で虐殺
日本では,ネパール人店主が,日本人4人に一方的に殴る,蹴るの暴行をうけ,虐殺された。店主には何の落ち度もない。この事件はネパールでも広く報道され,しかも監視カメラが捉えた暴行シーンのビデオがネットで公開されている。きっとネパールでも多くの人が見ているであろう。
 ■Nepali killed in Osaka(MBS)
 ■ネパール人殺害(ANN)

ここで考えるべきは,日本へのネパール研修生受入である。このままでは,湾岸諸国などでの扱いと同じになり,日本でも搾取され虐待されることになる。性的搾取も当然あるだろう。しかも,不況で日本人(特に若者)の失業が増えれば,もともと日本人は世界でも最も人種偏見,人種差別意識が強い国民の一つなので,ネパール出稼ぎ労働者が攻撃の標的とされかねない。

ネパール労働者を受け入れるのであれば,日本労働者と同等以上の法的権利の保障をすべきである。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/02/04 @ 14:30

カテゴリー: 経済, 人権

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