ネパール評論

ネパール研究会

恵比寿様とマリア様:神ノ島

長崎・女神大橋を渡って「神ノ島教会」に行ってきた。教会は,長崎湾の入口の岬の中腹,入出港の船を迎え・見送る絶好の位置にある。

教会には,カトリック信仰復興に尽力した西忠吉・政吉の石棺が安置され,そこからは対岸に軍需産業の雄,三菱の巨大な香焼工場が望まれる。

教会の下方の海岸には,見方によれば,すさまじいものがある。そこには立岩が一つ,長崎港を守る門柱のように立っている。その小さな立岩の上に,何と恵比寿様とマリア様が鎮座されているのだ。

質素な祠から村を見守っている小さな恵比寿様と,それに尻を向け入出港の船を祝福している巨大な純白の聖母(女神)様。

この立岩の上には,おそらく恵比寿様が鎮座されており,そこに後からマリア様が進出(侵出?)され,2神同居(雑居?)となったのだろう。平和共存されてきたのか,それとも反目されてきたのか,私には分からない。

何の予備知識もなく,この光景を見ると,正直,ギョッとする。港の入口の絶好の神域をめぐって恵比寿様とマリア様が場所取り合戦をしているようにしか見えないからだ。

長崎には,よそ者にとっては,興味尽きない不思議なものが無数にある。


■質素な祠の恵比寿様(左上),純白の巨大聖母像(右上),三菱香焼工場(右端)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/04/05 @ 08:14

カテゴリー: 宗教, 文化

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