ネパール評論

ネパール研究会

大統領の次は軍総監、訪印

1.ヤダブ大統領帰国
ヤダブ大統領が12月29日帰国した。あちこち駆け回ったが、どうやら適当にあしらわれ、支援確約は得られなかったらしい。

とにかく、大統領は軽~い。12月29は、大統領が定めた諸党合意選挙決定の期限だったが、完全無視。仕方なく、大統領は次の期限を1月4日まで延期した。これで7回目だ。つまり、どの政党も大統領のいうことなど、屁の突っ張りにもならないと、バカにしているのだ。

したたかなのは、やはりわれらがプラチャンダ議長。制憲議会選挙ではなく、解散議会の復活を唱え、自らが首相に返り咲く目論見だ。議会復活は、解散議会議員にとって、タナボタ、こんなおいしい話はない。とくに最大勢力だったマオイストにとっては。やはり、プラチャンダ議長はセンスがよい。バブラム首相も、結局は、コマとして利用されているのではないか。

2.ラナ軍総監の訪印
大統領の次の訪印は、ラナ軍総監。1月6~16日の予定。表向きは、「名誉将軍」称号を受けるためだが、印のご意向伺いが主目的であることは間違いない。

国軍は、マオイスト人民解放軍が完全解体されたいま、名実ともに最強組織となった。選挙実施となれば、もはや外国は愛想を尽かしているので、次は国軍が治安維持に当たらざるをえないだろう。

印とすれば、政党政治が安定せず、軍を介してネパールを自在にコントロールできる現状は、むしろ願ってもない状態ではないだろうか。

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 ■ラナ軍総監(軍HP)

【参照】Yubaraj Ghimire, “Deli’s message is clear,” The Indian Express, 2013-01-01

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/01/02 @ 22:06

カテゴリー: インド, 外交

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