ネパール評論

ネパール研究会

ラマ大佐裁判と国家主権のお値段

英国でのクマール・ラマ大佐逮捕(1月5日)について,ネパール政府は,国家主権侵犯,内政干渉と猛反発し,即時釈放を要求する一方,ネパール国家として全面的に大佐の弁護活動を支援すると発表している。
  *ラマ大佐逮捕で主権喪失

ラマ大佐は,現在,英国の警察留置所に勾留されており,裁判は6月5日からとのこと。すでに,かなりの長期戦が見込まれている。当然,経費もかかる。

ネパール政府は,弁護を依頼したキングスリ・ナプリ法律事務所に,1万ポンド(146万円)を支払った。法律事務所は,弁護料として,総額43万ポンド(5721万ルピー,6278万円)を請求している。著名な弁護士(M. Caplan氏など)だと,そのくらいになるらしい。

43万ポンドは大金であり,ネパール政府は困惑している。5万ポンドまでは支出を決めたが,これではまったくたりない。どうするか? そこで早くも,政府が出すべきだ,いや金持ちの国軍が出すべきだ,といった内輪もめが始まっている。43万ポンドで決着がつくか? 他に,同様の容疑で次々と逮捕され始めたら,どうするか?

ネパールの国家主権は,裁判管轄権もさることながら,もっと下世話なカネの面からも,蚕食されていきそうな雲行きである。

*ekantipur, Feb 7.

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/02/07 @ 11:37