ネパール評論

ネパール研究会

スーダン銃弾供与問題と露払い朝日新聞

1.韓国軍への武器(銃弾)供与
安倍政権の軍国主義化は向かうところ敵なし,特定秘密保護法を電光石火で成立させ,今度は,12月4日発足の国家安全保障会議(NSC)において,12月23日,スーダン派遣陸自銃弾1万発の韓国軍への供与を決定,ただちに閣議決定し,同日,引き渡した。この銃弾引き渡しについて,読売新聞は,こう報道している

—(以下引用)——————
井川1佐などによると、日本時間の22日未明、ジョングレイ州のボルで活動する韓国隊の隊長から、「ボルの活動拠点内には1万5000人の避難民がいる。敵については北から増援も確認。1万発の小銃弾を貸してほしい」と電話で要請があった。日本側が小銃弾を引き渡したところ、23日夜、韓国隊から「ボルの宿営地と避難民を守るために使う。本当にありがとうございました」と連絡があったという。(読売新聞12月25日
—(以上引用)——————

この武器(銃弾)供与は,明白な違憲違法。まさか引き渡し後の追認閣議決定ではあるまいが,歴史に照らして,その疑いですら払拭しきれないほど危険な軍事的冒険である。

そもそも軍隊(自衛隊)が海外派兵(派遣)されれば,このような事態は当然予想されること。状況がさらに切迫すれば,今回と同じ「緊急の必要性・人道性」(官房長官談話12月23日)を理由に,自衛隊が直接戦闘に参加することすら十分あり得る。

2.朝日の海外派兵煽動
ここで批判されるべきは,朝日新聞。先に指摘したように(下記参照),そのような事態が十分にありうることをよく分かった上で,自衛隊スーダン派遣を煽り立てたのだ。(もし想定外と弁解するなら,ジャーナリズム完全失格)

朝日新聞は,変節後の社是「地球貢献国家」により,日本の軍国主義化の露払いをしてきた。朝日の「地球貢献国家」は,本質的に,安倍首相の「積極的平和主義」と同じものである。朝日が特定秘密保護法に反対したのも今回の弾薬供与を批判しているのも形だけ,実際には,押したり引いたりしながら,地球貢献国家=積極的平和主義国家実現のための露払いをしているににすぎない。

朝日は,自社の歴史から何も学んでいないといわざるをえない。

朝日社説の陸自スーダン派兵論(再掲)
良心的兵役拒否国家から地球貢献国家へ:朝日の変節
自衛艦をソマリア沖に派遣せよ,朝日社説
自称「右翼軍国主義者」の「積極的平和主義」:安倍首相の国連演説

谷川昌幸(C)