ネパール評論

ネパール研究会

京都の米軍基地(33):ヤラセ環境影響調査と市長の無責任

防衛省が2月25日,Xバンドレーダー配備のための環境影響調査を開始した。電波(電磁波),騒音,排水の3項目。

この調査は,いうまでもなくヤラセ。そもそもレーダーの出力が「特別防衛秘密」ないし「特定秘密」だから,防衛省調査員らには,それはおそらく知らされてはいないであろう。

肝心要のレーダー出力も分からないのに,どうやって環境への影響を調査するのか? あるいは,調査後,調査結果の根拠や妥当性を問われたとき,どのように説明するのか? 全くもってナンセンス。バカらしくて,小学生ですら失笑するに違いない。

ところが,いったん「国益」のための「特別防衛秘密」や「特定秘密」が大前提とされると,そのような根拠なしの荒唐無稽な説明が,堂々とまかり通ることになってしまう。

調査など形だけでよい。数値はサイコロの出目でも記入しておけば十分。住民はすでに「国益」呪文,「特定秘密」呪文の暗示にかけてしまった。何を言っても疑いはしない。

この状態での環境影響調査など,もはやヤラセ。完全な”under-control”だ。もはや,何を言っても,地元住民は怒りはしない。たとえば,京丹後市の中山市長は,京都新聞の取材に――記事が正確だとするなら――こう答えている。

「住民の安全安心が守れない場合は,直ちに停波を求める。どうしても安全性の回復がなければ撤退を求めることもありえる」(京都新聞2月26日)

誰が見ても,山陰の小さな地方自治体の市長に,そんなことをする力はない。相手は世界最強の米国。国際法違反の戦争だろうが暗殺だろうが,国益のため必要と判断したら,平然と冷酷に実行してしまう。その冷徹アメリカに,アジア辺境の小さな自治体の市長が,「停波を求める」,「撤退を求める」というのだ!!

これは――記事が正確だとするなら――何の根拠もない無責任な空手形。リアリティのかけらもない。ウソだと思うなら,沖縄を見てみよ。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/03/10 @ 22:35