ネパール評論

ネパール研究会

京都の米軍基地(36):軍民混在の恐怖

防衛省は4月13日,袖志での説明会において,米軍基地の5月着工,Xバンドレーダーの12月末運用開始の予定を一方的に言い渡した(京都新聞4月14日)。

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 ■第1期工事完成後/第2期工事完成後

地元住民にとって,最大の脅威は,北朝鮮でも中国でもなく,米国軍人・軍属だ。むろん,軍人や軍属個々人が悪いのではない。彼らも,地元住民と同様,本来,よき息子であり,よき父や夫であり,そしてよき市民だ。しかしながら,彼らは米国益のため極東の島国の,英語のまったく通じない辺境地に派兵され,連日,最前線の緊張の中に置かれる。個人として善良で優しい人であればあるほど,この緊張に耐えられず,逸脱行動に追いやられやすい。彼らも同情すべき犠牲者なのだ。

米国の下請け,日本国防衛省の説明によれば,5月から米軍人・軍属が京丹後に派兵され,峰山町内のホテルに駐留する。たぶん,あのホテルであろう。そうなれば,そのホテル周辺はむろんのこと,市内――といっても田舎の小さな町にすぎないが――の商店や飲食店や遊技場でも,丹後の人々は前線派兵の米軍人・軍属と日常的に接触することになる。

繰り返すが,米軍人・軍属は,地元の人々と同様,本来は正直で善良な人々だ。しかし,かつて戦争が米国人を「鬼畜」(大日本帝国プロパガンダ)としたように,僻地前線派兵の緊張が,彼らに異常なストレスを与え,彼らに異常行動をとらせる恐れは多分にある。前線派兵の軍とは,そうしたものだ。

それなのに,京丹後市議会は,あまりに脳天気。補助事業の皮算用で色めき立っている。

大村副市長:「地域振興で再編か、民生かということですが、御存じのように[基地]再編交付金は100%、民生安定事業は5割、平均5割ということですので、丹後町ですから、5割の補助金の裏には過疎債が使えるということですので、非常に有利な財源にはなると思います。ですから、地域として考えるならば、宇川地域、網野町地域に広げるかどうか、よくわかりませんが、民生安定の事業を中心に使われていくほうがいいのかなと。それから、民生安定にいく、なじまないような部分については再編交付金を使っていくと。再編交付金はやはり市全体での利用と言いますか、使用も考えるべきだというふうに思っています。」(基地対策調査特別委員会,2014年2月5日)

丹後市議会は,こんな目先の小利分捕り合戦をしていてよいのか? 地域が米軍最前線基地にされ,最新鋭レーダーを持ち込まれれば,当然,それを守るためのハードとソフトが必要になる。レーダー基地防衛のためのミサイル等の持込,工作船や破壊工作に備えた防衛部隊の強化,そして地域の防諜・治安強化など。

市議会が国家下請け機関なら,それも致し方ない。が,もしそうでないなら,いますべきは地域住民の平和と安全のため,Xバンドレーダー基地受入を根本から再検討し,その撤回を申し入れることではないのか。

[参照]
京丹後市エックスバンドレーダー配備に関する説明会―市長挨拶2013-08-07
京丹後市エックスバンドレーダー配備に関する説明会―経緯2013-08-07
京丹後市エックスバンドレーダー配備に関する説明会-質疑2013-08-07
京丹後米軍基地地元説明会(宇川)防衛省(桝賀氏)2014.04.16
京丹後米軍基地地元説明会(宇川)質問&意見2014.04.16 

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/04/15 @ 14:30