飛べない「新舟60」
ネパール航空(NAC)に納入された中国製「新舟60(MA60)」が,飛べないまま,空港に置かれているという(Himalayan, 14 May)。
理由はいくつかある。第一に,準備不足。飛行に必要な有資格パイロットや整備士の不在,必要な機器・設備の不備など。第二に,NACによる50%の料金値下げを阻止しようとする他社の様々なイヤガラセによる手続きの遅れ。
いずれも,いかにもネパールらしい事情だが,安全の観点からは,看過できない問題だ。NACが新造機を導入するのは28年ぶり。今年と来年に中国から「MA60」を2機(1機無償),「運(Y12)」を4機(2機無償)を調達する。さらに来年には,エアバス320を2機購入することになっており,計8機も増える。
これではパイロット,整備士,関連設備など,安全運行に不可欠なものをそろえるのは容易ではない。EUが,ネパールを,安全運行上問題のある国の「ブラックリスト」に載せているのもやむを得ない。
ちなみにAirline Ratingsの安全評価は以下の通り(☆7=最高評価,5月14日現在)
・Nepal Airlines ☆1
・Agni Air ☆1
・Yeti Airlines ☆2
・Kam Air(アフガン) ☆1
・Air Koryo(北朝鮮) ☆5.5
・Air India ☆6
・中国南方航空 ☆7
・Dragonair ☆7
・ANA / JAL ☆7
この安全評価は,目安の一つにすぎないのだろうが,それでも,昨今の報道等とも考え合わせると,ネパールで飛行機に乗るにはかなりの勇気がいる,と覚悟せざるをえないだろう。
谷川昌幸(C)
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