ネパール評論

ネパール研究会

外国人に席巻される地方観光地

気晴らしに白川郷と立山に行ってきた。北陸道に加え東海北陸道もでき,金沢からレンタカーで白川郷まで1時間少々,白川郷から立山までも同じくらい。超便利! どこも初夏の花々が咲き乱れ,美しかったが,驚いたのは外国人観光客の多さ。

白川郷では,1/2~2/3が外国人。団体や少人数のグループで,次々にやってくる。最も多いのは中国や韓国,次にタイなどの東南アジア,そして欧米系もちらほら。

白川郷では温泉宿に泊まったが,日本人客はごく少数,小さくなって温泉に入り,ご飯を食べた。立山も同じような状況。イヤハヤ,世界は小さくなり,日本の奥地までも「国際化」した。

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 ■白川郷萩町集落/同左・中国人観光客

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 ■相倉集落/同左・農作業

このような地方観光地では,もはや「嫌韓・嫌中」などとバカなことをいっていては生活はできない。アジア諸国からの観光客は,豪快に飲み食いし,気前よく土産物を買ってくれる上得意様。

しかし,軋轢がないかというと,うそになる。生活習慣が異なるので,白川郷でも立山でも,日本人からすれば腹立たしいことが少なくなかった。これは金沢市内の重文茶屋でのことだが,スペイン語圏からの陽気な団体客が,禁止も制止も無視し大はしゃぎ。彼らからすれば,薄汚れた古くさい襖や屏風など,破れようが穴が開こうがどうということはないのだろう。

グローバル化により異文化との接触が日常化すれば,こうした軋轢も日常化するが,これは宿命,もはや逃れられない。とくに中国や韓国は隣国であり,様々な対立やもめ事があるのは当然だ。これからは,それを前提に,紛争をコントロールし共存を図る大人の対応が求められる。

また,そもそも厳密には「中国人」や「韓国人」は存在しない。実在するのは,中国や韓国に住む無限に多様な個々の人々だ。そのような人々と,多重多層の多くの関係をつくり出していく。「美しい国」のアナクロ首相は嫌がるであろうが,国際社会ではむろんのこと,たとえ日本国内であっても,異文化との平和共存は必然であり,そこにしか日本の未来はないであろう。

140530g ■立山

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/05/30 @ 11:52