ネパール評論

ネパール研究会

京都の米軍基地(48):低調な市議会審議と「安心安全」の陥穽

関西初の米軍基地の建設が始まった。歴史的大事件なのに,地元京丹後市の議会審議は,いたって低調。しかも,反対派も含め,議会全体が「安心安全」に取り込まれ,足をすくわれつつある。

「安心安全」は,例外状況の「危機」を中心に据える議論であり,安易に「安心安全」を要求すればするほど,権力の思うつぼ,監視・管理は強化され,「1984年の丹後」が現実のものとなる。増派警官は誰を監視するのか?(下記京都新聞記事参照)

そもそも,経ヶ岬米軍基地にやってくるのは,米日インテリジェンス(情報,諜報)のプロ。そんなものを相手に,善意丸出しで無警戒に「安心安全」を要求すれば,米軍人・軍属ではなく住民自身が,日常生活ばかりか,頭の中まで丸裸にされ,四六時中監視されるのが落ちだ。

相手は,非日常=危機のプロ。日常生活の常識が通用するはずがない。この点については,後日,改めて考えてみたい。

平成26年定例会(6月12日)【47分:クリック再生】
 田中邦生議員(日本共産党)
  米軍レーダー基地配備計画は撤廃せよ
  (1)住民説明会で「安心安全」の確保ができたとは言えない
  (2)米国防省の予算書にある環境影響評価について
  (3)工事計画の詳細を明らかにすべき
  (4)京都府の申し入れ(5/20)について

議員全員協議会(6月16日)【60分:クリック再生】
 3 協議事項
 (1)米軍基地(経ヶ岬通信所)設置に伴う再編交付金の考え方等について

平成26年6月定例会(6月13日)【6分:クリック再生】
 金田琮仁議員(清風クラブ)
  3 市民生活を活かす、環境の整備について
 (1)重大な犯罪が地方でも発生している。峰山駅周辺では、夜間は特に物騒だ。防犯、治安対策として、防犯カメラを設置しては

[補足」議会での 防犯カメラ設置要請は,米軍基地問題とは直接関係はない。しかし,基地設置に伴う「安心安全」強化大合唱の中での防犯カメラ(監視カメラ)設置要請は,治安・公安の観点からは,当然別の意味をも持ちうる,と考えるべきであろう。

【参照】「潮風が香る。山手の棚田が美しい。京丹後市の袖志地区。丹後三文殊の一つ、九品寺を参拝していると、ほどなく警察車両が近づいてきた。「観光ですか」と問われる。九品寺の隣は、米軍基地の建設予定地。5月下旬から工事が始まり、府警が警護を強化しているという。のどかな初夏の集落が揺れる。・・・・」(京都新聞2014年6月25日

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/06/28 @ 15:31