ネパール不動産バブル,日本人もビックリ!(4)
4.不動産価格高騰の危険性
ネパールの不動産価格の高騰は,様々な問題を生み出している。重複もあるが,主にネパリタイムズ記事に依拠し,以下に列挙する。
(1)不動産ギャンブル
不動産価格高騰は,不動産投機を拡大再生産する。これは「不動産ギャンブル」であり,非生産的。
ネパールのこの20年間の経済成長率は年4%だが,その多くが不動産によるもの。他の産業は見るべきほどの成長を示していない。庶民の金も不動産投資に回され,不動産価格は高騰,彼らは自分自身の住む家さえ買えなくなっている。
(2)汚職,腐敗の蔓延
政治家,官僚,裁判官,銀行員らは,不動産取引につき利益相反(公益と私益の対立)の関係にあるのに,そこに関与することにより巨利をえている。不動産価格高騰が,政官財の有力者の間に汚職・腐敗を蔓延させている。
(3)経済の不健全化
不動産所有者や不動産取引関係者は,短期間に億万長者となり,豪華SUVなど,ぜいたく品の輸入に拍車をかけた。国内産業は成長せず,貧富格差は拡大,外貨準備も減少してきた。
「この悪循環を止め,不動産投機ではなく生産部門へ投資するようにしなければ,ネパールの経済バブルは遅かれ早かれ破裂するだろう。」(Dill Raj Khanal,経済学者)
■新築高層マンション林立,手前はバグマティ川(パタン,2012/12/10撮影)
谷川昌幸(c)
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