ネパール評論

ネパール研究会

生成AI問答(15): エッセイ「ネパールのビール」は,本当に,泣かせるエッセイですか?

「ネパールのビール」は,中学校の課題図書として指定されるなど,日本ではよく知られたエッセイだ。このエッセイについて,本当に「泣かせる作品」なのかどうか,生成AIに尋ねてみた。参照:紹介:「ネパールのビール」

Bing回答は,アマゾン「カスタマーレビュー」の安直な要約。自分では読んでいないらしい。

Bard回答も,自分では読んでいないようだが,回答それ自体は長文で,しかも3つ以上もある。以下では,最初の3回答だけ紹介。

Bard回答①は,「ネパールのビール」は吉本隆明の1991年発表エッセイと断定。「隆明の独特な文体」とネパール人の「生き様を描いた文章」が読者を泣かせた,とのこと。あれあれ,本当かなぁ? 隆明にこんなエッセイがあったかしら?

Bard回答②では,「ネパールのビール」の著者は小川一水。この作品は,ネパールでの著者自身のビール作りの感動的体験を語った泣けるエッセイだと,太鼓判を押している。自信満々だけど,本当かなぁ?

Bard回答③は,「ネパールのビール」の書誌には全く触れず,泣かせるかどうかは個人的感情なので自分で読んでください,と助言。全く答えになっていない。

以上が最初に表示される3つのBard回答。いやはや,スゴイ! 人間なら,小学生でも,こんな相矛盾することを平気で,自信満々,しゃべり散らしたりはしないだろう。AIは,ウソでも相矛盾したことでも,まことしやかに,理路整然とした堂々たる文章で説明する。すごい,いやはやスゴイ! 人間には到底,太刀打ちできない。

ChatGPTは,英語版なので,どうやら「ネパールのビール」は読んでいないらしい。が,読んでいなくとも,「エッセイ」「泣かせる」といったキーワードから内容を推測したらしく,「自分で読んで」と,懇切丁寧に助言してくれる。やる気のない学校の先生よりも,はるかに頼りになる。

今回の問答では,やや意地悪な質問ということもあってか,文章生成AIの弱点と,それが見抜けなかった場合の計り知れない危険性が,図らずも戯画的に露呈してしまった。AIにとって,「事実」か否か,「真実」か否か,は全くの関心外。質問文の中から選択可能なキーワードだけを選択し,蓄積された膨大なデータベースと照合,論理的に最も蓋然性の高い組合せを作成し,文法的にも誤りのない正確な文章に仕上げて,回答する。

これに対し,生成AI使用者は,そもそも知らないことを調べるために,AIを使用する。そのような質問者に対し,生成AIは,関係ありそうな情報を集め,論理的に組み立て,自然な文章に仕立てて,即座に回答してくれる。それゆえ,よほど用心していなければ,質問者がAI回答をそのまま受け容れることになるのは当然といわざるをえない。

生成AIは,ウソでも真実であるかのごとく,明快かつ論理的に回答する。これは手強い。恐ろしい。これから先,いったい,どうなるのだろう・・・・

*****<以下,生成AI回答>*****
Bingの回答
「ネパールのビール」は、泣けるエッセイとして有名です。このエッセイ集の標題になっている「ネパールのビール」は、何度読んでも泣けると言われています1。吉田直哉さんが書いたこのエッセイは、ネパールで出会った少年との出来事を描いたもので、その少年の純粋さや誠実さに感動する人が多いようです。1: Amazon.co.jp

Bardの回答
エッセイ「ネパールのビール」は、作家の吉本隆明が1991年に発表したエッセイです。ネパールのビールと、そのビールを通して見えたネパールの人々の生活や文化を描いたエッセイです。

このエッセイは、吉本隆明の独特な文体と、ネパールの人々の生き様を描いた文章に多くの読者が共感し、感動を覚えました。そのため、このエッセイを読んだ後に泣いたという人も少なくありません。

ただし、エッセイ「ネパールのビール」が泣けるかどうかは、人それぞれです。このエッセイの文章に共感できるかどうか、ネパールの人々の生き様に感動できるかどうかは、人によって異なります。そのため、必ずしもこのエッセイを読んだ後に泣く人がいるとは限りません。

もし、エッセイ「ネパールのビール」を読みたいと思っているのであれば、一度読んでみることをおすすめします。このエッセイが泣けるかどうかは、読んだ人次第です。

Bardの回答②
エッセイ「ネパールのビール」は、泣かせるエッセイだと思います。このエッセイでは、著者の小川一水さんが、ネパールでのビール作りの体験を語っています。ネパールは、山に囲まれた小さな国で、ビール作りの文化はあまり発達していません。しかし、著者は、ネパールの人々が、少ない物資を使って、一生懸命ビールを作っていることに感動しました。また、ネパールの人々が、ビールを通して、喜びや悲しみを分かち合っていることにも感動しました。このエッセイを読むと、ネパールの人々の優しさや、ビール作りの楽しさを感じることができます。そして、人生の喜びや悲しみについて、考えさせられるエッセイだと思います。

このエッセイを読んだ人の中には、泣いた人もいるようです。それは、このエッセイが、ネパールの人々の優しさや、ビール作りの楽しさ、そして、人生の喜びや悲しみを、とてもよく伝えているからです。もし、あなたが、泣けるエッセイを読みたいと思っているなら、このエッセイを読んでみることをおすすめします。

Bardの回答③
エッセイ「ネパールのビール」は、ネパールの首都カトマンズでビールを飲んだ著者の体験を綴ったエッセイです。著者は、ネパールのビールがとてもおいしく、その味に故郷を思い出したと言います。また、ネパールの人々の温かさにも触れ、ネパールの魅力を語っています。

このエッセイを読んだ人の中には何人か、涙を流した人もいたようです。それは、エッセイが著者の故郷への郷愁やネパールの人々の温かさを描いているからでしょう。

もちろん、このエッセイがすべての人に泣かせるわけではありません。しかし、ネパールのビールが好きな人や、ネパールに興味のある人なら、きっとこのエッセイから何かを感じることができるはずです。

ChatGPTの回答(日英Google翻訳)
AI言語モデルとして、私は個人的な感情や主観的な経験を持つことができないので、エッセイ「ネパールのビール」が誰かを泣かせるかどうかを確認することはできません。 文章に対する感情的な反応は、個人の視点、経験、感受性に基づいて人によって異なります。 エッセイの中には、特定の人に強い感情を呼び起こすものもありますが、同じ効果を持たないものもあります。 このエッセイに興味がある場合は、自分で読んで、それが個人的にどのように響くかを確認することをお勧めします。

*****<以上,生成AI回答>*****

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2023/06/16 @ 15:15

カテゴリー: 言語, 情報, 情報 IT, 教育, 文化

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