ネパール評論

ネパール研究会

プラチャンダ議長,憲法起草「7人委員会」委員長就任

谷川昌幸(C)

制憲議会ネムワン議長の提唱により諸政党が10月11日,高レベル「7人委員会(7 member taskforce)」を組織し,13日プラチャンダ議長を委員長に指名,憲法制定作業の促進を図ることになった。

7人委員会
  委員長: プラチャンダ(UCPN-M議長)
  委 員: カナル(CPN-UML議長)
  委 員: RC. ポウデル(NC議員会長,副党首)
  委 員: NM. ビジュッチェ(労農党党首)
  委 員: ウペンドラ・ヤダブ(MJF党首)
  委 員: プレム・シン(民主党党首,法務大臣)
  委 員: ルクミニ・チョウダリ(制憲議会議員)
                                                                   (Rising Nepal, Oct.11)

憲法草案作成については,分野別専門委員会が昨年,委員会草案を作成し議論してきたが,いまのところ合意にはいたっていない。予定では,分野別専門委員会の報告書提出締切10月17日,「憲法委員会(CC)」による憲法草案作成締切11月17日である。

この草案制定作業が大幅に遅れていたので,「7人委員会」が調査し,報告書を10月24日までに提出することになったのである。

7人委員会は10月19日,争点11のうち9つで合意に達した,と発表した。残るのは,統治制度と選挙制度だという。一見,順調そうだが,実際にはそうでもない。

大統領制か議院内閣制か?
  マオイスト: 大統領が統治する大統領制
  NC,UML: 議院内閣制。大統領は儀礼的元首

これは大問題である。選挙制度については報道なし。また,はしごを外され,メンツをつぶされた憲法委員会(CC)のニランバ・アチャルヤ議長は,政党有力者だけで決めた7人委員会には憲法上の権限はないと批判しているし,マオイストのアミキ・シュレチャン常任委員は,プラチャンダ議長の7人委員会委員長就任のことはまったく聞いていない,と不快感を露わにしている。

制憲過程を支援してきたUNMINの任期は2011年1月15日までであり,ネパール諸政党はいよいよ追い詰められてきた。期限までに,憲法制定と人民解放軍(PLA)問題の解決に目途をつけなければならない。

ネパールの政治家たちは,いつもてんでんばらばら,勝手なことを言い張りまとまりがないように見えるが,イザとなれば,結構うまく話をまとめる。落としどころを心得ている。7人委員会の設置にしても,たしかにボス談合,非民主的ではあるが,マオイストのプラチャンダ議長を委員長に据えたところなど,なかなかやるな,と感心する。

憲法制定やPLA問題解決には,まだまだ難問山積だが,最後の土壇場で,何とか決着をつけるのではないだろうか?

* eKantipur, Oct.13,19; Nepalnews.com,Oct.15,19

 

Written by Tanigawa

2010/10/20 @ 12:34

カテゴリー: 憲法

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