ネパール評論

ネパール研究会

中国,怒濤の外交攻勢

バブラム首相の対印BIPPA(二国間貿易保護協定)締結に対抗して,中国が猛反撃に出た。プラチャンダ議長が「和平7項目合意」で国軍=NC=UML=印に大幅譲歩をしたことも,背景にあるのだろう。

テレグラフ(11月3日)によると,チベット自治区のWu Xingile副議長を長とする使節団が11月1日,訪ネし,「ネパール=チベット貿易フェア」に参列,バブラム首相らとも会談する。

11月4日には,中国共産党Lee Qui政治局員を長とする高官使節団がネパール政府の招待で訪ネし,さらに11月9日になると,今度は,15人の軍事使節団がチベットから訪ネする。怒濤の政治的,経済的,軍事的外交攻勢だ。

そして,中国はネパール政府に対し,BIPPA締結を提案しているという。インドとの間で締結したのなら,中国とも同じ内容のBIPPAを締結すべきだという,もっともな論理。さすが中国,外交巧者だ。

中国の対ネ投資が現在どのように扱われているのか私にはわからないが,もし仮に中国がインドと同等の経済活動の自由と安全を保障されるなら,ネパールの民族資本などほぼ全滅,インド資本だって負けるにちがいない。

もっと危ないのが軍事関係強化。これこそ,虎の尾を踏むことになるからだ。

ネパール政治は,「7項目合意」は成立したものの,印中がらみで,ますます先行き不透明となってきた。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/11/03 @ 11:16

カテゴリー: インド, 経済, 外交, 中国

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