ネパール評論

ネパール研究会

議会延長反対急拡大、最高裁提訴&大臣辞任

4党合意により政府が提出した制憲議会(CA)延長のための憲法第64条改正案に対し、各方面から猛反対が起こり、政府は崩壊寸前となった。

たしかに、この第64条改正案(第13次改憲案)はあまりにも強引だ。最高裁は2011年11月25日、次のような判決を出している。

「暫定憲法第64条の制限的規定によれば、先の任期延長が最後と解される。・・・・もし今の任期内に憲法が制定できなければ、それをもって制憲議会は自ずと解散となる。・・・・その場合、第154条の規定により国民投票を実施するか、第63条により選挙を実施するか、あるいは他の適切な方策を実施するものとする。」

政府提出の第13次改憲案がこの最高裁判決の完全無視であることは明白であり、弁護士会など法律家は、あまりにもひどいと、かんかんになって怒っている。改憲案は、憲法第2,13,63(7)、85,116(2)、148条に抵触しているという理由で、責任者のバブラム・バタライ首相とシタウラ副首相兼法務大臣を最高裁に訴え、投獄1年、罰金1万ルピーの刑に処することを要求するそうだ。

さらに弁護士らは、ネムワン議長には改憲案の審議を進めないように要求し、またヤダブ大統領には改憲法案への認証署名をしないように要請した。それでも、もし任期延長改憲法案が成立しそうなら、弁護士会は街頭に出て、全国デモを展開するという。かなり本気だ。

この状況を見て、もうダメだと思ったのか、責任者のシタウラ法務大臣がNC同僚のSM・グルン大臣とともに、24日、辞表を提出してしまった。

ネパールは、いよいよ危なくなってきた。われらがプラチャンダ議長は、どうするつもりなのだろうか?

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/05/24 @ 20:18

カテゴリー: 議会, 憲法

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