ネパール評論

ネパール研究会

人民解放軍元兵士,ダサイン祭礼再開

マオイスト人民解放軍でダサイン祭をボイコットしてきた(させられてきた)元兵士が,除隊者も国軍編入者も,10年ぶりにダサイン祭を祝っているという。報道では彼らの比率など,詳しいことは分からないが,興味深い現象だ。

マオイストは原理主義集団のように思われてきたが,実際には必ずしもそうではない。人民戦争期間中には,あちこちで青少年をかり集め,集団洗脳しようとしたが,それは形だけで,精神改造にまでは至らなかった。良くも悪くも,それがネパール流だ。

中央では,マオイスト主導政権であるにもかかわらず,ヤダブ大統領(コングレス党)は,パルマナンド・ジャー副大統領(MJF),警察・武装警察・国軍の幹部,そして高級官僚らにティカを授け,そのあと一般人民にもティカを授けた。

ダサインは、日本の正月よりはるかに宗教色が濃く,国家行事として挙行されるなら,政教分離という意味での世俗主義には反する。しかし,そこはネパール,マオイストもあまり堅いことは言わずダサインを祝うことにしたらしい。


  ■ティカを授けるギャネンドラ元国王(Nepal24Hours,23 Oct)


  ■ティカを授けるヤダブ大統領(Republica, 25 Oct)   

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/10/25 @ 20:40