ネパール評論

ネパール研究会

落日の日本,選挙報道も新華社に負け

ナショナリストの私としては,近年の秋の陽のような落日は,まことに残念至極,切歯扼腕するも,いかんともしがたい。

この情況に対し,内弁慶軍国主義者は,「固有の領土」を守るため軍艦を派遣せよとか,戦闘機を出撃させよとか,勇ましいことを言っているが,日本の衰退は別の要因によるものであり,軍事力ではどうしようもない。

たとえば,昨日の選挙について,ネパールがどう報道しているか,ネットで見ると,ほとんどのメディアがたいした扱いをしていない(日本時間16時現在)。日本の選挙など,ネパールにはどうでもよいことなのだ。

この扱いは,わからないではないが,それよりも,ショックだったのは,ネパール二大メディアの一つであるマーカンタイル(nepalnews.com)が,日本の選挙記事として,「新華社」配信記事を掲載していること。カンチプールはロイター,リパブリカはAFP。日本の選挙なのに,なぜKyodo, Jiji, Asahi, Yomiuri, Mainichiなどではないのか?

新華社配信記事そのものは,客観的なように見える。「平和憲法改正には衆参両院の三分の二が必要なので,自民党は維新との協力を目指す,と安倍は語った。」「外交については,自民党は日中関係の緊張を高めるつもりはなく,早急に両国関係の改善を図るつもりだ,と安倍は語った。」

しかし,ニュース記事などの情報源を外国に握られていることが,いかに危険かはいうまでもない。どの国も見え見えの幼稚な情報操作などやるはずがない。英米の世界支配は,英米語を世界語とすることによって可能となった。知は力なり。

もしそうだとすると,日本の出来事が新華社など外国通信社の配信記事により報道されることが,日本国益にとって,長期的に見ていかに深刻な事態を招くかは,容易に理解できるであろう。

グローバル情報化時代にあっては,軍艦や戦闘機ではなく,情報こそが,国家・国民の利益と安全の必須条件なのだ。戦艦大和の巨艦巨砲主義のアナクロニズムを,またまた繰り返してはならない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/12/17 @ 16:46