ネパール評論

ネパール研究会

大統領の下での選挙: I. Pokharel

共産党UMLのイシュワル・ポカレル書記長が,大統領の下での選挙実施を提案した。正論である。私も,この案が最善であると,提案してきた。
 *ガルトゥング提案の観念性と危険性など

UMLを含め主要4政党は,最高裁長官を選挙管理内閣の首相として選挙をすることに,ほぼ合意している。しかし,これはいわば「破産国家」の管財人,ネパールが「国家破綻」してしまった場合の最後の手段であろう。

しかしながら,現在のネパールにはまだ大統領が残っており,憲法的には完全な正統性を保持している。暫定憲法によれば――

■大統領は,国家の元首である(36A(2))
■大統領は,新憲法制定まで在職する(36C)
■大統領は,憲法施行の困難が生じたときは,内閣の助言に基づき,必要な命令を発し,その困難を除去することができる。(158)

この憲法規定を見れば,現在の状況下では,大統領が選挙実施を管理するのが最善であることは明白である。なぜ憲法上正統な大統領が現に存在するのに,無理をして最高裁長官を首相にしようとするのか,よく分からない。何のために大統領職をつくったのだろう?

【参照】▼ポカレル前副首相講演: 憲法政治学研究会 ▼ポカレル前副首相の長崎講演会(1/28)記事

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/03/11 @ 11:15

カテゴリー: 選挙, 憲法

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